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相続税の基礎控除とは?仕組み、計算方法、注意点を解説

2022.02.05

相続が発生して故人の財産を取得する場合、必ずしも相続税が発生するとは限りません。取得財産の総額が基礎控除額に満たなければ、相続税の申告は不要です。相続税の仕組みや基礎控除額の計算式、法定相続人の確認方法について詳しく解説します。

相続税の仕組み

相続税はどのような仕組みになっているのでしょうか。基礎控除について知る前に、まずは相続税の基本を理解しておきましょう。

個人が相続した財産に課される税金

相続税とは、相続で財産を取得した個人に対し、取得財産の金額に応じて課される税金です。所得税や贈与税と同様に、課税対象額が増えるほど税額も高くなる累進課税制度の対象となっています。

相続発生時に必ず相続税がかかるとは限りません。被相続人の借金や葬式費用などを遺産総額から差し引いた後、一定額に達しなければ相続税は非課税となります。

国税庁の調査によると、平成25年の時点では、亡くなった人の約4%しか相続税は発生していません。しかし、相続税が持つ資産の再分配機能を考慮して税制改正が行われた結果、令和元年には相続税がかかる割合は約8%にまで増えています。

参考:相続税について教えてください。 : 財務省

課税対象となる財産額の計算方法

相続税の課税対象となるのは、金銭に見積もれる全ての財産です。現金や預貯金のほか、土地・建物・有価証券なども課税対象となります。

被相続人の死亡により支払われた退職金や生命保険金なども課税対象となる財産です。相続により取得するこれらの財産は『みなし相続財産』と呼ばれます。

被相続人から財産の生前贈与を受け、『相続時精算課税制度』を利用した場合は、過去の贈与額もあわせて相続税を計算しなければなりません。

一方、被相続人の借金や相続人が負担した葬式費用は、相続財産から控除することが可能です。相続税が課される財産の総計から控除額を差し引いた金額が、最終的に課税対象となる財産額です。

相続税を支払う義務を負うのは誰か

相続税の納税義務者となるのは、被相続人の死亡により財産を取得した人です。法定相続人ではない場合も、財産を取得しているなら納税義務者となります。

相続時精算課税制度が適用された財産を取得しているなら、その財産の範囲で納税義務を負わなければなりません。法人が故人の財産を取得した場合、課税される税金は法人税です。

相続税の税額は、課税財産の総額を納税義務者に分配した後、それぞれの財産に応じた税率と控除額を用いて計算します。具体的な税率と控除額は、国税庁ホームページの相続税の速算表で確認することが可能です。

参考:No.4155 相続税の税率|国税庁

相続税の基礎控除とは

(出典) photo-ac.com

相続税には、誰でも適用を受けられる基礎控除制度が設けられています。配偶者にのみ適用される配偶者控除と併せて、制度の概要を確認しましょう。

一定額まで課税が免除される制度

相続税の基礎控除とは、相続時の取得財産が一定額に達しない場合に課税が免除される制度です。基礎控除額は法定相続人の人数により決定されます。

基礎控除額が3600万円の場合、取得財産の総額が3600万円を超えなければ相続税は課税されません。同じ条件で取得財産の総額が5000万円なら、5000万円-3600万円=1400万円が課税対象額となります。

平成27年の税制改正により、基礎控除額は大きく減額されました。かつてのルールでは課税されなかったケースでも、現在は相続税の納付を必要とする可能性があります。

配偶者にのみ「配偶者控除」が存在

配偶者は、基礎控除に加えて配偶者控除も受けられます。配偶者が相続した課税財産が、『1億6000万円』または『配偶者の法定相続分』のいずれか多いほうの金額以下なら、配偶者の課税財産に相続税はかかりません。

例えば、相続人が配偶者と子のケースでは、配偶者の法定相続分は1/2です。遺産総額が5億円ある場合、配偶者が相続する課税財産が2億5000万円に達しなければ、相続税は免除されます。

被相続人の財産の形成に配偶者も大きく関わっていたと考えられることや、配偶者の相続後の生活を守ることなどが、配偶者控除制度を設けている主な理由です。

基礎控除額の計算方法

(出典) photo-ac.com

相続税の基礎控除額はいくらになるのか、具体的な計算方法を知っておきましょう。基礎控除額の計算で重要な法定相続人についても詳しく解説します。

3000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の基礎控除額の計算式は、『3000万円+600万円×法定相続人の数』です。法定相続人の数が多いほど、基礎控除額も高くなります。

法定相続人が配偶者と子2人なら、基礎控除額は3000万円+600万円×3人=4800万円です。法定相続人以外に相続人がいる場合も、基礎控除額は法定相続人の数のみ用いて計算します。

平成27年の税制改正以前は、基礎控除額の計算式は『5000万円+1000万円×法定相続人の数』でした。法定相続人が1人のケースでも、6000万円-3600万円=2400万円が引き下げられることになります。

法定相続人の定義

法定相続人とは、民法で定義された相続人のことです。配偶者と血族が該当し、被相続人の配偶者は常に法定相続人となります。

血族の法定相続人には順位が定められています。第一順位は子・孫、第二順位は父母・祖父母、第三順位は兄弟姉妹・おいめいです。上位順位が1人もいなければ、第二・第三順位の人が相続権を得られます。

被相続人に子がいるなら、法定相続人は配偶者と子です。子が先に亡くなっている場合は、配偶者と孫が法定相続人となります。子も孫もいなければ、配偶者と父母が法定相続人です。

法定相続人の確認方法

相続が発生した際は、法定相続人を確認する必要があります。認知した子や元配偶者との間に生まれた子など、存在を把握できていない法定相続人がいる可能性があるためです。

法定相続人を正確に把握するためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(とうほん)に目を通す必要があります。途中で転籍している場合は、出生時の戸籍謄本までさかのぼらなければなりません。

戸籍謄本を見れば転籍前の本籍地が分かります。過去の戸籍謄本を確認すれば、出生時の戸籍謄本までたどり着くことが可能です。遠方の自治体から戸籍謄本を取り寄せるのには時間がかかるため、相続が発生したらすぐに行動しましょう。

法定相続人の数え方に関する注意点

(出典) photo-ac.com

法定相続人に含まれるのかどうか迷いがちなケースを紹介します。被相続人と特殊な関係を持つ人が身近にいるなら参考にしましょう。

内縁関係の場合は法定相続人に含まない

法定相続人となれる配偶者は、婚姻届を提出して法律上結婚している相手です。内縁関係の夫や妻は法律上の婚姻関係にないため、法定相続人には含まれません。

ただし、被相続人が遺言書で遺贈の意志を示している場合、内縁の夫や妻は財産を取得することが可能です。遺贈された財産には相続税が発生します。

内縁関係のパートナーに被相続人が財産を遺す方法としては、他にも『生命保険の受取人に指定する』『生前贈与を行う』『パートナーが特別縁故者として認められる』などの方法があります。

認知した婚外子は法定相続人に含む

被相続人が認知した婚外子は法定相続人となります。婚外子とは、法律上結婚していない男女の間に生まれた子です。非嫡出子とも呼ばれます。

内縁関係のパートナーは法定相続人ではありませんが、2人の間に被相続人が認知した子がいる場合、その子は被相続人の法定相続人です。

認知した婚外子は他の実子と同等に扱われます。例えば、被相続人に実子も1人いるケースでは、認知した婚外子と実子の法定相続分は同額です。

養子は実子の数により数え方が変わる

被相続人の養子に関しては、実子がいるかどうかにより、法定相続人に含まれる数が変わります。法定相続人としてカウントされる養子の数は、実子がいない場合は2人まで、実子がいるなら1人です。

養子の数に制限を設けていない場合、節税対策のために養子を増やそうとする人もいるでしょう。税金逃れを防ぐ意味で、上記のようなルールが設けられています。

『被相続人との特別養子縁組で養子になっている人』や、『配偶者の実子かつ被相続人の養子』は、実子とすることが可能です。養子に迎え入れた孫が代襲相続人になる場合も、養子ではなく実子として扱えます。

相続放棄した人も法定相続人に含む

法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、基礎控除額は相続放棄がなかったものとして計算されます。相続放棄があっても基礎控除額に影響はありません。

ただし、相続放棄をした人の法定相続分は他の相続人が相続することになるため、相続放棄をした人以外の相続人の相続税は増えることになります。

相続放棄をした人も、生命保険金や退職金などのみなし相続財産を受け取ることは可能です。取得した財産の金額が基礎控除額を超えない場合、相続税はかかりません。

相続税の申告手続き

(出典) photo-ac.com

相続税が発生する場合は、期限内に申告・納税しなければなりません。具体的な期限や申告が不要なケースについて解説します。

相続発生を知った日から10カ月以内に申告

相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日から10カ月以内に申告しなければなりません。申告期限が土日祝日または年末年始休みの場合、翌日が期限日です。

相続税の納税期限も、申告期限と同様に被相続人の死亡を知った日から10カ月以内となっています。税務署だけでなく金融機関でも納税が可能です。

期限を過ぎて申告や納税を行うと、無申告加算税や延滞税などのペナルティーが科されます。相続開始後は相続の話し合いや各種手続きで時間がかかりやすいため、期限を常に意識しておく必要があるでしょう。

相続額が基礎控除額以下の場合は申告不要

相続税の申告が必要なのは、取得財産の総額が基礎控除額を超えた場合です。相続額が基礎控除額以下なら、相続税の申告は必要ありません。相続財産が基礎控除額に満たないことの証明も不要です。

ただし、本来は相続税が発生するケースで特例により税額が0円になる場合は、相続税の申告をしなければなりません。『配偶者控除』『小規模宅地等の特例』『納税猶予』などの特例を利用するケースが該当します。

税額を少なく申告してしまったり、意図的に財産隠しや事実隠ぺいを行ったりした場合は、過少申告加算税や重加算税を科される恐れがあるため注意しましょう。

構成/編集部

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