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裁判に必要な準備や期間はどれくらいかかる?

2022.01.17

民事訴訟(裁判)は、法律に関するトラブルを解決するための手続きです。

訴訟での判決が確定すると、その内容は原告・被告の双方を拘束し、両者間の利害に大きな影響を与えます。

そのため、訴訟に臨む際には、事前にきちんと準備を整えておくことが大切です。

今回は、民事訴訟を起こす際に必要な事前準備の内容や、訴訟提起から判決までの流れ、訴訟にかかる期間についてまとめました。

1. 訴訟(裁判)を起こすために必要な準備

訴訟を起こす際の事前準備としては、大まかに「主張構成の検討」「証拠の確保」「訴状の作成」が必要です。

1-1. 主張構成を組み立てる

原告としては、まずは裁判所に認めてほしい請求の内容を、法律の要件に従った主張の形に整理する必要があります。

たとえば不動産の賃貸人が、賃借人に対して賃貸物件の明渡しを求めるために訴訟を提起するとしましょう。

この場合、賃貸借契約が終了したことを主張しなければなりませんが、その法律構成としては以下のパターンが考えられます。

・賃貸借契約は期間満了により終了した(更新はされなかった)
・賃貸借契約を合意解約した
・賃借人の債務不履行(契約違反)により、賃貸借契約を解除した

原告は、自分の請求が認められやすい法律構成を一つまたは複数選択し、その法律構成に沿って主張を組み立てます。

1-2. 証拠を確保する

裁判所に請求を認めてもらうためには、法律に従った請求原因が認定されることが条件となります。

たとえば、不動産賃貸借契約の合意解約に基づく明渡請求であれば、

・賃貸借契約の締結
・不動産の引渡し
・合意解約

の各事実が、訴訟で主張すべき請求原因となります。

各請求原因を被告が否認した場合、原告は証拠に基づく立証を行わなければなりません。

たとえば、合意解約の事実を被告が否認した場合に備えて、合意解約を証する書面等を証拠として準備しておく必要があります。

また、被告から反論(抗弁)が提出される可能性も考慮し、被告の主張構成を先読みして証拠を確保しておくことが望ましいでしょう。

1-3. 訴状を作成する

訴訟を提起する際には、裁判所に「訴状」を提出する必要があります。

訴状には、当事者に関する基本的な事項(住所・氏名など)に加えて、請求の趣旨(内容)および請求原因を記載します。

事前に検討した主張構成を、民法の要件に沿った形で、訴状の中で明確に記載しましょう。

2. 訴訟提起から判決までの大まかな流れ

民事訴訟は、大まかに以下の流れで進行します。

2-1. 裁判所に訴訟を提起する

訴訟提起の際には、裁判所に訴状や証拠資料などを提出します。

提出先は原則として、被告の普通裁判籍の所在地(住所地等)を管轄する裁判所です(民事訴訟法4条1項)。

請求額が140万円以下なら簡易裁判所または地方裁判所、140万円超なら地方裁判所となります。

ただし一定の場合には、上記以外の裁判所への訴訟提起が認められることもあります。

(例)
・不動産の明渡請求訴訟→不動産の所在地を管轄する裁判所(同法5条12号)
・当事者が合意により定める裁判所(同法11条1項)

2-2. 口頭弁論期日で主張・立証を行う

民事訴訟では、公開法廷で行われる口頭弁論期日において、原告・被告双方が主張・立証を行います。

原告は請求原因について主張・立証を行い、被告はそれに対して反論を行う図式です。

実務上は、口頭弁論期日ごとに、原告・被告が裁判所に書面(訴状・答弁書・準備書面)と証拠資料を提出し、その内容をベースとして審理が進みます。

なお、必要に応じて証人尋問が行われることもあります。

2-3. 裁判所が判決を言い渡す

口頭弁論期日における審理の結果、裁判所が事件についての心証を固めた段階で、判決を言い渡します。

判決の内容には、大きく分けて以下の3パターンがあります。

・原告の請求が全部認められる(全部認容)
・原告の請求が一部のみ認められる(一部認容)
・原告の請求が全く認められない(請求棄却)

2-4. 控訴・上告(任意)

判決の内容に不服がある場合、原告・被告はそれぞれ「控訴」を行うことができます。

控訴は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に提起しなければなりません。

控訴を提起すると、上級裁判所で改めて事件が審理されることになります。

また控訴審の判決に対しては、憲法違反や判例違反等の場合に限られますが、さらに上級裁判所での審理を求める「上告」も認められています。

上告期間も、控訴期間と同様に、控訴審の判決書の送達を受けた日から2週間です。

2-5. 判決が確定する

民事訴訟の判決は、以下のいずれかの場合に確定します。

①控訴・上告期間中に、適法な控訴・上告がなかった場合
②上告審の判決が言い渡された場合

確定判決は「債務名義」として、強制執行の申立てに用いることができます(民事執行法22条1号)。

3. 訴訟(裁判)にかかる期間は?

民事訴訟は、和解によって終了するか、または裁判所の判決が確定するまで続きます。

期間はケースバイケースですが、最短でも2か月程度、標準的な事案では半年から1年程度かかる可能性が高いでしょう。

複雑な事案では、数年間にわたって訴訟が続くケースも見受けられます。

訴訟は長期戦になることが多いため、事前準備を含めた根気強い対応が必要です。

必要に応じて弁護士のサポ―トを受け、万全の準備を整えたうえで訴訟に臨んでください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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