経済学といえば、金利や為替のしくみが分かりづらかったり、金融工学やゲーム理論のように難解な数式が登場したりして、とっつきにくいイメージを抱いている人も多いだろう。しかし本来は、物の売り買いや賃金の上がり下がりといった身近なテーマをお金の流れに沿って解明していく学問だ。
そこで本記事では、経済を学んだほうが良い理由について解説した上で、経済について初心者でも簡単に読めるおすすめの本5冊を紹介する。
【目次】
経済を学んだほうが良い理由は?
資本主義社会で生きるほとんどの人は、お金に無関係でいることはできない。人々は働いて稼いだお金を使って物やサービスを購入し、税金を収め、社会保障の恩恵を受ける。グローバル化が進んだ現代では、海外の経済活動が日本に与える影響も大きい。経済を学ぶことは私たちの生活に関わるお金について学ぶことであり、自分の人生をお金の流れという側面からチェックし、プランニングしていく上で欠かせないものだ。
初心者向けのわかりやすい経済の本が増えている
お金の流れについて学ぶといっても「経済学を今さら勉強するのは荷が重い」という人も多いだろう。経済のしくみについては、身近な経済活動を例にわかりやすく解説している経済本が増えている。学問として考えると身構えてしまいがちだが、知っていると得するトリビアを探すような気持ちで読んでみると良いだろう。
経済を学べるおすすめ本5選
では、ここからは経済をわかりやすく学べるおすすめの本を5冊紹介する。ぜひ興味を持てそうなタイトルから読み進めてみてほしい。
経済のことよくわからないまま社会人になった人へ【第4版】
ジャーナリスト・池上彰氏が、おなじみの平易な語り口で経済のしくみを解説する経済本。「買う」「投資する」「借りる」といったお金との付き合い方を通じて「良い買い物と悪い買い物を分ける基準」「株とはなにか?」「クレジットカードのしくみ」など、身近なテーマを例に経済に関する知識を基礎の基礎から解説している。2004年の初版刊行以来、時代とともに変化する日本経済にあわせて改定を重ねており、最新版の【第4版】は2019年2月刊。新社会人や大学生におすすめの一冊。
たった1つの図でわかる! 図解経済学入門
経済学者で元大蔵省官僚の高橋洋一氏が、新聞やテレビのニュースを例に物の値段の決まり方や日銀の金融政策、日本の財政状況の実態などを独自の図解を混じえて解説する。ラーメンは値上げができて牛丼はできない理由、待機児童問題への対処法といった生活に密着した視点で需要と供給について語られており、経済が自分の生活にどのような影響を及ぼすかがイメージしやすい。投資やグローバル経済に関する記述は少ないものの、市場価格や政府の金融政策についてアウトラインを押さえるのにおすすめ。2016年刊。
人生をぐるっと変える まるっと経済学
経済を解説するラジオ番組『ジュグラーの波』(TOKYO FM)から生まれた経済本。今話題の経済トピックスや経済用語、各国の経済情勢を小説のようなストーリー仕立てで学べる。物語は、就活に失敗し挫折感を味わっていたヒロイン・籠崎美令が、親戚のつてで人気ロックバンド「P:ste(ピステ)」の世界ツアーにスタッフとして参加するところから始まる。訪問先でさまざまな国の経済に触れた美令は、日本の現状と世界情勢を知り、徐々に経済の魅力に気づいていく。旬の経済用語を楽しく学びたい人におすすめの一冊。2019年刊。
父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
ギリシャの経済学者で2015年の財政危機の際に財務大臣を務めたヤニス・バルファキス氏による経済本。自身の10代の娘に語りかける口調で書かれており、簡潔なわかりやすい言葉ながら資本主義を本質的な部分で捉え、解説している。格差がこれほど拡大した理由、借金が富を生み出すしくみ、イデオロギーと経済の関係など取り扱うテーマも多彩。歴史的・社会的なアプローチで経済を俯瞰することにより、世の中に対する視野を広げられる一冊。2019年刊。
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
アメリカの認知心理学者ダン・アリエリー氏が、多くの実験を積み重ねることで従来の経済学では説明できない人間の不合理な選択を解き明かしていく異色の経済本。送料を無料にすることで売上を激増させたAmazonや、価格が高いほど効果を発揮するプラセボ(偽薬)など、多くの事例をもとに実際のマーケティングでも使われている行動経済学の知見を紹介している。物やサービスを購入する際、消費者として賢く(合理的に)ふるまうためのヒントを得られる一冊。2013年刊。
文/oki