DIME MAGAZINE
親が子名義で開設した口座や、かつての勤務先の給与振り込み用口座など、お金を預けたまま放置している口座はないだろうか。長い間、入出金の取引を行っていない預金は「休眠預金」となってしまう可能性がある。
本記事では、休眠預金とはどのような預金なのかを解説した上で、休眠預金となった預金がどうなるのか、休眠口座を作らないためにはどうすればいいのかを紹介する。後々不便な思いをしないように、この機会にぜひ知識を深めておこう。
休眠預金とは
はじめに、休眠預金とは何かを解説する。休眠預金の対象となる預金口座の種類も紹介するので、自身の口座が該当していないか確認してみよう。
10年間取引のない預金
休眠預金とは、10年間取引のない預金のこと。国内では毎年約1,200億円の休眠預金が発生していると言われる。このような眠ったままのお金を社会貢献に活用するために、2018年1月から「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律（通称：休眠預金等活用法）」が施行された。この法律の制定によって、2019年1月以降に発生する休眠預金は、民間での公益的な活動の支援に活用されることとなった。
休眠預金となったお金は、まず金融機関から預金保険機構に移管となり、その後は国の管理のもと民間団体が行う公益活動に役立てられる。具体的には、子ども若者支援、生活困難者支援、地域活性化等の支援の3分野で活用されている。
休眠預金の対象になる預金、対象外の預金
休眠預金の対象となる預金の種類は、銀行の普通預金や定期預金、ゆうちょ銀行の通常貯金や定期貯金、定額貯金（ゆうちょ銀行では「睡眠預金」と呼ばれるが休眠預金と同義）、信用金庫の普通預金や定期積金などが該当する。なお、外貨預金や仕組預金、財形貯蓄などは対象外。
休眠預金になる前に通知はある？休眠預金になるとお金はどうなる？
次に、「休眠預金になりそうな口座に対して、金融機関から事前に通知がくるのか」、また「休眠預金になったお金は引き出せなくなるのか」といった疑問に答えていきたい。
口座残高が1万円以上あれば通知がくる
最後の取引から9年が経ち、近々休眠預金になりそうな預金がある場合、預金残高が1万円以上あれば、預入先の金融機関から登録住所やメールアドレスに通知が送付される。この通知を受け取った場合、該当口座の預金は休眠預金にはならない。
しかし、残高が1万円未満の場合や、現住所やメールアドレスが金融機関の登録情報と異なる場合は通知が届かず、そのまま何もしなければ10年経過後に休眠預金となってしまう。このような重要な情報の見落としを防ぐため、住所やメールアドレスが変更になった際は、必ず金融機関の情報変更手続きを早めに済ませるようにしたい。
休眠預金になった預金は引き出しできる？
ここまでの解説を読んで、「休眠預金になった預金が、預金保険機構への移管や消滅時効によって没収されてしまうのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれない。しかし、休眠預金になった後でも、預けていたお金はすべて無期限で引き出しが可能なので安心してほしい。
ただし、一度休眠預金となってしまうと、窓口での通常の引き出しや、キャッシュカードを利用したATMでの取引は行えなくなるため注意が必要だ。預金を引き出すためには、金融機関の窓口へ通帳・取引印・本人確認書類を持参し、口座の復活手続きを行う必要が生じる。
また、口座を解約したい場合も窓口へ申し出をすれば手続きは可能だが、口座の状況確認のため、解約手続き後の支払い手続きに日数を要する可能性がある点も覚えておこう。休眠預金の存在に気が付いた時には、一度金融機関の窓口に早めに申し出をするようにしよう。
休眠口座にしないためにはどうすればいい？
最後に、しばらく放置している預金口座を休眠口座にしないためにはどうしたらいいのかを紹介する。心当たりのある方はぜひチェックしてほしい。
定期的に預金異動をしよう
これまで紹介してきた通り、休眠預金となるのは過去10年間に取引がない預金で、かつ郵送やメールの通知を受け取っていない口座。10年の間に入出金や送金などの預金異動を行うことで、休眠口座になるのを防ぐことができる。金融機関によっては、記帳や残高照会なども取引として認められる場合も。心当たりの口座が休眠預金になっているか知りたいときは、預入先の金融機関の情報を確認するようにしよう。
また、これを機に使用していない口座を解約して預金の預入先をまとめたり、運用を検討したりするなど、資産の管理方法を見直してみるのもいいだろう。
文／oki
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