レノボ「2022年テクノロジートレンド予測」
レノボは、毎年恒例の翌年のテクノロジートレンド予測を発表した。2022年およびさらにその先のテクロノジートレンドについて、同社社長のデビット・ベネット氏は以下の10個の予測を立てている。
「テレワークと出社を併用したハイブリッド型勤務体制への移行が加速していく中で、2022年は人々のインタラクションを向上させる新しいデバイスのフォームファクタやITサービス、セキュリティサービスといったテクノロジーが幅広く提供されていくと考えられます。
また、よりよい社会を実現するためのテクノロジーにますます重きが置かれるようになるでしょう。具体的には以下のようなテクノロジートレンドが進むと予測します。」(デビット・ベネット)
予測1「どこからでも仕事ができる」が職場の新定義になる
予測2パスワードに変わる技術が普及する
予測3サステナブル社会のための「テック・フォー・グッド」が加速する
予測4PCモニターがハブ機能の役割を果たす
予測5フレキシブル・ディスプレイが普及する
予測6より直感的な情報入力が可能になる
予測7テクノロジーがより医療と密接になる
予測8コンピュータの操作はより自然に、「アンビエント・コンピューティング」の普及が進む
予測9没入型コンテンツは手のひらでも楽しめるように
予測10ゲームの「没入感」が向上する
予測1「どこからでも仕事ができる」が職場の新定義になる
コロナ禍で加速したテレワークはポストコロナ時代にも引き継がれ、出社とテレワークのハイブリッド勤務体制がニューノーマルとなっていくでしょう。
ハイブリッドな働き方が浸透していく中で、従業員のリモートワーク体験を向上させる製品やソリューション、サービスが増加していくことが予測されます。
例えば、最新のオフィスデザインやAVテクノロジーにより、柔軟な会議環境と社会的なつながりを構築する新たな手段の整備が進むでしょう。
さらに、拡張現実(AR)により、従業員の居場所を問わない没入型の職場環境が実現されるでしょう。そのため、ITインフラストラクチャへの投資を増やす企業は増加していくと考えられます。
予測2パスワードに変わる技術が普及する
AIやセンサー技術の向上により、シームレスなユーザー認証が実現します。近い将来、現行のモバイルバンキング・アプリケーションで使用されるような、公開鍵基盤(PKI)ベースのデバイスセキュリティと多要素認証(MFA)により、アプリケーションやデバイスへのアクセスにおけるパスワードへの依存度は低下していくでしょう。
その代わりに、指紋・顔・虹彩・音声認証などの生体認証技術が、セキュリティ業務を担います。従来のパスワードに頼らないことは、IoT社会における安心・安全の確保のために、私たちができる最善策の一つになるでしょう。
予測3サステナブル社会のための「テック・フォー・グッド」が加速する
消費者は企業に対してよりサステナブルな製品やビジネスを求めています。例えば、製品開発時に、リサイクル素材(プラスチック、ファイバー、金属)、生分解性素材(バイオプラスチック)、再生可能素材(竹)などのサステナブル素材を利用することで、企業は製品ライフサイクルの「クローズドループ化(資源の循環)」を推進することが可能です。
また、サステナブル素材の利用増加により、製造プロセスにおける化学物質の必要性は最小限に抑えられ、メーカー各社はカーボン・ニュートラルへと近づくことが可能です。
ITプロバイダーの役割は、企業がテクノロジーによって環境に与える負荷の相殺、そして企業のSDGs目標の達成をサポートするサービスやソリューションの開発に伴い、変化し続けるでしょう。
予測4PCモニターがハブ機能の役割を果たす
PCモニターは近い将来、オフィスと自宅における次世代のハブ機能を担うことが期待されます。最先端のハードウェアと直感的なソフトウェア・ソリューションをディスプレイに組み込むことで、ユーザーはシングル/マルチディスプレイのウィンドウ・コンソールを通じ、シームレスなマルチタスクが可能となります。また、モニターはPCだけではなく、スマートフォンやゲーム機にも対応する機能を持つようになるでしょう。
予測5フレキシブル・ディスプレイが普及する
PCモニターの活用や「どこからでも仕事ができる」環境の整備が進む中、スクリーンを折りたためて簡単に持ち運びができることが重要になってきています。需要に伴う価格帯の引き下げにより、他の各種デバイスにもフレキシブル・ディスプレイが導入され、利用が拡大します。
フレキシブル・ディスプレイは、スマートフォン、タブレット、PC、ラップトップのほか、デジタルサイネージや公共交通、スマート家電機器などの新規アプリケーションでも利用拡大が予想されます。
予測6より直感的な情報入力が可能になる
キーボード以外の情報入力手段として、より直感的なタッチインターフェイス、触覚フィードバック対応ペン、音声テキスト機能などの利用が増えています。将来的には、触覚機能を備えた先進的なオンスクリーンキーボード(OSK)や予測型の人工知能(AI)/機械学習(ML)が主流になることで、今の形のキーボードは必要なくなる可能性もあります。
AIがユーザーを学習し、わずかなキーワードを入力するだけでテキストのやり取りができるようになるでしょう。新たな情報入力手段により、ビジネスや教育、さらにはその他の分野に至るまで、分野を超えたコミュニケーションやコラボレーション、創作の新たな手法がでてくるでしょう。
予測7テクノロジーがより医療と密接になる
ウェアラブル端末や音声アシスタントの利用が増え、コネクティビティが向上する中、医療従事者や患者にとって遠隔医療は今後も選択肢として残り続けるでしょう。患者がこうしたテクノロジーを利用すれば、医療従事者はAIを活用して遠隔医療に必要なパーソナライズされたバーチャル・アシスタンスを提供することができ、より正確で有効な結果を得ることが可能です。
病院や遠隔地の在宅医療にバーチャル・ケアが浸透することで、患者の医療体制が強化されるでしょう。さらに重要な点として、バイタルの監視、コンプライアンスの向上、健康やライフスタイルの問題の啓蒙などは、これまでよりも大幅に簡単かつ一般的に行われます。臨床ワークフロー、評価ツール、ワークステーション・ソリューションの効率化も、医療従事者のメリットとなります。
予測8コンピュータの操作はより自然に、「アンビエント・コンピューティング」の普及が進む
情報入力方法が変われば、IoTもより成熟していくはずです。自然言語処理(NLP)とマルチレンズ機能の強化により、これまでのユーザー体験は一変するでしょう。
ユーザー・インターフェイスは変わり、デバイスのインタラクションもより自然で安全なものとなります。そして、これらのテクノロジーの普及に伴い、「コネクテッド・エンドポイント」はコネクテッドカーだけではなく、コネクテッド・シティからさらにその先へと拡大していきます。
予測9没入型コンテンツは手のひらでも楽しめるように
小型画面でも没入型コンテンツが楽しめるようになり、PCや携帯電話の体験がより広範囲に楽しめる低価格なウェアラブル・ディスプレイが登場してくるでしょう。このディスプレイは携帯電話よりさらに大画面のディスプレイ体験が得られるだけでなく、ユーザーは公共の場でプライベートな視聴を楽しめます。これは、メタバースの進化に向けた第一歩となるでしょう。
予測10ゲームの没入感が向上する
高性能で手にしやすい価格となったポータブルなディスプレイやOSにより、ゲームにおいても没入感がより一層高まるでしょう。また、コネクティビティの最近の進化により、高精細・低レイテンシのグラフィックスが実現し、ヘッドセットを介したプレイを通じて、身体的な動きを反映したよりリアルなゲームプレイが楽しめるようになります。
ARがさらに成熟化することで、プレイヤーはその場の環境でゲームコンテンツを体験できるようになります。これはリビングルームにいながら、実際のコートでテニスをプレイするような感覚です。
メタバース体験が拡大し続ける中、このプラットフォームを通じ、ゲーム、ソーシャル、ショッピングの分野では一大ブームが予想されます。その際、これら3つの要素を高い利便性で一元管理する、より高度なソフトウェア・ライブラリが提供されることで、ゲーム体験の楽しみも進化します。
関連情報:https://www.lenovo.com/jp/
構成/DIME編集部