今、目の前に、パンと水がある。
秋葉原の駅前一等地にあるカフェに入って、なぜ、わざわざパンと水だけを注文しているのか。
僕は、そこまで困窮してしまったのだろうか。
実は…、
このパン、現在ガンダムカフェにて開催中の「めざせ全制覇!再現食祭」のメニューの一つである。
『機動戦士ガンダム』第19話「ランバ・ラル特攻」にて、ホワイトベースを脱走したアムロ・レイが、砂漠を彷徨い、たどり着いた町の酒場で食べるパンと水。
噛みちぎるのも一苦労の固そうなパンと、ランバ・ラル隊もご所望の「うまい水」。
パンの支払いを巡ってアムロとランバ・ラルが初邂逅するという、ガンダム史に残る名シーンを演出する超重要な役割を持ったパンと水。
それを忠実に再現したメニュー、「あのパン ~砂漠のレストランにて~」(550円、ブロマイド付)なのだ。
しかもこのパン、「あのパン」を再現するために作られた特注パンだと言う。
味、大きさ、硬さ、そして見た目にもこだわった究極の再現パン…、
あえて言おう!無茶であると!
しかし、このこだわりが詰まった「再現食祭」がガンダムファンの心を熱くとらえているのも、また事実。
ただのパンであって、ただのパンにあらず。
そう、ガンダムカフェで食べたかったのは、これなんだ!
これなんだよ…!!
ありがとうガンダムカフェ!
実食した、別のメニューも紹介しよう。
こちらは、「ブライト・ノア ~なりきり究極再現バーガー~」(1,760円 ブロマイド付き)
『機動戦士ガンダム』第16話「セイラ出撃」にて、任務中のブリッジでブライトが片手で食べているデカいバーガーだ。
『ガンダム』を見ている時、「宇宙世紀とはいえ、意外と馴染みがあるもん食べてるんだなー」と思ったのが、バーガー類。
こちらのバーガーは、バンズのシワの質感などの見た目も再現、味付けはかなり肉肉しくワイルドで、たしかに任務中のエネルギー補給には最適そうだ。
さらに、クルーをイメージしたチーズやベーコンなど4種の付け合わせから一つを選ぶことが可能(写真の黒皿は取材のため全種用意してもらったもの)、これをバーガーに挟めばさらにめっちゃ旨くなるのでオススメだ。
ちなみに、サイドとして付いてくる「パイロットの塩分保補給フライドポテト」には、追加の塩が付いてくるので、塩不足を気にすることなく思う存分使うことが出来る。
一年戦争中じゃなくて良かった!
個人的に一番気になっていたのが、こちらのメニュー「アーガマ艦内食」(1,650円 ミニ色紙風コースター付き)。
名付けて、「アーガマめし」と呼ばせていただきたい!
『機動戦士Zガンダム』32話「謎のモビルスーツ」にて、カミーユやレコアが食べていたアーガマ艦内食の再現だ。
(ちなみに、実はクワトロはステーキではなく目玉焼きを食べている。どうやらアーガマ艦内食は選択式のようだ)
レコアがクワトロに渡そうとするエゥーゴマーク入り牛乳パックも、パック型の瓶を使って再現。
(欲を言えば、紙パック持って帰りたかったけど…)
メインとなるハンバーグステーキも、かなりボリュームがあって満足度高い。
↑あの方の隣で、擬似レコアさんの気分。シロッコに寝返りたくなる?
アーガマ艦内は、何かとギスギスした雰囲気だったが、居心地よさそうな食堂と、美味しい食事がクルーの精神をギリギリ繋ぎ止めていたんだね…。
そして最後に、現在は提供終了となっているメニューをひとつ紹介したい。
ネット上でも話題となった、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する配給食の再現。
見る限り、普通の食事プレートだが、何がそんなに話題だったかと言うと…。
08小隊のオープニングでこちらの食事が配給されるシーンは、土砂降りの豪雨なのだ。
そのため配給食に、ありえんほどの雨が降り注いでいて、ビショビショの水びたしになっている。
オープニングの曲名「嵐の中で輝いて」からのインスパイアなのかもしれないけど、
「戦争は、ビショビショ飯を食べるんだ…」と誰もが戦争の辛さに想いを馳せた名シーンだ。
もちろん、ガンダムカフェでは雨は再現されていないので、美味しく頂けた。
コウ・ウラキ(ニンジン嫌い)だったら泣いて逃げ出すほどニンジンがふんだんに使われているヘルシーさも、注目のポイントだ。
というわけで、実食した再現食はここまでだが、
現在は『機動武闘伝Gガンダム』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などからの再現食も提供中、さらに来月1月5日からは『機動戦士ガンダムX』からフリーデンの朝食 ~バーラの食事~、『Gのレコンギスタ』からメガファウナ航宙艦食、最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』からダバオ空軍基地士官食堂~ギギ・アンダルシア~などなど、さらなるメニューが追加となる。
各年代のガンダム作品からの再現食や、モビルスーツ再現食を網羅し、全期間中の総メニュー数は45種に及ぶ。
残念ながら、ガンダムカフェは惜しまれつつ2022年1月30日(日)での閉店がアナウンスされているが、フィナーレに向けて再現食祭でガンダムカフェの思い出をもう一度刻み込もうじゃないか。
個人的に、今回の再現食祭には、キャラクターエンタメの真理が詰まっていると思う。
コップに入った水一杯が、ストーリーを持つことによって、ガンダム世界の一端を呼び起こす。
極端に言ってしまえば、アニメだって紙に描いた線が動くだけだが、人間はそこに物語を見て、感動することができる。
受け手の想像力と、送り手のこだわりが結実して起きるワンダーを、これからも最高に楽しみたいのだ。
「GUNDAM Café ありがとうproject」最終章!絶対に食べたい再現食がここにある―「めざせ全制覇!再現食祭」など盛りだくさん
「GUNDAM Café ありがとうproject」では、GUNDAM Café自慢のアニメ作中に登場した食事やMS(モビルスーツ)の形状を再現した「再現食」の提供を中心に、新たな企画を加えて展開している。
2022年1月8日(土)からは、オープン当時のGUNDAM Caféで実施された「階級」によって提供するサービスや演出が異なるキャンペーンが「ジオン公国軍 階級キャンペーン」として復活。
ほかにも最後のフェアの実施や映像上映、企画展示、SNS投稿企画など、GUNDAM Café約12年の歴史を総括する企画を順次実施するぞ!
<ありがとうproject実施内容>
・追加メニュー大量投入!絶対に食べたい再現食がここにある―「めざせ全制覇!再現食祭」1月5日(水)より新展開
・あの伝説のキャンペーンがGUNDAM Café TOKYO BRAND CORE「Zeon’s Diner TOKYO」で復活!何度でも 立てよ!国民よ!「ジオン公国軍 階級キャンペーン」
・GUNDAM Café最後のフェア「GUNDAM Café Precious Memories」
・GUNDAM Café TOKYO BRAND COREでしか見られない映像もこれで見納め!1月8日(土)~終日デイタイム営業スタート
・各店舗の思い出をテーマにしたプチ展示「GUNDAM Café Memorial Exhibition」
・みんなでつくろう、約12年間のGUNDAM Café思い出のアルバム「#ガンダムカフェの思い出」
※当日の座席状況により当日来店も可能だが、特に休日・祝日はほぼ予約で満席とのことなので予約後の来店をお勧めする。最新の営業時間確認や予約はGUNDAM Café 公式サイトで。 https://g-cafe.jp/
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文/タカハシヒョウリ
ミュージシャン、文筆家、作家。特撮ファン。
ロックバンド「オワリカラ」ボーカルギター。
サブカルチャーへの造詣と偏愛的な語り口から、執筆や番組出演多数。
近年は円谷プロ公式メディアでも連載。
クリエイティブチーム「操演と機電」を結成し、10月には『ウルトラ怪獣もののけ絵巻展』を開催。
編集/福アニー