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便秘の受験生は心身共に不調が多く勉強に集中できない理由

2021.12.24

間もなく受験シーズンがやってくる。受験生にとって年末から年始にかけては追い込みの時期。毎日の勉強を集中して臨みたいところだろうが、便秘によって注意散漫になってしまうこともあるだろう。

特定非営利活動法人日本トイレ研究所はこのほど、全国の高校生男女1,000人を対象に排便事情に関する調査を行った。併せて、現役東大生50人を対象に受験期も含めた排便事情についての調査を実施した。主な調査結果は以下の通り。

高校生の便秘実態と便秘状態・便秘予備軍は2人に1人

■高校生の5人に1人は便秘状態!予備軍含めると高校生の2人に1人(47.2%)

高校生男女1,000人を対象に、排便について聞いた。まず、現在の排便回数を聞くと、「1日1回以上」が55.5%いるが、約半数(44.5%)は1日1回未満で、「3日に1回程度」10.2%、「4〜5日に1回程度」4.0%など、排便が3日に1回以下の高校生が約2割(19.6%)いた[図1]。

また、排便状態を聞くと、「排便しても便が残っている感じがある」(22.4%)、「排便中に強くいきむ必要がある」(21.6%)、「うさぎのようなころころした便や硬い便が出る」(14.7%)という結果だった[図2]。

2つ以上該当する人は「便秘状態」、1つ該当する人が「便秘予備軍」と定義すると、今回の調査では、20.2%が便秘状態、27.0%が便秘予備軍と考えられ、高校生の47.2%が便秘状態・便秘予備軍に該当している[図3]。

便秘状態を性別でみると、男性の便秘状態が9.7%に対し、女性は26.4%と高いことがわかった。また、学年別にみると、高校1年生の便秘状態が23.1%と2年生・3年生と比較し高くなっている[図4]。

[図5]では、便秘実態別の現在の便秘認識を見ている。便秘状態(2つ以上該当)の人で「便秘だと思わない計」は26.2%、便秘予備軍(1つ該当)の人では38.1%で、実態と意識にギャップがみられた。

■コロナ禍で高校生の4人に1人は便秘になることが増えている

排便についてコロナ禍の影響を調べた。コロナ禍で便秘になることが「増えた」と答えたのは24.0%で、高校生の4人に1人が便秘が増えたと感じている。また、「コロナ禍で運動する機会が減った」と答えた高校生355人で見ると、便秘になることが「増えた」(32.9%)のは3人に1人とさらに多くなっている[図6]。

便秘の高校生は、心身共に不調が多く勉強に集中できていない

■便秘状態の高校生の9割弱が「勉強に集中できない」(86.6%)と感じている

便秘が勉強にどんな影響を及ぼすのか、調べた。最近、授業中や自分自身で勉強を行う際に集中できていないことがあるかと聞くと、全体では29.0%が「よくある」と答えている。前述図2で便秘状態と考えられる高校生では、41.6%と約4割が集中できていないことが「よくある」と答えている。「たまにある」(45.0%)と答えた人を加えると、便秘状態の高校生の約9割(86.6%)が勉強に十分集中できていないことになる[図7]。

■集中できない理由、便秘状態の高校生は、便秘でない高校生より「体の不調」感じる割合が20ポイント以上も高い

勉強に集中できないと答えた高校生713人に集中できない理由を聞くと、「疲れている」(56.7%)、「勉強がつまらない」(42.8%)、「他にやりたいこと・考えたいことがある」(35.2%)が上位に挙げられた。

この結果を便秘状態のある・なしで見ると、便秘状態の高校生はいずれのスコアも高く、「疲れている」は67.4%と平均(56.7%)より10.7ポイント、「体の不調」は37.1%と平均(22.4%)より14.7ポイントも高くなっている。

さらに、便秘でない高校生と比較するとその差はさらに大きく、「体の不調」は便秘でない高校生15.8%に対し、便秘状態の高校生は37.1%と21.3ポイントもの差がある[図8]。

■便秘状態の高校生は、眠気やイライラ、頭痛や肩こり、肌荒れまで、心身共に不調まみれ

集中していないときにどんな症状を感じるか具体的に聞くと、「眠気」(56.1%)、「イライラ」(38.8%)、「気分が優れない」(33.1%)、「頭痛」(28.3%)、「肩こり」(24.7%)、「肌荒れ」(24.3%)、「腰痛」(16.3%)など心身にわたりさまざまな症状が表れている。

また、便秘状態の高校生は、平均と比較して「便秘」(29.1%、平均+16.7ポイント)のスコアが高いだけでなく、いずれの症状も反応が高く、「肩こり」は41.1%と平均より16.4ポイント、「眠気」は72.0%と平均より15.9ポイントも高くなっている。

便秘でない高校生と比較すると、「肩こり」便秘あり41.1%:便秘なし16.7%で24.4ポイント差、「イライラ」便秘あり53.7%:便秘なし31.3%で22.4ポイント差、「気分が優れない」便秘あり48.0%:便秘なし27.4%で20.6ポイント差など、その差はさらに大きくなっている[図9]。

便通改善に良いとされる食品で勉強の合間に取りたいのは「水」「お茶」「高カカオチョコレート」

■高校生の7割が知らない事実、便秘は集中力をそぐ!

便秘は、高校生の集中力や体調に大きく関係していることがわかった。実際、「慢性的な便秘は、精神的な生活の質を低下させることが示されており、集中力をそぎ、日々の生活に心理的な悪影響を与える」と言われている。

この事実を提示し知っていたかと聞くと、全体の71.8%が「知らなかった」と答えた。便秘状態である(75.2%)・便秘なし(77.3%)にかかわらず、便秘が集中力をそいでしまうことは、あまり知られていないようだ[図10]。

■便通改善に良いとされる飲食料品で勉強の合間に取りたいのは、「水」「お茶」「高カカオチョコレート」

勉強の合間に食べているものを聞くと、「チョコレート」「グミ」「ガムや飴」「高カカオチョコレート」の順となった[図11]。一方、便通改善に良いと思う飲食料品は、「ヨーグルト」(60.2%)、「乳酸菌飲料」(50.4%)、「バナナ」(42.4%)、「水」(41.9%)が上位に挙げられた[図12]。これらのうち、勉強の合間に取り入れたいものを聞くと、「水」(79.9%)や「お茶」(70.3%)の飲み物に次いで、食品では「高カカオチョコレート」(64.8%)がトップに選ばれた[図13]。

前述図6の通り「コロナ禍で運動する機会が減った」高校生は355人(35.5%)いたが、コロナ禍で変化したことを聞いた。すると、「学校のイベントが中止」(61.8%)、「友達と遊びに行くことが減った」(52.2%)、「日ごろの部活動が中止」(36.4%)が上位に挙げられた[図14]。

現役東大生の94%が受験時に「集中」を心がけていた

■現役東大生の排便の頻度8%が「3日に1回以下」排便、高校生(19.6%)よりも排便の頻度は高い

現役東大生50人を対象に、排便の頻度を聞いた。現在の排便回数を聞くと、「1日1回以上」が56.0%、「2日に1回程度」が36.0%となり、東大生の92.0%が「2日に1回以上」の排便がある。「3日に1回以下」の東大生は8.0%、高校生では19.6%が「3日に1回以下」だった[図15]。

(ただし、東大生の人数が50人と少ないことや、回答者が機縁法により選ばれたことから、排便に関心のある人に偏った可能性がある。)

■現役東大生の受験期の生活習慣、「勉強時間」と並んで重要な「朝ごはん」「栄養バランスの取れた食事」

大学受験の頃の生活習慣を聞いた。すると、「学習時間を確保」(96.0%)、「朝ごはんを食べる」(90.0%)、「栄養バランスの取れた食事」(80.0%)がTOP3となった。勉強時間に次いで、食事が重視されている[図16]。

■現役東大生の94%が受験期の勉強で「集中」を心がけていた!

前述[図7]では、高校生の7割が勉強するときに「集中できない」(71.3%)と答えているが、東大生が大学受験のときはどうだったのか聞いた。すると、「集中できないことがあった」と答えた東大生は56.0%と、高校生より15.3ポイント低くなっている[図17]。

また、大学受験で勉強をするとき、「集中を心がけていた」と答えたのは東大生の94.0%(いつも心がけていた:40.0%+大体心がけていた:54.0%)と圧倒的多数で、ほとんどの東大生が勉強をする際に集中を心がけている[図18]。

小児外科医・中野美和子先生に聞く、高校生と東大生の排便事情

今回の高校生(特に排便の訴えについての背景はない)1000人調査では、自覚的な症状からみて国際的な学会基準での便秘症にあてはまる人(基準6項目中2項目以上該当)は、20.2%にのぼりました。

基準は満たさないが疑わしい人(基準6項目中1項目該当)は27.0%で、合わせると47%にのぼります。2013年の厚労省国民生活基礎調査では、10代の便秘の有症率は男性0.4%、女性1.7%で、今回の調査と相当の乖離があります。今回の調査では、排便の回数だけで見ても4〜5日に1回以下の人は9.3%で、かなりの多さです。

便秘状態の割合が5人に1人とかなり多かった要因として、回答者が女性63%とやや多かったことや、学年が上がるにしたがって便秘予備軍の割合が増加していることから、受験のストレスの影響が大きいことなどが関与しているのではないでしょうか。

また、学生自身も感じているように、新型コロナウイルスの流行により、心身ともに様々な影響が出ているものと思われます。便秘症は、便塊による閉塞症状として腹痛、膨満感、不快感が出現します。慢性的になると便秘を意識する・しないに関わらず、イライラ、集中力低下などの様々な精神心理症状が出現します。排便困難の症状、自宅外で便意が出ることの危惧もこれを増強します。

今回の高校生の調査では、勉学中の集中力低下が便秘状態群で多く、その際の心身症状もかなり強く、本来の勉学に影響が出ている可能性があります。便秘がこれらの諸症状の原因である可能性もありますが、排便状態は生活全般の結果であることから、便秘が生活全般の不調のサインであるといえます。

なお、便秘状態群のうち自分を便秘と認識していない人は26.2%で、便秘の基準にあてはまらないが便秘と思っている人は27.7%と、便秘についての情報は不足していると思われます。東大生については振り返りの調査で、高校生調査と一律に比較はできません。しかし、受験時に集中できたという人の割合が高く、また、基本的生活習慣が実行できていた人が多いことから、その重要性が確認できる結果でした。(基本的生活習慣は排便状態に結びつくので、便秘が少ない結果となっている可能性が高いです。)

勉強の合間に食べているものとして菓子類が多いですが、便通改善に良いとされる食品(菓子)で取りたいものの第1位に高カカオチョコレートが挙げられています。便秘改善作用もあり、適切な量なら手軽で良い選択と言えます。

以前から日本トイレ研究所で行ってきた複数回の小学生調査では便秘は約20%でした。一般的に成長でよくなると考えられている便秘が、高校生でこれだけ多いとすると、小児期の便秘がそのまま持ち越している可能性があり、小児期からの啓発、治療をもっと進めるべきと考えます。

中野美和子先生

学校法人神戸学園理事・校長、さいたま市立病院小児外科非常勤・元部長先天性の排便障害疾患の治療と、一般の子どもの難治性便秘、便通異常、便失禁の治療を長年にわたり行い、2,000人以上の患者を初診してきた。医学博士、日本小児外科学会指導医。鎖肛の会顧問。近著『赤ちゃんからはじまる便秘問題』(言叢社)

<調査概要>
①高校生調査…●調査時期:2021年11月17日(水)〜 11月22日(月) ●調査手法:インターネット調査 ●調査対象:全国の高校1年生〜3年生の1,000人 ②東大生調査…●調査時期:2021年11月17日(水)〜 12月1日(水) ●調査手法:機縁法によるインターネット調査●調査対象:現役東大生50人 ※本調査では、小数第2位を四捨五入している。そのため、数字の合計が100%とならない場合がある。

出典元:特定非営利活動法人日本トイレ研究所

構成/こじへい

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