全国的に地域開発が進んでいるが、その中でも、新しい多機能型施設がどんどん登場している。特に近年のテレワークの浸透により、「働く」と「暮らす」が融合した街や施設づくりのトレンドの波がきているようだ。特に、子育て中の働く人にとって、暮らしやすいエリアや施設が増えている。
今回は、そのトレンドの象徴ともいえる、「働く」と「暮らす」の要素を兼ね備えた新しい複合型多機能施設を3つ取り上げて紹介する。
千葉県流山市の次世代型物流施設「GLP ALFALINK 流山」
●次世代型物流施設「GLP ALFALINK 流山」とは?
千葉県流山市に、大規模多機能型物流施設プロジェクトとして「GLP ALFALINK(アルファリンク) 流山」が先日、街びらきとなった。
これは物流不動産や関連テクノロジーに特化した事業会社である日本GLPが手がけるプロジェクトで、次世代型の物流施設だ。総延べ床面積約90万平米超で、敷地内にはマルチ用途な大規模物流施設が存在する。従来の物流施設にはなかった生産加工、保管、流通加工、配送まで、物流サプライチェーンをトータルで網羅し、人材・スペースなどのシェアリングが可能だ。
そして流山市は、積極的な子育て支援から人口増加率が千葉県内5年連続No.1というエリアであることもあって、物流施設内で働く人が、子育てしながらでも働きやすい環境が追求されている。さらに、同時に地域住民などの一般人もカフェやレストラン、公園などの共用スペースの利用ができるのが特徴だ。
GLP ALFALINK流山で働く人は、具体的にどんな恩恵を受けられるのだろうか? 日本GLP担当者に聞いた。
「施設内で働くすべての人の労働環境に着目し、倉庫内のアメニティの充実、託児所の設置など多様な設備を完備しており、快適に働くことができます。敷地内には公園、共用部にはカフェテリア、瞑想ルームやヨガルームといったリフレッシュスペースなどもあり、休憩時間にしっかり寛いでいただけるスペースとして過ごしていただきたいと考えています。また、施設内に託児所も完備しているので、小さなお子さんのいらっしゃる方にも『とても働きやすい』と好評いただいています」
●一般向けにも開放! 利用シーンとは
ところで、一般人としては気になるのが共用施設ではないだろか。GLP ALFALINK流山ではどんな施設やスペースが開放されているのだろうか?
「GLP ALFALINK流山8では、1F共用部のカフェやレストラン、公園を一般開放しています。GLP ALFALINK流山2では、1F共用部の休憩スペースやコンビニも同じく、特別な手続きなく自由にお使いいただけます。Wi-Fiも完備されています。
また、GLP ALFALINK流山では、公園や共用スペースを活用した地域の方々向けの各種交流イベントや、防災に関する啓もう活動などを定期的に実施予定です。これらのイベントには事前にアプリ等からお申込みいただければ地域住民の方、一般の方にもご参加いただけます。地域に開かれた物流施設として、地域の人々が気軽に足を運びやすい環境が整っています」
一般人が利用する場合、どんな風に利用できるのだろうか?
「平日に近隣のビジネスパーソンがカフェテリアやレストランでランチすることも、休日にファミリー層がランチで遊びに来ることも可能です。実際には、近隣の高齢者の方々が散歩の途中でお立ち寄りいただいたり、地元高校の学生が勉強をしていたりする光景をよく見かけます。施設就業者以外の一般の方にも提供しているGLP ALFALINK流山の公式アプリをインストールすれば、アプリ会員限定価格で大変お得に、ワンコインで立派なランチ定食を召し上がっていただくことができます。
ワークスペースに関しては入居企業様のご利用状況を見ながら、今後、一般の方のご利用についても検討する予定です」
従来の物流施設の働く環境に改革が起きただけでなく、一般人にも開かれた物流施設というのは新しい。これを契機に流山市も押さえておきたいエリアといえる。
働く人と暮らす人の新しい複合型多機能施設2選
その他にも、働く人と暮らす人の複合型多機能施設という点から、さまざまな施設が作られている。今回は、名古屋にオープンした新しいイオンモールと、横浜市中区の開発プロジェクトについて紹介する。
1.「イオンモール Nagoya Noritake Garden / BIZrium 名古屋」
愛知県名古屋市西区に2021年10月、新たなオフィス複合型商業施設が誕生した。それは、「イオンモール Nagoya Noritake Garden(イオンモール名古屋ノリタケガーデン)」で、ショッピングのできる商業ゾーンとともに、イオンモールが手がけるオフィス「BIZrium 名古屋」を併設しているのが特徴だ。
立地は、名古屋駅北1㎞ほどの位置にあり、都心部でありながら自然あふれる理想的なエリア。新たな商業施設開発と働く人と企業の成長を支えるオフィスを融合する。
商業ゾーンは1F~3Fで、東海エリア初出店41店、愛知県初出店7店を含む約150店舗が出店している。都市型モールならではのアーバン・カルチャーテイメントを提供する試みで、プラネタリウム、ブックカフェ、ゲームが楽しめるアミューズメントエリアも備える。
平日は「仕事」と「暮らし」が融合し、休日はショッピングやエンタメなどを存分に楽しめる。まさに現代人の暮らしには理想的な施設といえそうだ。
2.横浜市・北仲通北B-1地区に住宅・オフィス・商業の大型複合施設
総合物流企業である株式会社日新と東急不動産株式会社、京浜急行電鉄株式会社、第一生命保険株式会社の4社が、2021年5月に横浜市中区の北仲通北B-1地区における開発プロジェクトを推進することを発表した。本プロジェクトは4社のパートナーシップによって行うという。
現在、駐車場として利用されている地に、共同住宅、オフィス、商業、駐車場などからなる大型複合施設を建設する構想で、竣工は2027年を予定している。
エリアはみなとみらい線「馬車道」駅より徒歩約2分の場所で、歴史的建造物や海沿いのプロムナードや広場などがあり、ショッピングや遊び目的で訪れたくなるのはもちろんのこと、暮らしたくもなるエリア。
大型複合型施設が作られることで、よりこのエリアに住んで働き、暮らしを楽しみたい人々が増えるだろう。
「働く」と「暮らす」を融合する多機能施設を紹介してきた。いずれも、ワークとライフの融合の大きな流れを感じる取り組みといえる。住まうエリアを検討する際に参考にしてほしい。
【参考】
「GLP ALFALINK 流山」
「イオンモール Nagoya Noritake Garden」
日新「北仲通北 B-1 地区の開発計画策定」について
取材・文/石原亜香利