誰かが「デリカシーがない」と評されているのを聞いて、自分も陰で言われていやしないかと、ドキッとした経験はないでしょうか?デリカシーがない人の特徴とともに、デリカシーがないと言われないために心がけるべきポイントを紹介しましょう。
そもそもデリカシーとは
デリカシーという言葉の意味をご存知でしょうか?何度か耳にしたことはあっても、具体的な意味は説明できないという人も少なくない言葉でしょう。
まずはデリカシーの意味や語源を解説するとともに、使い方の例を紹介します。
「デリケート」の名詞形
デリカシー(delicacy)は、英語で繊細な、精巧な、上品な、などを意味する形容詞デリケート(delicate)の名詞形です。人の性格や振る舞い、機械の構造、料理の味などが細やかである様子を表現する言葉です。
日本語にもカタカナ語として取り入れられており、語源である英語から意味はほとんど変わっていません。
現代日本では主に、神経の細やかさ、思いやりのある様子、気配りができるさまなど、人の気質や言動の傾向を指す言葉として使われているでしょう。
デリカシーの使い方
デリカシーは、「デリカシーがない」「デリカシーに欠ける」など、否定形の言い回しで使用されることが多い言葉です。参考までに、デリカシーを用いた例文をいくつか紹介しましょう。
- 彼の発言にはデリカシーがない
- あなたのデリカシーに欠ける行動にはいつも冷や汗をかかされる
- 彼女のデリカシーのなさには嫌気が差している
- きみはもっとデリカシーのある振る舞いを身につけるべきだ
このように、繊細さや思いやりの足りない言動を批判する際に用いられるケースがほとんどと言えます。
デリカシーがない男女の特徴
デリカシーがない人の言動には、いくつかの特徴があるでしょう。男女の別なく相手の細やかな心情を読み取るのが苦手なため、俗に言う『空気が読めない』振る舞いが増える傾向にあります。
プライベートに踏み込んでくる
デリカシーがない人は、相手が触れてほしくないと思っている話題を平然と持ち出してしまいます。
たとえば、結婚や出産といった人生観に関わる話や、年収や貯蓄といった経済事情に関わる話などは、個々人のプライベートな領域に属する話題として、通常の会話では避けられる場合が多いでしょう。デリカシーのない人には、そのような配慮の精神がありません。
「子どもは産まないの?」「旦那さんの年収はいくら?」などと、自分が気になったことや知りたいと思ったことは、相手との関係性やTPOをわきまえずに尋ねてしまうのが、デリカシーのない人の特徴でしょう。
なんでも口に出してしまう
思ったことを何でもすぐに口に出してしまうところも、デリカシーのない人の特徴でしょう。裏表のない正直者と言えば聞こえはよいですが、人を傷つける発言も平気で行うため、人間関係に支障を生じさせることが珍しくありません。
仕事でミスをして落ち込んでいる友人に向かって、「あんたって昔から抜けてるところあるもんね!」などと笑いながら言ってしまえるのが、デリカシーのない人なのです。
発言する前に「こんなことを言えば相手はどう思うだろうか?」と想像しない、あるいはできないため、言ってよいことと悪いことの区別を付けられないのでしょう。
他者の心情に対する想像力と共感性が、著しく不足している人と言えます。
マナーが悪い
デリカシーのない人は、他人の気持ちを考慮しようとしません。「周囲を不快にさせないようにしよう」「他人に迷惑をかけないようにしよう」という配慮がないため、マナーに反する行動が目立つ場合もあるでしょう。
遅刻を繰り返したり、身だしなみがおざなりで清潔感に欠けていたりと、人として求められる礼儀作法が身についていないケースも少なくありません。
想像力に乏しいため、相手がひそかに抱いている怒りや苛立ちにも気づけないことがほとんどでしょう。
デリカシーがない人への対処法
デリカシーがない人は、他人を不快にさせる言動を繰り返しがちです。相手をするたびにストレスを感じ、どのように接するべきなのかと頭を悩ませている人も少なくないでしょう。
ここでは、デリカシーがない人に遭遇してしまった際の対処法を紹介します。
できるだけ接触しない
身もふたもないように聞こえるかもしれませんが、デリカシーのない人へのもっとも無難かつ確実な対処法は、相手にできるだけ近づかないようにすることです。
デリカシーのない人は、「普通はそんなこと言わないでしょ?」「何のつもりであんなことしたの?」と問いただしたくなるような思いも寄らない言動で、あなたの心を傷つけてくるでしょう。
繊細な気づかいとは無縁の存在のため、会話の最中にうっかりプライベートな話を聞かせてしまえば、あなたにとって不本意な形で周囲に吹聴される可能性もあります。関われば関わるほど、嫌な目に遭う確率が高まる相手と言えるでしょう。
自衛のために接触する機会自体を減らすというのも、一つの手段として有効です。
無神経なんだと割り切る
デリカシーのない人との交流を絶ちたくても、簡単には縁を切れない場合もあるでしょう。仕事や人付き合いの都合で、どうしてもやり取りを続けなければならないケースもあるはずです。
その場合、相手のデリカシーに欠ける言動を真に受けず、適当な相槌とともに受け流すように心がけましょう。いちいちまともに取り合っていては、あなたの精神が摩耗してしまいます。
怒りで熱くならずに冷めた態度をキープすることで、受けるストレスを多少なりとも軽減できるでしょう。「無神経な人だから仕方ない」「相手にするだけ時間の無駄」と割り切って大人の対応をしてあげるのも、現実的な対処法です。
傷ついた場合は指摘する
デリカシーがない人と意地悪な人は、似て非なる存在です。どちらも相手を傷つける言動をするところは同じですが、デリカシーがない人は相手を傷つけようと思ってわざとそうしているわけではありません。
デリカシーがない人は、ただ相手の気持ちを想像できない、察することができないだけで、悪気はない場合が多いでしょう。「あなたの発言に傷つけられた」「今後は改めてほしい」とはっきり指摘すれば、デリカシーのなさが改善される可能性もあります。
相手の発言のどういう点に、どういう理由で傷ついたのかまできちんと説明してあげると、より効果を望めるでしょう。
デリカシーがないと言われないためには
「自分でも気づかないうちに、デリカシーがない言動をしてしまっているんじゃ?」と不安を抱く人もいるかもしれません。他人から「デリカシーがない」と評されないために、心がけるべきポイントを紹介しましょう。
相手に興味を持つ
デリカシーがない人は、「自分の言動が周囲にどのように受け止められるか」という視点がすっぽりと抜け落ちています。自分の興味関心や価値観にのみ従って発言・行動するので、他者を不快させる可能性が高いと言えるでしょう。
「デリカシーがない」と言われる状態にならないためには、目の前の相手の心情を気にかける、つまりは相手に興味を持つように心がけることをおすすめします。自分の言動に対して、相手がどう感じているかを汲み取る努力をするとよいでしょう。
誰もが思っていることをそのまま口にするわけではありません。顔色や表情、声のトーンなどから、他人の内心に思いをめぐらせる癖をつけましょう。
発言する前にワンテンポ置く
デリカシーがない人は、思いついたことをすぐに口にしてしまう傾向があります。
発言する前に深呼吸をして、ワンテンポ置くことを心がけましょう。そのワンテンポの間に、「この言葉は相手を傷つけないか?」「これは本当に今このときに口にすべき一言なのか?」と熟考するのです。
「口は禍の門」「沈黙は金」「言わぬが花」など、世の中には軽率な発言を戒める警句が数多く存在します。言うべきか言わざるべきか判断に迷う言葉なら、言わずに胸の内にとどめておいた方が無難であるということも覚えておきましょう。
マナーを勉強する
デリカシーがない人は人目を気にしない場合が多く、その自由奔放さがマナー違反な言動を招いているパターンもあるでしょう。
一般的なマナーを勉強して、自分に守れていないものがないかチェックしていくのも、デリカシーがない人間にならないために有効な方法です。街中の書店にもマナー関連の解説書は数多く取り揃えられているので、一度手に取ってみることをおすすめします。
マナーのあり方は時と場合、また相手によっても変わることがあり、必ずしも絶対的な基準があるわけではありません。ややこしく思えるかもしれませんが、世間で多くの人々に共有されているマナーを一通り知っておくことは、うかつな言動を自制する上で欠かせないでしょう。
構成/編集部