日本に住んでいる限り、支払う義務のある税金。日常生活と密接に関わる税金だが、「国民が納める税金は何種類あるのか」「消費税はどのように使われているのか」など、意外と知らないことも多い。そこで本記事では、社会人が最低限覚えておきたい税金の基礎知識として、国税と地方税の違いを解説する。
税金の役割と国税、地方税の違い
税金は、公共サービスの提供や政策実施の財源として、国民から集められるお金。納税は国民の三大義務の一つとされている。
税金は何に使われる?
では、国民から集められた税金は、どのように使われているのだろうか。税金の使い道としてもっとも割合が大きいのは、医療や年金、介護などに充てられる社会保障費。次に多いのが、国の借金を返済するための国債費だ。その他にも税金は、警察や消防といった公的サービスを運営するための費用や、災害対策、空港や公園などの整備費用としても使われている。
国税と地方税の違いは?
国税と地方税の違いは、その課税主体にある。課税主体が国の場合は「国税」、地方公共団体の場合は「地方税」に分類され、それぞれの活動や政策の財源になる。なお、国税と地方税は税金の納め方によって、さらに「直接税」と「間接税」に区分される。
主な国税一覧
先述したとおり、国税とは国が徴収する税金のこと。「直接税」と「間接税」の項目に分けて、主な国税をチェックしてみよう。
直接税
国税の中でも、直接税に割り振られる税金は以下の通り。これらは、いずれも事業者などの納税義務者を通さず、担税者が直接国に支払う税金だ。
・所得税
個人の1年間の所得に対して課せられる税金のこと。超過累進税率が用いられ、課税所得金額が増えるほど税率は高くなる。
・法人税
法人が事業活動を通じて得た所得に対して課せられる税金のこと。個人事業主は法人ではないため、法人税を納める必要はない。
・相続税
亡くなった人から財産を相続した時にかかる税金のこと。取得した財産の金額に応じて、税率が定められている。
・贈与税
贈与によって得た財産に課税される税金のこと。贈与者との関係性や贈与の合計額によって税率が決められている。
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間接税
国税の中でも、以下の項目は間接税に分類される。
・消費税
商品を購入したり、サービスの提供を受けたりした際にかかる税金。消費者が負担し、事業者が納付する。
・酒税
酒税法に基づいて、ビールやウィスキー、清酒などに課される税金。納税義務者は酒類の製造者や輸入者だが、実際に酒税を負担するのは消費者になる。
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・たばこ税
たばこ税法に基づき、製造たばこに対して課せられる税金のこと。たばこの金額には、国に納める「国たばこ税」や「たばこ特別税」の他に、地方自治体に納める「道府県たばこ税」「市町村たばこ税」に加え、消費税が加算されている。
・自動車重量税
車の重さに応じて課税される税金のこと。自動車を購入し、初回登録時と車検の際に車検の有効期間分をまとめて支払う。購入からの経過年数によっても税額が増えていく。
主な地方税一覧
地方自治体が課税主体になっている地方税は、都道府県が課税する「道府県税」と市区町村が課税する「市町村税」に区分けされる。
直接税
地方税に区別される直接税は以下の通り。
・住民税
それぞれの自治体が行う行政サービスや特別政策に使われる税金のこと。担税能力によって納める税額が変わる。
・事業税
個人、または法人が営む事業そのものに課される税金。事業所等が所在する都道府県が課税主体となる。
・自動車税(種別割)
普通自動車などを所有する人が納める税金。車種や用途、排気量に応じて税額が決まる。
・固定資産税
固定資産とされる土地や家屋、償却資産にかかる税金のこと。その年の1月1日時点の所有者が納税義務者になる。
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間接税
地方税に分類される間接税には、以下のような種類がある。
・地方消費税
国税の一つである消費税10%のうち、2.2%(軽減税率の場合、消費税8%のうち1.76%)は地方消費税として徴収される。
・入湯税
温泉に入浴した時にかかる税金のこと。温泉に入った客が入湯税を支払い、施設の経営者が納付する。
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・ゴルフ場利用税
ゴルフ場を利用する人にかかる税金。ホール数や利用料金によって、各ゴルフ場の等級が決まり、その等級によって税額が定められている。
文/oki