プレゼントと共に夢を運び、世界中のほとんどの人が知っているものの、ほとんどの人が見たことがない人物……、それが「サンタクロース」です。なんとなく正体を知っている大人のあなたは置いておいて、子供にとっては“一度は会ってみたい人”の一人かもしれません。
そんなサンタクロースを、人工衛星やジェット機といった、人類の英知を結集させて“本気で”追跡する組織があるのをご存じでしょうか。今回は、そんな「NORAD」という組織について紹介していくので、大人のあなたも、子供に戻ったつもりで楽しんでもらえれば幸いです。
本気でサンタクロースの追跡をする「NORAD」ってどんな組織?
【参照】NORAD 日本語版公式HP
「NORAD」は、日本語で正式に表現すると「北米航空宇宙防衛司令部」。アメリカとカナダの2か国からなる、航空宇宙警告、航空宇宙コントロール、海上警告を通じて、母国を守ることを目的とした組織となっています。
具体的には、宇宙にある人工物を見つけたり、飛行機やミサイル、宇宙船が北米を攻撃しないかを、あらゆる指令・相互支援を使って調査しています。
「NORAD」はどうやってサンタクロースを追跡している?
「NORAD」がミサイルや宇宙線を追跡するために重要なシステムが、「北部警戒システム」と呼ばれるレーダーシステム。カナダ北部からアラスカ全域の47か所を結ぶレーダーシステムのことで、このレーダーを使ってサンタクロースが北極から出発する様子を確認しているとのことです。
レーダーシステムのほかにも、熱を感知できる人工衛星や自由に空を飛びまわるジェット戦闘機を駆使し、サンタクロースの追跡を行っています。
「NORAD」は1955年からサンタクロースの追跡を続けている!
サンタクロースの追跡は、「NORAD」の前身となる組織である「CONAD(中央防衛航空軍基地)」が1955年に開始。1958年に「NORAD」が創設された際にも、追跡任務を引き継いだ形となっており、それ以来毎年サンタクロースを追跡しています。
サンタクロースの追跡を始めたきっかけは、“偶然”とのこと。というのも、24時間365日休むことなく、航空機やミサイル、宇宙船の打ち上げごとに、北米大陸周辺を飛ぶ物体の監視を続けていく中で、たまたま始めたものだとのことです。
とはいえ、現在はサンタクロースを追跡するテクノロジー・能力・人材を備えた唯一の組織と自負しており、サンタクロース追跡というミッションを誇りに思っているといいます。
サンタクロースはどんなルートを通って世界中を飛び回っている?
ここからは、50年以上の歴史を持つ「NORAD」がこれまで調べてきた、サンタクロースの情報について紹介していきましょう。
サンタクロースは通常、太平洋上を日付変更線からスタートして西向きに移動するとのこと。つまり、南太平洋を先に訪れ、オセアニア大陸を経由した後に、日本に向かって北上してくるとのことです。
【参照】NORAD 日本語版公式HP
その後アジア諸国をめぐった後にアフリカを横切り、西ヨーロッパ、アメリカ大陸へと進んでいきます。これが一般的なルートですが、飛行経路は天候によっても左右されるため、その年にどのルートを通るかは予測がつかないようです。
ちなみにサンタクロースがクリスマスイブの24時間以内に世界中を回れる理由として、サンタクロースの時間の体験は人間とは異なると考えられているようです。サンタクロースにとっては、24時間が、数日や数週間、数か月に値する可能性もあるとのことです。
「NORAD」のレーダーがこれまでに収集したデータや、飛行データ、人工衛星の追跡に基づいて計算すると、サンタクロースの身長は約170cm、体重は180㎏程だとのこと。我々がイメージするサンタクロースの通り、おなかが少し出ていて、白く長いひげを生やしているとのことです。
サンタクロースの追跡は多数の有名企業がスポンサーになっている!
さて、ここまでまるで絵本の世界のようなお話をしてきましたが、「NORAD」のサンタクロース追跡プログラムには、我々の生活にも深くかかわっている、世界的に有名な企業がスポンサーとしてついています。
例えば、Windows OSなどを展開する「Microsoft」、有名パソコンメーカーである「HP」、アメリカの大手通信事業者である「Verizon」など、一度は耳にした企業が多く名を連ねています。
「NORAD」スポンサー企業(一部抜粋)
ユニークでお茶目なプログラムではありますが、童心を忘れない取り組みに、多くの企業が共感しているのかもしれませんね。
【参照】NORAD 日本語版公式HP
※データは2021年12月上旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤文彦