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トヨタが16車種のバッテリーEVを一気に公開した理由

2021.12.20

トヨタは、2021年12月14日(火)15時00分より、バッテリーEV戦略に関する説明会を開催した。

豊田章男社長のスピーチは、以下の通り。

こんにちは。豊田 章男です。本日はご多用の中、ご来場を賜り、誠にありがとうございます。本日は、カーボンニュートラルの実現に向けたトヨタの戦略、その中で、有力な選択肢であるバッテリーEVの戦略について、お話をさせていただきます。

カーボンニュートラル。それは、この地球上に生きるすべての人たちが、幸せに暮らし続ける世界を実現することだと思います。そのお役に立つことが、これまでも、これからも私たちトヨタの願いであり、グローバル企業としての使命でもあると考えております。

そのために、私たちは、できる限り多く、できる限りすぐに、CO2を減らさなければなりません。今、私たちは、多様化した世界で、何が正解か分からない時代を生きております。その中では、1つの選択肢だけですべての人を幸せにすることは難しいと思います。

だからこそトヨタは、世界中のお客様に、できるだけ多くの選択肢を準備したいと思っております。私たちは、すべての電動車は、使うエネルギーによって、2つに分かれると考えております。

一つは、CO2排出を減らす「カーボンリデュースビークル」。クルマを動かすエネルギーがクリーンでなければ、どの電動車も、CO2がゼロにはなりません。そして、もう一つがクリーンなエネルギーを使ってCO2排出をゼロにする「カーボンニュートラルビークル」です。私たちトヨタは、その実現に向け、全力で取り組んでまいります。

本日、皆様に、私たちが準備している新型車をご披露させていただきます。トヨタのバッテリーEV専用車、bZシリーズです。「beyond ZERO」「ゼロを超えたその先へ」を意味する“TOYOTA bZ”。

すべての人に、移動の自由と運転の楽しさを。私たちは、CO2排出などのネガティブインパクトをゼロにするだけではなく、その先も目指してまいります。bZシリーズでは、グローバルでの多様なニーズにお応えするため、バッテリーEV専用プラットフォームを開発いたしました。

bZ4X

そのラインナップの第⼀弾が先日発表したこちらのモデルです。bZ4Xです。SUBARUとの共同開発により、滑らかで思いのままに操ることができる走行性能と、本格SUVとしての走破性を追求いたしました。現在、トヨタ元町工場で来年の発売に向けて生産準備の真っ最中です。皆様のお手元にまもなくお届けいたします。

bZ Compact SUV

さらにbZシリーズのラインナップを拡充してまいります。まずはこの2台をご覧ください。バッテリーEV新時代を予感させる美しいシルエットをミディアムクラスのSUV。一目見ただけで、「乗ってみたい」、「走らせてみたい」、そう思えるスタイルを実現しております。

bZ Small Crossover

そして、こちらは、シリーズの中で最もコンパクトSUV。ヨーロッパや日本を意識した小さくても快適な室内をもつバッテリーEVです。航続距離を伸ばすために電池を増やせば、クルマは大きく、重く、高くなります。小さいクルマだからこそ、徹底的にこだわること。

それは、電費性能です。大切なことは、いかにクルマ全体のエネルギー効率を高めていくか、いかに少ないエネルギーで走れるか。まさに、トヨタが30年以上、磨いてきた技術です。そのすべてを注ぎ、このクルマで、1キロメートルあたり必要なエネルギー量が125ワットアワーという、コンパクトSUVクラストップの電費を目指しております。

bZ SDN

さらに、お客様のファーストカーへのご期待に寄り添うミディアムクラスのセダン。そして、家族と豊かな時間を楽しめる3列シートも可能なラージクラスのSUVもご用意しました。いかがでしょうか。

bZ Large SUV

既存モデルにバッテリーEVを追加するだけでなく、bZシリーズのように、リーズナブルなモデルをフルラインナップでご用意して、あらゆるお客様のニーズにお応えしてまいります。これにより、世界中のお客様にバッテリーEVならではの個性的で美しいスタイリング、走る楽しさ、バッテリーEVのある暮らしをお届けしたいと思っております。

トヨタは世界中のお客様に支えられているグローバル企業です。トヨタブランドは、170以上の国と地域で、約100車種のエンジン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車を投入してまいりました。

レクサスブランドは、90以上の国と地域で約30車種のエンジン車とハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を投入しております。さらにこれから、バッテリーEVでもフルラインナップを実現し、「カーボンニュートラルビークル」の選択肢を広げてまいります。具体的には、2030年までに30車種のバッテリーEVを展開し、グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインでバッテリーEVをそろえてまいります。

それでは、みなさんご覧ください。さらなる、トヨタのバッテリーEVラインナップです!私たちの未来のショールームへようこそ!

まずは、レクサスブランドです。本物を知る人が最後に選んでいただけるブランドでありたい。ブランドホルダーとして、私はそう思い続けています。レクサスは、独自のデザインと走りの味を追求し、ハイブリッド技術のパイオニアとして、電動化の技術を磨いてきました。そして今、レクサスは新たな挑戦を始めます。

President, Lexus International/Chief Branding Officer 佐藤恒治氏のコメント

Lexus RZ

「LEXUS ELECTRIFIED」レクサスが目指す電動化の取り組みをこのように呼んでいます。電動化技術によりクルマの可能性を最大限引き出すこと、それが、レクサスにとっての電動化です。

モーターが生み出すリニアな加減速、ブレーキのフィーリング、そして、気持ちの良いハンドリング性能を組み合わせることで、運転そのものの楽しさを追求し、レクサスらしい電動車をお届けしてまいります。

中でも、バッテリーEVは、電動化がもたらすクルマの進化、その特徴が最もわかりやすく表現されたモデルとして、今後のレクサスの象徴となっていくと考えています。

その最新のモデルがレクサスRZです。バッテリーEVであっても、クルマを鍛え、走りの味を追求していくレクサスの姿勢は変わりません。その終わりのない味の追求は、今後スポーツバッテリーEVの開発を通じて、次のステージに向かっていきます。

レクサスならではの走りを示すとともに、スポーツカーにとって大切な低い車高や、挑戦的なプロポーションにこだわる、レクサスの未来を象徴するモデルです。

加速タイムは2秒前半、航続距離700kmオーバー、全固体電池の搭載も視野に、ハイパフォーマンスバッテリーEVの実現を目指します。

Lexus Electrified Sport
Lexus Electrified Sedan
Lexus Electrified SUV

レクサスは、クルマ屋だからこそできる性能の創り込みや、人の感性に響くものづくりに磨きをかけ、バッテリーEVを通じてクルマの多様な体験価値を提供するブランドに進化させてまいります。

トヨタ デザイン統括部長 サイモン・ハンフリーズ氏のコメント

Crossover EV

世界はますます多様化しています。人々は自らの選択に自信を持ち、自由で楽しいライフスタイルを送ることができるようになっています。私たちは、本当に良い製品とは、お客様のライフスタイルの方向性を高め、新しい体験を生み出すものだと考えています。

そのためには、専用のプラットフォームだけでなく、既存のモデルに関連した電気自動車も含めて、それぞれがユニークで特別な存在でなければなりません。

Compact Cruiser EV
Pickup EV

例えば、トヨタのオフロードの伝統を活かして、新しいエキサイティングなレクリエーション体験を創造することや、汎用性とダイナミックな走りを両立させるために新しい方法を模索しています。

Small SUEV
e-Palette

また、e-Paletteのような商用車は、都市における日常生活の風景を変えるでしょう。より小さなサイズのセグメントでも、新しいモビリティ・ソリューションに挑戦していきます。コンパクトで超多機能なモデルは、仕事にも若者にも新しいエキサイティングな可能性をもたらします。

Mid Box
Micro Box

また、最小サイズのセグメントでは、ビジネスシーンに応じてさまざまなバリエーションを提供するシェアリングの構築などの新しいアプローチを提案します。

SPORTS EV

そして最後に、豊田章男さんのようなクルマ好きの方にもぜひ見ていただきたいのです。EVの時代は、もっといろいろな楽しみ方ができるチャンスでもあります。

あなたのためのEV、私のためのEV、みんなのためのEV。

豊田章男社長のコメント

「EV for everyone」。トヨタのバッテリーEV、いかがでしたでしょうか。今日発表した未来は、決してそんな先の未来ではありません。ご紹介したトヨタのバッテリーEV、そのほとんどがここ数年で出てくるモデルです。私たちは2030年にバッテリーEVのグローバル販売台数で年間350万台を目指します。

レクサスは、2030年までにすべてのカテゴリーでバッテリーEVのフルラインナップを実現し、欧州、北米、中国でバッテリーEV100%、グローバルで100万台の販売を目指します。さらに、2035年にはグローバルでバッテリーEV100%を目指します。

これらを実現するために、私たちは、長い年月をかけて、様々な領域で取り組みを進めてまいりました。車両開発の領域では、トヨタは、1997年に世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」を世に送り出しましたが、実は、その前からバッテリーEVの開発は始まっておりました。

1992年にEV開発部を設置し、1996年にRAV4 EVを市場に投入。その後、2000年代には、小型EVコミューター「e-com」の実証も行ってまいりました。さらに、2012年には、超小型EV「COMS」や小型EV「eQ」を導入。バッテリーEVの可能性を追求してまいりました。

そして、本年、「C+pod」や「C+walk」を発売。「e-Palette」も含め、様々なシーンで移動の自由をお届けするEVの開発を加速しております。

また、1990年代、バッテリーEVと同時に開発が始まったのが、水素で走る燃料電池自動車でした。2002年に「トヨタFCHV」を市場導入し、実証を重ねながら、2008年には、「トヨタFCHV-adv」へと改良いたしました。そして、長年の努力が、2014年の初代「MIRAI」の発売へとつながっていったのです。その後、バスや大型トラックへも展開を図るなど、燃料電池車も進化を続けております。

電池の領域では、トヨタは長年にわたり、内製で、電池の研究開発と生産を続けてまいりました。1996年に現在のプライムアースEVエナジーを設立。ニッケル水素電池の技術を磨きながら、2003年からは、リチウムイオン電池にも取り組んでまいりました。

さらに、2008年には電池研究部を設立し、全固体電池など、次世代電池の研究も行っております。そして、昨年、電池事業を一貫して行うプライム プラネット エナジー&ソリューションズを設立いたしました。私たちは、この26年間、1兆円近い投資をし、累計1,900万台以上の電池を生産してまいりました。

これまでに積み重ねてきた経験こそが、私たちの財産であり、競争力だと思っております。今後は、電池関連の新規投資を9月に発表いたしました1.5兆円から、2兆円に増額し、さらに先進的で、良品廉価な電池の実現を目指してまいります。資源の面では、豊田通商が、2006年から、リチウムなどの調査に着手し、安定的な資源確保を進めております。

また、エネルギーの面でも、豊田通商は、30年以上前から、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーの確保に取り組んでまいりました。さらに、製造現場では、エネルギーの使用量を減らす地道な改善を重ねながら、革新的な生産技術の導入を進め、2035年のカーボンニュートラル達成を目指しております。

正解がわからない時代、多様化の時代においては、市場の動向を見ながら、生産する種類や量をフレキシブルに変えていくことが大切になります。これまでTPSで培ってきたリードタイム短縮や多品種少量生産のやり方、日本のモノづくりの地道な取り組みがこれからの競争力になると考えております。

私たちは、これからも、多くの仲間とともに、あらゆる領域で取り組みを進めてまいります。カーボンニュートラルのカギを握るのがエネルギーです。現時点では、地域によって、エネルギー事情は大きく異なります。

だからこそトヨタは各国、各地域の、いかなる状況、いかなるニーズにも対応し、カーボンニュートラルの多様な選択肢をご提供したいと思っております。どれを選ぶか。それを決めるのは、私たちではなく、各地域の市場であり、お客様です。

どうしてここまでして選択肢を残すのか。経営的な話で言うなら、選択と集中をしたほうが効率的かもしれません。しかし、私は、未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切だと考えております。だからこそ、正解への道筋がはっきりするまで、お客様の選択肢を残し続けたいと考えています。

トヨタが目指すのは、「地球環境への貢献や人々の幸せを願い、行動し、寄り添う企業」です。私たちは、人と社会の「幸せを量産する会社」になりたいのです。私たちは、今の子供たち、その先に続く人たちに昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも良い未来を残してしていきたいと思っています。

未来は、みんなで作るものだと思います。自動車産業には、「日本のモノづくり」と「移動」を支えてきた550万人の仲間がおります。世界には、もっと多くの仲間がおります。みんなが、心を一つにして、意思と情熱を持って行動すれば、次の世代に美しい地球とたくさんの笑顔を残すことができる。

私はそう信じております。そして、必ず、実現してまいります。

ありがとうございました。

■質疑応答

関連情報:https://global.toyota/

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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