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知ってる?熟字訓「抽斗」の読み方と由来

2021.12.25

日本語には、読み方が難しい熟語が数多く存在する。熟字訓と言われる「抽斗」もその一つで、これは「家の中には必ずある身近な物」を指す言葉だ。本記事では、抽斗の読み方や言葉の成り立ちについて解説する。意外と知られていない「抽斗」の歴史も併せてチェックしてほしい。

「抽斗」の読み方は?

抽斗は、机やたんすなどに取り付け、スライドさせて中身を出し入れする箱のことで「ひきだし」と読む。「引き出し」と書くのが一般的だが、なぜ「抽斗」という漢字二文字を「ひきだし」と読むのだろうか。詳しく見ていこう。

「抽」の意味

「抽」は音読みで「ちゅう」、訓読みで「抽(ひ)く」「抽(ぬ)く」と読み、引き抜く・抜き出すという意味がある。抽出・抽選といった熟語を思い浮かべると、抽の意味が明確になるはずだ。

「斗」の意味

「斗」は音読みで「と」、訓読みで「ます」「ひしゃく」と読む。訓読みの通り、枡(読み方:ます/液体や穀物などの分量を量る四角い箱・容器のこと)を表す漢字だ。

「抽斗」の成り立ち

この抽と斗とを組み合わせることで「枡(箱)から引っ張り出す」という意味が生まれ、「引き出し」を表す語として用いられるようになった。しかし、「抽斗」の抽は単体で「ひ(き)」と読めるが、斗は「だし」とは読めず、漢字本来の音を無視した読み方をしていることが分かる。これは、当て字の一種の「熟字訓(じゅくじくん)」と言われる読み方だ。

抽斗に代表される「熟字訓」とは?

熟字訓とは、抽斗のように漢字二文字以上で出来ている熟語(熟字)を、一つのかたまりとして訓読みすること。一文字ずつ分けて読むことができないのが特徴だ。例えば、「大人」という熟語は「おとな」と訓読みするが、「大」と「人」に「おと」「な」/「お」「とな」という音がある訳ではない。大人という熟語になってはじめて、「おとな」という音で読まれる。

このように、熟字訓は漢字の通常の読み方を無視したもので、あらかじめその言葉の読み方を知っていないと読み方が分からない。「抽斗」の読み方が難しい理由はここにある。

代表的な熟字訓

現在用いられている常用漢字表(日本語でのコミュニケーションを円滑に行うために習得しておきたい漢字を定めたもの)には、116個挙げられている熟字訓。代表的なものとしては、昨日(きのう)、今日(きょう)、明日(あす)、梅雨(つゆ)、土産(みやげ)などが挙げられる。

難読な熟字訓

抽斗の他にも、読みにくい熟字訓は数多く存在する。ここでは、特に読み方の難しい熟字訓「御虎子」について紹介する。

・御虎子

御虎子は「おまる」と読み、字面からは想像もできないが、持ち運び可能な幼児用の便器のことを指す。これは、中国の携帯便器「虎子」に日本語の「用を足す」という意味の動詞「放(ま)る」を当てたもの。虎子は形が小判に似ているため、小判を意味する「虎の子」から名付けられたと言われている。

難読熟字訓には他にも、香具師(やし)、百舌鳥(もず)など、音の数よりも漢字の文字数の方が多いものも存在する。

「音」を優先した当て字

熟字訓とは対象的に、「漢字の音を優先し意味を無視した当て字」も存在する。「亜米利加(アメリカ)」、「独逸(ドイツ)」などの外国名がその代表例だ。それぞれの漢字に意味はなく、国名の音に合った漢字があてがわれている。

抽斗の歴史

上述した通り、「箱から引っ張りだす」という意味の抽斗。箱型の家具自体は古代エジプト時代から使われていたが、スライドタイプの抽斗の歴史は意外と浅い。特に、一般庶民が抽斗を使うようになったのは驚くほど最近だ。最後に、抽斗の付いた家具(チェスト・たんす)の歴史について紹介する。

チェスト

チェスト(衣類や小物等を収納するための抽斗付き家具)の原型は、13世紀前後に誕生したという説が有力。ただし、それには抽斗はなく、ボックス型に蓋が付いたものだったという。抽斗付きのチェストが誕生したのは16世紀になってから。抽斗の英語訳はdrawerで、chest of drawersがチェストの正式名称だ。このchest of drawersが一般に普及し始めたのは、17世紀頃と言われている。

たんす

江戸時代に登場したと言われる、たんす。寛文年間(1661年~1673年)に、大阪で造られた長持(ながもち)が最初と言われる。長持は、衣類や寝具などを収納する長方形の木箱を原型に発展した収納家具。たんすと比べ、多くの材料や高度な製作技術が必要になることからとても高価だったそう。そのため、庶民に浸透するには時間がかかり、たんすが一般的に利用されるようになったのは江戸時代末期からだという。

抽斗をDIYする現代

元々はとても高価で、庶民がなかなか手にできなかった抽斗。しかし、現代ではさまざまな家具に当たり前に付いているだけでなく、DIYで作れるほど身近なものになった。「収納スペースを増やしたい」「引き出しの中にさらに引き出しを作りたい」など、自分に合った収納が欲しいときには、道具や材料をホームセンターなどで入手してDIYに挑戦してみてはどうだろうか。

文/oki

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