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【東京外食大全】低価格でボリューム満点!スパゲッティのファストフード「ロメスパ」の魅力

2022.01.08

ロメスパ

 前回、「コロナ禍でも強かった外食はハンバーガーと回転寿司と鰻」と書きましたが、早い話、それって全部炭水化物ですよね。緊急事態宣言中、自治体からの度重なる時短・酒類提供制限・人数制限の要請で、売り上げの多くを酒に依存していたバーや居酒屋、あるいは大人数の会食に依存していた大箱店が壊滅的打撃を受けたのに比べ、米やパンなどの炭水化物の主食をひとりで食べる個食の店は、売り上げをさほど落としませんでした。

 そうした状況をふまえ、今、新店がどんどん増えているのが、ワンコインに近い低価格でボリューム満点の食事ができるスパゲッティのファストフード、ロメスパです。立ち食いソバ店は、以前からマニアの間で「路傍の麺屋」、略して「路麺(ろめん)」と呼ばれていましたが、そのスパゲッティ版だから、ロメスパ(ただしロメスパはほとんどが座って食べる店ですが)。まさに個食の代表選手といえます。

 ロメスパの作り方は、まず、ゆでた太めの麺をくっつき防止のためにサラダ油をかけ回して冷蔵庫で一晩寝かしておき(こうすると、若者が大好きな「モチモチ感」が増すそうです)、それを常温に戻したうえで、注文が入ったら大きなフライパンか中華鍋で具材と一緒に強火で炒める——通に言わせると、先に具材をフライパンに入れて15秒、次に麺を投入してチャーハンを炒める要領でもう30秒、ソースを加えてさらに30秒。麺が焦げやすいので、麺を入れてから計60秒以内で調理を完了させるのがコツなんだとか。

 正しいロメスパは、麺の中まで熱々でなければなりませんが、ソースをベチャつかせず、麺も焦げつかせずに全体を熱々にするには技術が必要で、とてもバイトが作れるものではありません。また、麺をソースと混ぜて軽やかに絡めるには、かなりの腕力も必要ですが、疲れたからといってバイトに代わってもらうわけにもいかないので、一日中フライパンを振っているロメスパの料理人の多くは、左の漫画のように、手首が腱鞘炎になってサポーターを巻いています。 実はこうした作り方は、年配の方には懐かしい昔の喫茶店のナポリタンと同じ。ロメスパのルーツは喫茶店のナポリタン、といえるかもしれません。

 ところで、東京には、昔から「パスタ」ならぬ「スパゲッティー」の専門店がありました。その第1号は、CIAの初代東京支局長だったといわれるポール・ブルームの邸宅で通訳兼執事として働いていた成松孝安が、ブルームの支援のもと、1953年に新橋・田村町に開いたミートソーススパゲッティー専門店『Holein the wall』。店名は、シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に出てくるフレーズから、ブルームが命名したもの(CIAが日本のスパゲッティー専門店の歴史に絡んでたなんて、ちょっと驚きですね)。この店が1963年に、渋谷区宇田川町の今の東急ハンズの正面口の向かいに、『壁の穴』と店名を日本語に変えて移転。そしてこの渋谷『壁の穴』で、成松孝安は、しめじ・たらこ・ウニ・納豆といった日本の食材を使った和風スパゲッティーのメニューを開発してゆきます。

主要ロメスパ店

『壁の穴』の出身者が1972年に小田急線・代々木八幡駅前に出店したのが『ハシヤ』。その『ハシヤ』の出身者たちが、1970年代後半から80年代にかけて、「たらこ・ウニ・イカ」や「アサリ・納豆・しめじ」といった和風メニューを売りにした、いわゆる「ハシヤ系」スパゲッティー専門店を東京中に出店。代々木八幡の本家は、残念ながら2018年で閉店してしまいましたが、「ハシヤ系」の店は今も東京中で元気に営業を続けており、北参道の『スパゴ』など、1983年開業時の雰囲気を今にとどめています(ここと、青山3丁目にあった『スパゲッティ・ファクトリー』は、デートで本当にお世話になりました)。

 そうした日本ならではのスパゲッティー専門店文化と、喫茶店のナポリタン文化が融合して生まれたのが、ロメスパです。そのルーツは、諸説あるものの、第1次オイルショックが起こった1973年に大手町ビルヂングの地下にオープンした『リトル小岩井』と、そこの出身者が第2次オイルショック直後の1980年に有楽町の有楽フードセンター(現・銀座インズ3)の1階に開いた『ジャポネ』というのが定説。

 そして20年ほどのブランクの後、次に店が増えたのが、リーマンショック後の2009年からアベノミクスが始まるまでの3年。この間、WDIが『ロメスパバルボア』、ファイブグループが『スパゲッティーのパンチョ』、豊創フーズが『がっつり!スパゲッティぱすたや』と、大手外食企業が次々にロメスパのチェーンを創業。ロメスパという言葉が生まれたのも、この時です。

 今は、第3次のロメスパブーム。今回のブームは、既存チェーンが店舗を増やしているだけでなく、代々木上原と椎名町のクリームソース系スパゲッティ専門店『白系スパゲッティ』やWDIが下北沢に出店した『カプリチョーザ』の看板メニュー「トマトとニンニクのスパゲティ」をテーマにした『1978年 渋谷で生まれたスパゲティ』など、これまでのロメスパの定義を超えた高級志向の店ができて、バリエーションが広がっているのが特徴。

 しかし、こうして見ると、低価格で腹いっぱいになるロメスパは、常に不況時に増殖しているもの。経済が回復しない限り、まだまだロメスパの店は増えるのではないでしょうか。

『リトル小岩井』

大手町ビルヂングB2Fの『リトル小岩井』は、(1)太麺、ゆで置き、(2)大盛りあり、(3)カスタマイズ可能、というロメスパの3条件を確立した店。1973年開業。 並盛り1人前540円〜という安さも魅力。経営元の小岩井ファームダイニングは、小岩井農場を運営する小岩井農牧の100%子会社。ビルのリニューアル工事のため休業していましたが、10月から再開しています。◆住所:千代田区大手町1-6-1 大手町ビル B2F ◆電話:03・3201・2024

『ロメスパバルボア 池袋サンシャイン店』

『ロメスパバルボア 池袋サンシャイン店』は10月18日にオープンしたWDIの正統派ロメスパ専門店の6号店。12席。看板メニューのナポリタンが並盛り650円。1号店は2011年に日本橋室町に開業。その後、虎ノ門・霞が関・神田小川町・御徒町に出店し、今回の出店は6年ぶり。◆住所:豊島区東池袋 3-1-2 アルパ3F ◆電話:03・6812・1808

ロメスパ

【秘訣】不況時の客の関心はボリューム

取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ

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