最新の音響工学、音響心理学の研究成果に基づく音質設計を導入
国内オーディオメーカーのfinalは、自社ブランドfinalから、新しい定番と言える完全ワイヤレスイヤホン「ZE3000」を2021年12月17日より発売を開始する。想定販売価格は15,800円(税込)。
製品名は同社有線イヤホンのスタンダードモデル「E3000」に由来
ZE3000の製品名は、finalブランドを代表する有線イヤホン「E3000」に由来する。E3000は2017年の発売以来、累計販売は国内外で数十万台を超え、日本最大のオーディオビジュアルアワードVGPでも異例の10期連続で金賞を受賞している。
E3000が発売された当時、同価格帯のイヤホンは、一聴した際に強い印象を与えられるように、低域と高域を共に強調する派手な音作りがされた製品が主流だった。
それに対してE3000は音響工学や音響心理学などの学術的な知見に基づき、強調された帯域を設置しない自然な音作りを選択。一聴した際の派手さはないが、音楽を楽しむことに集中できる製品としてSNSを中心に高い評価を受け、その結果、定番イヤホンと言われる製品に成長していった。
筐体の内部圧力を最適化する「f-LINK(エフリンク)ダンピング機構」を新開発
ワイヤレス化に関しての問題の一つは、防水機能を持たせるために筐体を完全に密閉することで低域が過多になってしまうこと。完全ワイヤレスイヤホンは、バッテリーや電子基板、アンテナ等を筐体内に高い密度で収める必要があり、そのため、音質をアコースティック的な手段で調整する自由度が低くなり、もともと厳しい制約条件の範囲内で音作りをせざるを得ない。
さらに、完全ワイヤレスイヤホンには防水性能が求められるため、イヤホン筐体内部の音響空間の圧力を最適化するベント(通気孔)を筐体外部に設けることができない。その影響で低域が過多になり、バランスを取るために高域を強調することになる。
結果として、同社によれば多くの完全ワイヤレスイヤホンは低域と高域を共に強調した派手な音作りになっているという。
そこでZE3000では、イヤホンの筐体内部の音響空間の圧力を最適化し、筐体外部へのベント無しで有線イヤホンと同等の音作りを可能にする「f-LINK ダンピング機構」を新たに開発。この機構によって、防水性能と低域の適切な音作りを両立することが可能になり、過去にE3000で実現した、強調された帯域を作らない自然な音作りを完全ワイヤレスイヤホンで実現することができた、と同社では説明している。
超低歪を実現した新設計ドライバー「f-Core for Wireless」搭載
もう一つは歪みの問題だ。現在、優れたオーディオ機器、アンプなどの電子機器の歪みは0.0001%程度と極めて低くなっている。
それに対して、イヤホン内部のドライバーユニット(スピーカー部分)で発生する歪みは、優れた製品でも低域では1%以上。
つまり10,000倍以上の歪みが、イヤホンのドライバーユニット(スピーカー部分)で電気信号を音に変換する過程で発生していると言える。
この歪みを大幅に低減することができれば、音質は飛躍的に向上することになる。
そこで、同社では新たに製造方法から全てを見直し、超低歪を実現した新設計のドライバーユニット「f-Core for Wireless」を完成させた。
これにより、他の音に埋もれて聴こえにくかった一音一音の細かな部分を明瞭に聴き分けることが可能になり、さらには残響音が減衰していく過程を最後まで聴きとれることで、音楽の音空間の広さまでもしっかりと感じられるようになったという。
ZE3000の主な仕様
製品名/ZE3000
カラー/BLACK、WHITE
通信方式/Bluetooth 5.2
再生周波数帯域/20Hz~20KHz
対応コーデック/SBC、AAC、Qualcomm aptX、aptX Adaptive
対応プロファイル/A2DP、AVRCP、HSP、HFP
連続音楽再生時間/最大7時間(ケース込み最大35時間)
バッテリー容量/イヤホン片耳35mAh/ケース300mAh
付属品/充電ケース・イヤピース5サイズ(SS/S/M/L/LL)・USBタイプC充電用ケーブル
発売日/2021年12月17日(金)
関連情報
https://final-inc.com/products/ze3000-jp
構成/清水眞希