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もしも裁判員に選ばれたらどうなる?覚えておきたい会社、給料、守秘義務のこと

2021.12.11

2019年に裁判員に選ばれた方は5718人、補充裁判員(裁判員が欠員となった場合に備えて選任される)に選ばれた方は1919人で、合計7637人でした。

20歳以上で選挙権がある方の13900人に1人程度が、裁判員または補充裁判員に選ばれている計算です。
※2023年からは、18歳・19歳も裁判員・補充裁判員に選ばれる可能性があります。

このように、裁判員に選ばれる確率はかなり低いですが、いざ選ばれた場合には戸惑ってしまう方も多くいらっしゃるかと思います。

裁判員に選ばれたら会社は休めるのか、給料はどうなるのか、裁判員としての経験を家族や友達に話してもよいのか……

今回は、裁判員に関する上記のような疑問に答えていこうと思います。

1. 裁判員は何をする?

裁判員は、日本国民の中から選ばれ、裁判官とともに刑事裁判における判断を行います。

裁判員の主な仕事・役割は以下のとおりです。

・刑事裁判に出席する
・検察官が提出する証拠を取り調べる
・証人や被告人に対して質問する
・裁判官や他の裁判員と一緒に、有罪かどうか、量刑をどうするかを話し合って決める

など

裁判員裁判の対象事件は、以下のいずれかに該当する罪に関する重大事件です。

①死刑・無期懲役・無期禁錮に当たる罪
②故意に被害者を死亡させた罪

このような重大事件の被告人について裁きを行うため、裁判員は重い使命と責任を負っています。

2. 裁判員に選ばれたら会社を休める?給料はどうなる?

会社員の方が裁判員に選ばれた場合、会社の仕事を休んでもよいのか、その間の給料はどうなるのかが気になるポイントかと思います。

この辺りについては、労働基準法や裁判員法の規定上、以下の取り扱いとなっています。

2-1. 裁判員になったら会社を休む権利がある

使用者は、労働者が公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、これを拒んではならないとされています(労働基準法7条)。

裁判員としての職務は「公の職務」に該当します。

したがって、労働者は裁判員としての職務を行うために、会社を休む権利があります。

なお、裁判員としての職務を行うために休暇を取得した従業員に対して、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは違法です(裁判員法100条)。

2-2. 裁判員休暇が有給か無給かは、会社のルール次第

会社には裁判員休暇を認める義務がありますが、その期間も労働者に対して賃金を支払う義務を課す法律上の規定はありません。

したがって、裁判員休暇中の賃金を支給するかどうかは、会社の定めるルールによります。

会社によっては、裁判員に選ばれた際には特別の有給休暇を取得できる旨を定めているケースもあります。

また、通常の有給休暇が残っていれば、それを取得して裁判員休暇に充てることもできるでしょう。

なお、有給休暇扱いとはならずに無給となってしまう場合でも、裁判員には旅費・日当・宿泊料が支払われます。

3. 裁判員として見聞きしたことを家族や友達に話してもいい?

裁判員に選ばれた場合、その経験を家族や友達に話したいという気持ちになるかもしれません。

しかし裁判員には、一定の事項について守秘義務が課されていますので、他人に裁判員としての経験を離すときには注意が必要です。

3-1. 家族や友達に話してもよい内容

家族や友達など近しい人であれば、裁判員に選ばれた事実を話すことは問題ありません。

ただし、裁判員でいる間は、出版・放送・web投稿などにより、裁判員であることを公にすることは禁止されているので注意しましょう(裁判員法101条1項)。

また、公開法廷で見聞きした事柄については、守秘義務の対象外なので、家族や友達に話しても問題ありません。

3-2. 家族や友達に話してはいけない内容

裁判員の守秘義務の対象となっているのは、以下のいずれかに該当する事柄です。

①評議の秘密(裁判員法70条1項)

・評議における議論の経過
・裁判員や裁判官が述べた意見の内容
・評決の際の多数決の結果

など

②評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密(同法9条2項)

・被害者など、事件関係者のプライバシーに関する事項
・他の裁判員の個人情報

など

上記に該当する事柄は、たとえ親しい家族や友達が相手であっても、話すことは守秘義務違反に当たります。

裁判員による守秘義務違反は、「秘密漏示罪」として罰せられる可能性があるので注意が必要です(同法108条1項~3項)。

4. まとめ

裁判員に選ばれる機会は、誰もが経験できるものではありません。

責任も重い反面、刑事司法や犯罪について深く考える、貴重な機会になるでしょう。

もし裁判員に選ばれた場合には、一つの刑事事件について責任ある判断をするという気概を持って臨んでいただければと思います。

また、裁判員が職務を全うするためには、会社の上司や同僚をはじめとして、周囲のサポートも大切になります。

裁判員制度について正しく理解し、ご自身や周囲の方が裁判員に選ばれた場合に備えておきましょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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