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【未来テック図解】宇宙太陽光発電、惑星旅行を実現する「宇宙エレベーター」構想

2021.12.15

Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏やZOZO創業者前澤友作氏が宇宙に旅立った2021年。彼らはロケットで飛んだが、まったく違うアプローチで宇宙への旅を実現させるのが「宇宙エレベーター」だ。

長年、夢物語とされてきたが、軽くて強いカーボンナノチューブが発見されると、現実味を帯びるように。大林組は2012年に宇宙エレベーター構想を発表している。宇宙開発が脚光を浴びる今、技術本部未来技術創造部の石川洋二氏に、ビジョンと現状の課題を聞いた。

宇宙エレベーター全体の構造は上図のとおり。地上の基地「アース・ポート」から先端の「カウンターウエイト」までの総延長は約10万km。地球の円周の2.5倍という壮大なスケールだ。

地球の自転をエネルギーに遠心力が働くので、カーボンナノチューブのケーブルは地上に対して常に直立する。ハンマー投げと同じ原理だ。

ワイヤーにつかまって上るので、推進力で空気中を進むロケットより、少ないエネルギーで宇宙空間に到達できるし、事故のリスクも少ない。

ただし、ふつうのエレベーターのようにケーブルが引っ張ってくれるわけではなく、「クライマー」と呼ばれる昇降機が自らの動力で進む。クライマーには、地上から無線送電でエネルギーを送る。

宇宙エレベーター建設のメリットは、低コストで大量輸送が可能になること。「ロケットと比べ輸送コストが2桁下がる、という試算もある」と石川氏。例えば、人類長年の夢である「宇宙太陽光発電」が実現する。

宇宙太陽光発電は巨大なパネルを静止軌道上に打ち上げ、地球に届かない太陽光エネルギーをとらえ、無線で地上に送る仕組みだ。構想は50年以上前からあるが、ロケットの輸送コストが大きすぎて実現してこなかった。

また、地球から離れるほど遠心力は強くなるので、少ないエネルギーで地球の重力圏を脱出できる。先端から放り投げるように宇宙船を放出すれば、地球からよりもはるかに簡単に、他の惑星にたどり着ける。

地上10万kmのカウンターウエイトは、木星や小惑星を目指す「太陽系資源採掘ゲート」を兼ねる。5万6000kmには「火星連絡ゲート」が設置。他の惑星への移住や宇宙コロニーの建設、さらに宇宙への観光旅行などSFのような世界がぐっと近づく。

また、「宇宙から地球へ物を持ち帰るのにも役立つ(石川氏)」というように、JAXAの「はやぶさ」が行ったような小惑星からの資源採取も進むだろう。

さて、ここまで期待が高まって知りたくなるのは、「本当に実現するか? するならいつか?」ということ。大林組の試算では総工費10兆円で工期は25年。2025年着工、2050年完成というタイムスケジュールが組まれており、「現在も予定を断念したわけではない」と石川氏はいう。

とはいえ、実現へ向けた課題は山積みだ。10万kmにもおよぶカーボンナノチューブは存在していないし、クライマーを動かす無線送電も十分ではない。また、アース・ポートをどこに誰がつくり、管理するか、という国際的な課題もある。

宇宙開発は止まらないし、宇宙エレベーターのメリットは大きいように思える。近いうちに人類は技術的、社会的な課題をクリアして、実現へ向けて動き出すのではないだろうか。

●OBAYASHI IDEA
宇宙エレベーター建設構想

取材・文/ソルバ!
人や企業の課題解決ストーリーを図解、インフォグラフィックで、わかりやすく伝えるプロジェクト。ビジネスの大小に関わらず、仕事脳を刺激するビジネスアイデアをお届けします。 
https://solver-story.com/

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