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ドコモの解約率が回復しないのはなぜ?決算発表から読み解く通信会社の最新動向

2021.12.16

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は通信キャリア各社の決算について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

ドコモ、KDDI、ソフトバンク3社は増収減益

房野氏:楽天グループは前回記事で話し合いました。ほかの3社はいかがでしたか?

房野氏

石野氏:みんな仲良く増収減益でしたね。

石野氏

法林氏:料金値下げの影響で、やっぱりちょっと利益は減った。

法林氏

石川氏:でも、予想通りなのがすごいですよね。KDDIもソフトバンクも、600億から700億円のマイナス影響があると事前に言っていたけど、ちゃんと半期で300億円マイナスだったじゃないですか。

石川氏

法林氏:きちんと予算が組めているんだなって思ったよね。

石野氏:ドコモに関しては、料金値下げの影響というより、MVNOに対する接続料と基本使用料の値下げの影響の方が大きかった。基本使用料は、元々音声を付けて700円くらいだったのが、一律で100円以下に下げちゃっているんですよ。つまりMVNO各社が、800円弱ぐらいだった基本使用料をガンと下げた。当然、ドコモはその分を受け取れなくなっている。値下げ分×MVNOの音声回線数分ぐらい下がっているので、影響は大きかった。上期で200数十億円減収したのかな。

房野氏:でも増収なんですよね。

石川氏:端末が売れたという話なんだけど、あれも2020年はコロナ禍で売れなかった反動もある。2020年に新発売した「iPhone 12」シリーズは10月に入ってから販売したじゃないですか。

iPhone 12 mini/12

法林氏:2020年10月と11月の2回に分かれていた。

石川氏:2021年の「iPhone 13」シリーズは9月に売っているから、そのズレが決算期をまたいだ影響があるんじゃないかなって気がするんですけど、誰も質問していなかった。

iPhone 13 Pro Max/13 Pro

法林氏:2020年はキャリアショップが開いていない期間があった。特に夏場はショップが開いていなかった。あれが大きいと思った。

石野氏:4月、5月、6月は、ほぼ営業していなかった。

石川氏:単にその差だと思います。

法林氏:各キャリアのオンラインショップが、リアルショップをカバーできるぐらい売れれば良かったんだけど、残念ながら、その力はまだない。

石野氏:あと、2020年の4月、5月、6月は、よりによって5Gの立ち上げ期で、端末が「これ、本当に買っていいのか?」という感じだった。5G初号機に本当に飛びついていいのかというタイミングで、なおかつショップにも行けなかったので、そりゃ売れないですよね。それと比べると、今は5G端末もこなれていますし、どこに行っても買えますし。ということで、売り上げは各社とも上がっている感じですね。

povoで経済圏を作ろうとしているKDDIの巧さ

石川氏:今回の決算でちょっと面白かったのは、ソフトバンクとドコモは“0円プラン”をやらないと言い切ったこと。ソフトバンクは、「ネットワーク維持にお金がかかっている。保守の人がいて、設備は壊れるものだから、0円ではやれない」という話をしていたし、ドコモは「低容量プランはエコノミーMVNOで吸収できるからやりません」ということを言っていた。言ってもいいのかな、大丈夫かなとちょっと思った。

法林氏:先日、ネットワーク運用拠点を見に行ったせいもあるんだけど、KDDIはネットワークの設計に長けている人がいるのかなと思った。特に料金絡みは昔から強い印象がある。例えば「EZフラット」。EZフラットは業界初のパケット定額制で、auが初めてやった。

房野氏:いつでしたっけ。

石川氏:まだケータイの時、2003年。

房野氏:20年近く前になるんですね。

法林氏:EZフラットと同時に発表された対応端末は、日立製「W11H」、京セラ製「W11K」だったんだけど、auに端末を供給するメーカーの中には、EZフラットを始まることを発表当日まで知らなかったところもあった。

au「W11H」

石川氏:通信サービスは「CDMA 1X WIN」。

石野氏:あの発表会は興奮したなぁ。

法林氏:メーカーさんも知らなくて、完全に出し抜いた。後から聞いたら、元々定額制ができるように、ネットワークの構成を作ってあったそうです。

石川氏:その話、先日、KDDIの髙橋社長に聞いたんですよ。当時、髙橋さんたちは「定額制をやりたい」と言ったんだけど、小野寺さん(当時KDDI社長だった小野寺 正氏。2021年4月にKDDI相談役を退任)が「無線で定額制なんてありえん」と猛烈に反対して、そんな中、技術畑で「いやいや、大丈夫だから」と言ったのが田中さん(KDDI代表取締役会長 田中孝司氏)だと。

左)KDDI代表取締役会長 田中孝司氏、右)同社 代表取締役社長 髙橋 誠氏 

一同:へー。

石川氏:あの料金プランによって、KDDIの評価はグッと盛り上がった。

法林氏:定額制ができるようにネットワークを構成した。通信の制御とか、端末側でやり取りするデータ容量を制限したりとか。画像のサイズは決められていて、それで作る仕組みがうまく行った。対するドコモはどうだったか。元々ドコモの3GネットワークはNTT品質が求められるので、当然、極めてクオリティの高いネットワークが構築されていた。ただ、バックボーンも含め、運用コストがかなりかかっていた。そのため、どうやっても定額制ではできませんという話にあり、そこでドコモがどうしたかというと、苦肉の策で、当時、5種類くらいあった料金プランのうち、確か6700円以上のプランを契約していればパケット使い放題に入れるようにした。

石野氏:そういえば、そんなプランがありましたね。

法林氏:バックボーンの通信が増えるんだけど、それは実質的に赤字覚悟の持ち出し。FOMAの通信はW-CDMAの極めて高品質なネットワークで384kbps出ることを売りにしていたので、後ろ側にすごいコストがかかっていたんですよ。KDDIはそうじゃなくて、これからは使い放題の時代になるというのを髙橋さん、田中さんたちがわかっていて、やった。それが上手くいった。

 今回の話も恐らく同じことで、後ろ側をある程度わかっている人がKDDIにいて、0円でも収益が上がる仕組みを作っている。それは単純にネットワークだけじゃなくて、石野君が大好きな「#ギガ活」みたいな仕組み、マーケティング的なものも含めた商売の方法を、たぶん、中で作ることができているんだと思います。

石野氏:#ギガ活は、まだお試し感はします。ビジネスにできるには、もう少し時間がかかりそうな感じ。

法林氏:でも、全体的な構造を考えて作っている感はある。コストを抑えつつ、ユーザーにはちゃんと見せつつ使わせつつ、みたいなことがKDDIはわかっている感じ。

石野氏:極端な話、ずっと0円のままのユーザーでも、#ギガ活ができるローソンやドトールにユーザーの通信料分を負担してもらえればKDDIとしては問題ない。単純な0円プランとはちょっと違う。楽天モバイルもそういう意味では同じ発想で、1GB以下で0円の人も、楽天市場の会員として何か買ってくれればいいという考え方。

法林氏:楽天市場で買ったりポイントを使ってくれたりすればいい。

石川氏: 決算会見でKDDIの髙橋さんが「povoはスマホ料金のデジタルトランスフォーメーション」と言っていた。今までは契約して毎月払ってもらうやり方だけど、povoは契約してもらってユーザーに使ってもらおうというパターンだし、#ギガ活は送客ビジネスというか、決済に近い。お店に送客して、それによってお店からお金を引っ張ってくるというやり方で、通信だけじゃなくて、ギガが流通する単位になって、ユーザーもハッピーだし、つき合っている企業もハッピーになってくるという構造。髙橋さんはリカーリングビジネスと言っていますけど、新しい料金の仕組みなんだろうなと。今、パラダイムシフトが起きている感じがします。

法林氏:通信は水道料金や電気代と同じで、使った分だけお金がかかるという発想だったけど、世の中が少しずつ変わってきている。povoは新しいことをやろうとしている感じがする。

石野氏:povoは多少のトラブルはありますが、それ以上に評価できます。斬新ですよね。本当にうまく機能するかどうかは、まだちょっとわからないですけど。

石川氏:「トラブルのお詫びとして10GBを提供する」みたいなこともできて、柔軟性を感じる。

石野氏:キャリアにとってはポイントよりも経済的ダメージが少ないのに、ユーザー心理としては、ギガをもらうと嬉しくなってしまう。“ギガ経済圏”になっている感じもしていて、ギガが欲しいからローソンに行くとか。

法林氏:ギガを道具にしているだけの話なんですよね。楽天はポイントを道具にしている。

石川氏:ポイントじゃなくてギガにしているところがpovoの新しいところ。しかも#ギガ活って、お店で支払う金額が上がりやすいじゃないですか。例えば、ドトールだと1杯500円以上の商品があまりなくて、何かを足さないと500円以上にならない。トーストを買うとか高いオレンジジュースを頼むとか。500円以上にしないと得しないと思うから、結果、お店に多くお金を払って、それがたぶんWin-Winなんだなと思った。

石野氏:僕も、ファミマじゃなくてローソンで買い物するようにしています。

房野氏:しっかり送客できているということですね。

石野氏:KDDIは、たかだか300MBのデータ通信量をユーザーに与えるだけなので、設備をちょっと使われるだけで何も痛まないんですよ。そう考えるとポイントよりおいしい仕組みだなと。

房野氏:povoの効果は今回の決算に反映されているんですか?

石川氏:100万契約は超えたと言っているだけです。

石野氏:解約率が下がっているということも。povo 2.0になったのは9月中旬ですが、1か月で10万契約増えてるんですよ。勢いは楽天モバイルよりあるかも、という感じですかね。

法林氏:でも、まだこれからですよ。iPhoneはeSIMが使えるから、そこにpovoを1回線入れておいてもいいんじゃないかと石野君が言っているのはその通り。でも、本当に評価されるためには、リテラシーがそんなに高くない一般の人に使われないといけない。そういう層に、どうやって説明していくか。これはpovoに限らない。

ドコモショップに行ったらMVNOに!?

房野氏:ドコモのNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の子会社化について、改めてどう思いますか?

石川氏:知り合いのライターさんがFacebookに投稿していましたが、親がドコモショップ行ったら、OCN モバイル ONEにMNPさせられて帰ってきたと。そして、キャリアメールが使えなくなって困っていると。

法林氏:すごく強引だよね。

石野氏:あれをショップがやるメリットって何なんだろう? って思いましたね。

房野氏:エコノミーMVNOはそういうことなのかと。

法林氏:ドコモショップの中で、OCN モバイル ONEやトーンモバイルを売る。恐らく弊害が起きるだろうと思ったことが、現に起きている。ただ、メールアドレスの問題は別として、ドコモ側の考えを推測すれば、これだけ料金を下げて、段階制のプランも高めとはいえ、安い側でペイできるもの(赤字にならないもの)を用意した。それでも移行したくない人たちが、さらに料金を下げたいと思うとMVNOに行くしかないよねと。2020年に、「菅さん、そんなに言うんだったら“Go To MVNOキャンペーン”をやったらいいじゃないか」と言ったけど、ドコモショップでやりますとなると、ああなるんだなと思った。

石野氏:「お金をあまり払ってくれない人はさようなら。もう、ドコモでは面倒見きれません」という感じもしますよね。

法林氏:僕は、嫌だなと思う反面、怖いなとも感じました。

石野氏:そうやって安いユーザーが抜けていくと、ドコモのARPUは高くなりそうですよね。

石川氏:でも、王道のビジネスモデルとしては、ユーザーを囲い込んで、今は通信量が少ないかもしれないけど、今後、スマートフォンを使ってもらってARPUを上げていくという方向性だと思うので……

法林氏:いや、もちろんそうですよ。もちろんそうなんだけど、どうやっても上がらない人とか……

石川氏:「優良顧客じゃない人は切った方がいい」という考えにつながりそうですよね。

法林氏:それは怖いよね。

石野氏:ドコモのARPUは上がり、送り出し先がOCN モバイル ONEだったら、グループとしてみればプラスマイナスゼロ。子会社になるので。

法林氏:グループというか、もう完全に子会社なので。

石野氏:新生ドコモグループとしては、プラスマイナスゼロになる。なおかつ、ドコモ本体としてはARPUが高くなっていくという感じ。

法林氏:今のドコモとNTTコムの状態は、ソフトバンクがワイモバイルを助けることになって、でも会社としては別個にあった時に近いですよね。OCN モバイル ONEって、ドコモ版Y!mobileみたいな形になってくるかもしれない。それにしても、ちょっとなぁ。

石野氏:露骨にやってるなって感じ。

法林氏:ただ、ショップで「最近、通信量が増えてきましたね。ドコモに容量の大きいプランがありますよ」ということも……

石野氏:またそこでMNPさせるのかって話ですけどね。やるならやるで、せめてメールアドレスポータビリティができるようになってからとか。アクセルを踏むタイミングが早すぎる気がしました。

石川氏:ああいった親御さんって、たぶんドコモに愛着があって、20年以上使っていて、どんなことがあってもドコモから変えないような人でしょう。それをあっさりと、安くなるからドコモからOCN モバイル ONEに変えさせるというのが……

法林氏:契約させるショップがすごいと思いますよ。

房野氏:「いずれ、OCN モバイル ONEもドコモも、会社はひとつになりますから」みたいなことを言ったかもしれないですね。

石野氏:1か月後にはドコモの会社ですよね。

石川氏:むしろ、「同じNTTなんで」と言ってくれたらわかりやすいかと。

法林氏:本当だよね。

房野氏:とりあえず、OCN モバイル ONEというか、NTTコムがドコモの子会社になるわけですね。

石野氏:2022年1月1日の段階で、NTTコムはドコモの子会社になる。

石川氏:そして来年の中頃くらいから、コンシューマ向けサービスはNTTレゾナントに移る。

石野氏:NTTレゾナントをドコモの下に移して、プロバイダのOCNとOCN モバイル ONEの事業をレゾナントが受け持つ。NTTコムは完全に法人事業を行う会社になる。ただ、ドコモと回線契約をしているのはNTTコムで、NTTコムはドコモの中のMVNE部門みたいな感じになるってことですね。固定回線も貸し出すという意味ではVNEかな。

石川氏:ソフトバンクとKDDIがサブブランドで安い料金をがっつりやっているので、ドコモも同じような感じでいいと思ったけどなぁ。

法林氏:なんというか、陣取り合戦じゃないけど、社内の闘争も少し見えつつ、かつNTT法に縛られる東西の人たちの存在もあり、まぁ、誰のために事業をやっているのか、よくわからなくなっている人たちが集まっている感があって、ちょっとどうかなって思うところはあります。
 料金プランでいうと、NTT持株に完全子会社化される前のドコモ時代のような大胆なことは、きっとできないだろうなと、正直思うところです。どの時代の料金プランが良かったとは言わないけれど、僕は、加藤さん(2012年から2016年までドコモ社長を務めた加藤 薰氏)の時代に「シェアパック」に踏み込んだのがすごかったと思う。

石川氏:「カケホーダイ」ですね。

法林氏:「カケホーダイ&パケあえる」(2019年5月31日で新規申込み終了の料金プラン)か、あれはすごかった。

石川氏:ドコモがやっていいのか? みたいな。わかりにくかったけど。

法林氏:ああいうような、発想を変えるようなことを仕掛けられるかというと、今のNTTだと厳しいかな。

石川氏:うーん……

解約率がドコモだけ上がっている

房野氏:決算の数字的にはどうでしたか?

石川氏:善戦しているとは言っていたけど……決算発表時に質問もしたけれど、ドコモは解約率が上がっているのが気になる。なぜahamoを投入したかというと、若い人の流出を止めるため。Y!mobileにユーザーが流れていた。だから安くてもいいんだということだったけれど、解約率が去年よりも上がっている状況を見ると、流出が止まっていない感じがする。囲い込めていないんだろうなと。ユーザーが増えて囲い込めないと、結果として収入が下がるだけなんで、マイナスに振れてしまうんじゃないのかと。一方で、KDDIやソフトバンクは解約率が改善しているので、ドコモが一人負け状態にならないかと危惧している。

石野氏:下がったと言ってもソフトバンクは元々解約率が高い。ドコモはahamoである程度、受け止めている。でもそれはY!mobileの「プランM」とかを使う人たちで、月額900円ぐらいのプランが欲しいというような人は受け止め切れていなくて、エコノミーMVNOを入れたとしても他社になってしまうので、解約率は上がってしまうんですよね。

房野氏:新規ユーザーは獲得できていますか?

石川氏:契約者数は増えているんですよ。

石野氏:ahamoで結構獲得している。

石川氏:どの会社もね。

房野氏:解約率が、ドコモは上がっていると。

法林氏:ahamoが始まってもうすぐ1年だけど、ahamoのような安い料金プランにしたい人は、若者ではなくて、ドコモが抱えているシニア層にも一定数いる。その人たちをどうするか。ドコモは自分たちの足元がちゃんと見えてないんじゃないかな。だから、ドコモショップに行ったらOCN モバイル ONEになって帰ってきた、みたいなことになる。若者を獲得するのは確かにいいことなんだけど、その前にやることがあるでしょう、とは思いますね。

房野氏:らくらくホンユーザーですか?

法林氏:それに限らないですよ。

石川氏:今、ギガライトを契約していて、そんなに使っていない人。この層は、そんなに使ってないけど料金は高めなので、ドコモにとっては収益を得やすいユーザー層だと思うんですよ。その層の人たちが今、不満を抱えていたりする。でも、ドコモとしては下手にテコ入れしてしまうと収益が下がるかもしれない。ということで、エコノミーMVNOになっていると思うんですけど、もっとその層のユーザーに寄り添わないと、他キャリアに逃げて行っちゃうんじゃないのかと。LINEMOだって夏のタイミングで3GBプランを入れ、povoはすでに2.0になっているのに、ahamoでは何もやっていない。ahamoはそろそろテコ入れが必要なんじゃないかな。

法林氏:物足りないですよね。ギガライトは割引がないと、1GBまで月額3150円でしょ。高いよね。

房野氏:高いですね。

石川氏:契約を維持する気にもならないですよ。

法林氏:3150円で、そこから家族3回線以上でマイナス1000円、光回線を入れてマイナス1000円。

石野氏:光回線を入れないと無理ですよね。

法林氏:それは難しいですよね。ほとんど変わらないレベルのネットワークが月額0円であるんだから。

石野氏:さらに、ドコモは“パケ止まり”までしますから(笑)

石川氏:使いたくても使えない(笑)

房野氏:打開策はあるのでしょうか。

石野氏:まぁ、使ってもらうしかないですよね。

石川氏:5Gエリアを増やしてARPUを上げる。

房野氏:5Gエリアの進捗は……

石野氏:年度末くらいで、ソフトバンクとKDDIは人口カバー率90%ですね。

石川氏:まぁ、転用だったりもしますけど。

石野氏:転用も相当入っていますけど、まぁまぁ速くなってデータ通信量は増えていく。今は、5Gエリアだと高画質にするという端末の制御も入っているので、遅かろうが速かろうが、“なんちゃって5G”だろうが正式な5Gだろうが、5Gというピクトが立っていれば、データがばーっと流れていく。

石川氏:上手いとうか、KDDIとソフトバンクは、それによってARPUを上げることができる。楽天は5Gをほとんどやっていないので、結果として、そういったこともできない、やりにくい状況があったりする。

石野氏:それはありますよね。

法林氏:ドコモは、せっかく5G専用の周波数帯域でエリアをコツコツ作って広げているのに、「home 5G」の端末が品薄だとか、ahamoが始まった頃にオンラインでしか申し込めないのに、ドコモショップに「なぜ、受け付けないんだ!」って年配のユーザーが怒鳴り込んだ話とかも含めて、商売の仕方が下手だなと。UQコミュニケーションズは「Try WiMAX」をやっていて、14時半までに申し込むと翌日には端末が届いて2週間試せるし、ダメだったら返すことができる。やっぱりドコモさんは商売が下手なんだと思いますよ。

home 5G

石川氏:せっかく「kikito(キキト)」というデバイスレンタルサービスの、丁度いいプラットフォームがあるんだしね。

法林氏:そうなんだよ。もう少し考えた方がいいと思う。

石野氏:まぁ、昔からですよね。マーケティングが下手というか。障害の時もそうですけど、ドコモは技術志向な会社なので。

通信障害のユーザーへの対処がほしい

房野氏:2021年10月14日に起こったドコモの通信障害についても、11月10日に改めて説明がありましたね。約800万人への影響でしたっけ。

石川氏:やっぱり体感としてはそんな感じだよね、という数字。100万じゃないよねって感じ。

石野氏:案の定、新聞媒体は数字を合算してしまいましたけど。

房野氏:1200万以上になっていましたね。

石野氏:「延べ」と書けば何でもいいのかと(笑)

法林氏:違うと言っていたのに、結局延べって書いている。

石野氏:まぁ、延べではあるんだけど、まったく異なる基準で算出したユーザーを足していいのかと。

石川氏:障害が出ている最中に1回会見をやって、11月に会見をやって、その時に言われたのが、ドコモが感じている復旧と世間の感じている復旧がズレていたということ。そこは今後の課題だと言っていました。

その後、多摩のKDDIのネットワーク運用拠点での説明会を取材してきたんですけど、部屋の中に大きなモニターがあって、そこにTwitterの分析ツールが表示されていて、各キャリアに関してどんな反響があるのかとか、ホットワードで通信の話題があると表示されていた。例えば「au 圏外」があったら、即、それがピックアップされたりする。Twitterをツールとして使っていて、どういう状況にあるのかを把握していたのが面白かった。果たしてドコモは、Twitterとかを見てるのかな。

法林氏:auは状況分析が上手いよね。さすがだよね。

石野氏:「パケ止まり」については、ドコモも注目しているようです。

石川氏:でも、記事化されるまで理解していなかったみたいじゃない? 本来であれば、Twitterにちょこっと書かれた段階で、気づいて対応するとか議論しないといけない。記事化されてようやく気づき始めるというのは遅いんです。

石野氏:そうです、そうです。

法林氏:ドコモは、昔はそうじゃなかったと思うんだけどね。もっとアグレッシブに色々やる方だと思ったんだけど、最近はちょっと手ぬるいよね。

石野氏:SNS時代に対応しきれてない感じがする。昔は、メディアの人間にも「電波が入らないところはありませんか?」みたいなことを、すごく熱心に聞いたりしてエリアを作っていたんですけども、もうそういう時代じゃないというか。

石川氏:SNSでみんながつぶやいてくれるんだから、そこを活かしていかなきゃいけない。そういうことができていないじゃないかなって気がした。

法林氏:別にKDDIだけが優れているとは思わないけれど、そこら辺、彼らは上手だなと思いますね。

石川氏:以前も話したかもしれませんが、海外のベンダーと組んでないドコモは厳しいのかなって。

石野氏:そうですね。

石川氏:海外ベンダーと付き合っていれば、海外での先行事例やノウハウをわかっているだろうし。ドコモは自前主義なので、新しいネットワークに変わる時は、どうしても他社より半歩遅れてしまう感じがする。

石野氏:パケ止まり対策だけじゃないですけど、KDDIは海外に行って、実際にキャリアのネットワーク状況を見て、こういうパラメーターだとこういうことが起こるというのを、ちゃんと事前に確認してから自社に対策を入れているんです。ドコモはそれをやってないよねという。そもそも、そういうベンダーを使っていない。

法林氏:この一連の話は、ちょっとNTTらしからぬことですよ。パケ止まりしかり、IoT機器の切り戻しの失敗による障害の話も然り。どこの会社にも起こり得るんだけど、今回のドコモはちょっと下手過ぎる。僕は直接、障害の影響を受けなかったけど、受けた人はたまらんよね。

石野氏:役員報酬を返せばいいってもんじゃない。

石川氏:そうなんだよね。

法林氏:役員が報酬を返上するのと、契約時に迷惑をかけた人に10GB配るのと、どっちがいいと思いますか。

石野氏:10GBでしょう。

法林氏:ということなんですよ。会社としての責任は会社で取ればいいけれど、お客さんに何の関係があるのか。

石川氏:返上も総務省対策でしょ、みたいな。

法林氏:本当にそうだね。

石野氏:役員報酬1か月分の10%とか30%だと大した金額じゃないですよ。

石川氏:ちょっとずれている感じがする。

法林氏:会社や経営人としての責任の取り方はあると思うので、それはそれとして、何でもすればいいと思うけど、ユーザーに対しては、もうちょっとやり方があるんじゃないのかな。dポイントを全員に配ってもいいんじゃないの? って感じがするんですよね。10ポイントでも100ポイントでも、大分違ったと思う。それができない。

石川氏:各家庭に10万ポイント欲しいですよ(笑)

......続く!

次回は、電波オークションについて会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子


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