
メディアなどで使われることが多い『凛とする』とは、どのような様子を表す言葉なのでしょうか?正しく理解するために、意味だけでなく語源や類語についても紹介します。使い方も例文とともに確認し、実際に使うときの参考にしましょう。
「凛とする」の意味とは?
何となく分かっていても、『凛とする』の意味を説明できない人もいるのではないでしょうか?言葉を正しく理解し使いこなすためには、まず、きちんと意味を理解することが大切です。由来についても触れるので、理解を深めましょう。
りりしく引き締まった様子
『凛とする』は、りりしく引き締まった様子を表現する言葉です。力強くきりっとしている様子や程よい緊張感が漂う様子などを表すときに使います。勇ましく頼もしい様子を表すときに使うことも可能です。
『凛とした美しさのある女性』や『凛とした佇まい(たたずまい)』のように、主に人物の容姿や態度、振る舞いなどを表すときに使われ、ポジティブな意味で用いられています。
また、寒さが厳しく空気が引き締まっているという意味もあります。主に小説などで用いられ、『凛とした朝』『凛とした寒さ』のように使われることが多いでしょう。
「凛とする」の語源
『凛とする』は、形容動詞の『凛たり』と『する』が組み合わさった言葉で、同じ意味を持つ『凛たり』が語源です。
『する』の過去形の『した』を付けた、『凛とした』という表現もよく使われます。『する』や『した』を付けることで、状況や様子がより強調される表現になっています。
「凛とする」の類語も紹介

(出典) photo-ac.com
『凛とする』の類語を知ることで、意味がより理解しやすくなるでしょう。表現の幅を広げることにもつながります。
「りりしい」
『凛々しい』と書かれることもある『りりしい』は、『きりっと引き締まっている』という意味があるため、言い換え可能です。勇ましい様子や自信に満ちあふれている様子を表すときに用いられます。
例えば、「かわいいといわれている彼女だが、試合前になると闘争心にあふれ、りりしい顔つきになる」や「プロジェクトリーダーとしてチームを率いるりりしい彼の姿を見て、チーム全体のモチベーションがアップした」のように使います。
人物に対して使う場合、『凛とする』は女性に対して使われることが多いですが、『りりしい』は性別に関係なく使うことが可能です。
「潔い」
『凛とする』には、『勇ましい』や『頼もしい』という意味合いもあるため、『思い切りがよい』『さっぱりとしている』という意味の『潔い』も類語の一つです。
『決断力がある』『未練がましくない』という意味で使われることが多い言葉になります。
例えば、「上司はいつも責任転嫁しようとする。潔く失敗を認め責任を取るべきだ」や「会社の命運を左右するかもしれない二者択一を迫られたときの彼の潔さは、目を見張るものがあった」のように使いましょう。
「凛然たる」
日常会話で使われることは少ないですが、勇ましくりりしい様子や心が引き締まる様子を表す『凛然たる』に言い換えることもできます。寒さの厳しい様子を表すときにも使います。
助動詞の『たり』の連体形が『~たる』で、物事を強調したいときに使われる表現です。
「頼りないと思われていた彼だが、大きなトラブルが発生したときの凛然たる態度や優れた能力に誰もが一目置くようになった」や「相手が誰であろうと、間違っていることは間違っていると凛然たる態度で意見すべきだ」のように使えます。
「凛とする」の使い方と例文

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正しく使うためには、意味だけでなく使い方も確認することが大切です。分かりやすい例文を紹介するので、状況に合わせてアレンジして使ってみましょう。
また、『凛』と『凜』のどちらが正しいのかについても解説します。
人物の態度などを表すときに使う
よく使われるのが、人物の態度や立ち振る舞いなどを表すときです。以下の例文のように使います。
- 社長は、どのようなときも社員を不安にさせないように、凛とした態度を貫き通しているようだ
- 近年は、かわいいよりも凛とした美しさのある女性が人気だ
寒さが厳しい様子や音の響きなどに対して使われることもあります。
- 外に出たときの凛とした空気が心地よく感じた
- 街頭で演説している人の凛とした声に、足を止め聞き入る人が多かった
漢字は「凛」と「凜」のどちらが正解?
どちらも『りん』と読む『凛』と『凜』は、一見、同じに見えますが、右下の部分が『示』と『禾』になっており、異なる漢字です。両方の漢字を目にすることがあるため、どちらを使うのが正しいのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。結論から言うと、どちらを使っても間違いでなく、使い分けの基準もありません。
『凜』は旧字体で、『凛』は旧字体を書きやすく変えた新字体という違いがあるだけで、意味自体は同じだからです。
しかし、新漢字の『凛』には、『知的で芯が強く品がある』というイメージがあるため、人名には新漢字を好む人が多いようです。