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建設ラッシュの印西市など、都心部郊外や地方都市へとシフトが進むデータセンター開発

2021.12.10

「データセンター:次の集積地はどこか?」

事業用不動産サービスのCBREはスペシャルレポート「データセンター:次の集積地はどこか?」を公開した。

需要の拡大を背景に活況を呈するデータセンター開発

コロナ禍を契機にデータセンターの需要はさらに拡大

私たちの生活には、既に様々なテクノロジーが浸透してきている。コロナ禍はこのようなテクノロジーの浸透を加速させた。巣ごもり需要増加により動画視聴サービスやオンラインゲーム、eコマースなどのデジタルコンテンツの消費が拡大。

また、多くの企業がリモートワークを導入したことにより、オンライン会議などネットに繋がれば場所を問わず利用できるクラウドがさらに普及した。

これにより、ネットワークを飛び交うデータ量は急増している。日本国内のダウンロードデータの流通量は、固定通信が2021年5月時点で2019年11月比+89%、移動通信が2020年9月時点で対前年同月比+29%といずれも大きく増えている(Figure 1)。

急増したデータを処理または保存するには、より多くの高性能なサーバーやアプリケーションなどのコンピュータ資源が必要となる。そしてこうしたリソースを運用するための施設として、データセンターの需要もまた拡大している。

局地的な開発が進むデータセンター

需要の拡大を背景に、データセンターの開発が活況を呈している。中でも、東京都心からのアクセスが良く地盤も強固な千葉県印西市は、データセンターにとって良好な立地条件を備えており、建設ラッシュが続いている。

首都圏のデータセンターの2024年の総受電容量は、2021年Q2に対し+102%と倍増する見込み。他のアジア太平洋地域の主要都市と比べても、首都圏における2024年時点に想定される総受電容量は最大で、かつ最も高い成長率が見込まれている(Figure 2)。

そして、これらの開発計画の大半が予定されているのが印西市である。しかし、開発が特定のエリアに集中すると、地震などの自然災害、停電や通信断絶などの事故が発生した場合、都心の中枢機能に甚大な影響が及ぶ可能性がある。

このため現在は、データセンター事業者を中心に、開発エリアを分散させる動きがみられている。本稿では、データセンターの立地に求められる特性をふまえ、今後データセンターの開発が期待されるエリアについて整理する。

データセンターの立地選定におけるポイント

データセンターの開発にはどのような立地が求められるのか、そのポイントは大きく3点にまとめられる。1点目は、高性能なコンピュータを大量に稼動させるための大量の電力が確保できること。

2点目は、高品質な通信環境を構築できること。3点目は、自然災害リスク(特に浸水リスク)が低い立地であること。以下、この3点について詳述する。

電力

データセンターでは、オフィスの10倍以上の電力量が求められる。平均的なオフィスで必要な電力量はおよそ140VA/㎡~150VA/㎡である。これに対してデータセンターでは、延床面積10,000㎡の中規模のものでも1,500VA/㎡~2,000VA/㎡程度が必要であり、建物全体で必要とされる電力は15MVA~20MVAに達する計算となる。

電力会社との契約にあたっては、契約電力の大きさによって標準電圧が定められる。電力会社によって細かな違いはあるものの、東京電力の場合、中規模データセンター開発に必要な15MVA以上の電力量を契約するためには、標準電圧6万ボルト以上の「特別高圧」で受電する必要がある。

6万ボルト以上の電圧で受電するための工事は、立地によって費用や工事期間が相当異なる。そのため、立地選定時には対象地が6万ボルト以上の「特別高圧」で受電できるか否かに加え、それに必要な工事費用と期間を確認する必要がある。

通信環境

データセンターの通信環境の良不良は、①相互接続点、②データセンター集積地、③人口密集地の3つの要素に大きく左右される。

つまり、データセンターがこれら①~③と物理的に近いほど、通信遅延が小さく高品質な通信環境を確保することができる。

これに加え、近年では、国際間のデータ通信量の増加を背景に、海外とのネットワークを結ぶ海底ケーブル陸揚げ局までの距離も重視される傾向が見られている。

– 相互接続点

相互接続点とは、インターネット接続サービスを提供するプロバイダー(ISP)やデータセンター事業者などの通信事業者同士が相互に接続する結節点のことである。

インターネット・エクスチェンジ・ポイントとも呼ばれ、IXあるいはIXPと略される。日本の場合、通信の大半が東京都心部(特に大手町周辺)ならびに大阪の堂島周辺の相互接続点に集中しており、両エリアで全国のインターネット通信のほとんどを処理していると言われている。

したがって、相互接続点への接続という観点からは、東京または大阪にできるだけ近い地域がデータセンター用途としての好立地となる。

– データセンター集積地

データセンター事業者がデータセンターを追加で新設する場合、自社の既存データセンターに近い場所を選ぶことが多い。

集積させることで人員の管理がしやすくなるほか、自社データセンター間の通信環境を低コスト且つ高品質に構築できるためである。

データセンターが集積するエリアには、クラウド事業者がデータセンターやその接続点を構えていることも多い。したがって、集積地(あるいはその近く)にデータセンターを構築することは、クラウドサービスとの良好な通信環境を確保することにもなる。

エンドユーザーによるクラウドサービスの利用は急増しているため、クラウドサービスと良好な通信環境を確保しておくことは、そのデータセンターの競争力を高めることにつながる。そしてこのような集積地は、日本においては東京および大阪の中心部から50km圏内に集中しているのが現状である。

– 人口密集地

データセンターは、エンドユーザーの近くに立地することで、エンドユーザーに高品質な通信環境を提供できる。さらに、保守作業や障害発生時の復旧対応の際にエンジニアを派遣しやすいと言うメリットもある。

したがって、人口密集地に近ければ近いほどデータセンターにとって好立地と言える。この事もまた、東京または大阪の中心部から50km圏内がデータセンター立地の目安とされる所以である。

– 海外との接続性

通信環境に関する以上3つの要素に加え、クラウド事業者を中心に海外との接続性に対する需要が高まっている。自社のサービスをグローバルで提供している大手クラウド事業者は、世界のデータセンター間のネットワークを強化することで、エンドユーザーの利便性を高めることができるためだ。

世界の越境データ流通量は、コロナ禍以降、急速に伸びている。中でもアジア大洋州は2020年に世界の越境データ流通量シェアの4割を占めるまでに急増している。

国際間のデータ通信は99%が海底ケーブルによって行われているといわれ、海底ケーブルは「陸揚げ局」を経由して陸上の通信網に接続される。

日本の陸揚げ局は、茨城県北部と千葉県の南房総、三重県の志摩半島に集中する陸揚げ地点の付近に多く立地しており、データセンターの立地選択においては、この陸揚げ局までの距離も重視されるケースが増えている(Figure 3)。

自然災害リスク

データセンターは、障害が発生しないよう何重もの対策を施している。それでもやはり、自然災害リスクが少なければ少ないほどデータセンターの立地として望ましいことは言うまでもない。

国土交通省は、自然災害による被災想定区域等をまとめた「ハザードマップ」を提供している。少なくともハザードマップ上でリスクが高いとされている地域は、できるだけ避けるべきである。

実際、データセンターサービスを提供する事業者も、データセンター選別の際に同マップを参照していることが多い。首都圏における現在のデータセンター集積地をこれにあてはめると、ハザードを避けて立地している傾向がみられる(Figure 4)。

ただし、都心部の中にはハザートにかかっているエリアもある。これは、都心立地というメリットを取る代わりに、自然災害のデメリットがある程度許容されているケースとみられる。

以上のことから、データセンターにとっての好立地の条件とは、①6万ボルト以上の特別高圧による受電を確保可能、②東京または大阪の中心部から50km圏内、③自然災害リスクが低い、の3つにまとめられる。これらをすべて満たすことができれば、付加価値の高いデータセンターを開発できる可能性が高い。

データセンター開発は都心よりも郊外で増加

以上の立地選択のポイントのとおり、実際に既存のデータセンターは都心に集中している。2019年時点の全国の主なデータセンターの所在地の地域別割合は、東京都23区だけで4割に及ぶ(Figure 5)。

しかし、最近のデータセンター開発の立地は、都心部郊外もしくは地方都市のウエイトがやや高まる傾向がみられる。2020年から2024年までの開設計画を含めた件数の増加率は、東京23区外の関東地方、大阪府はいずれも3~4割に達するのに対し、東京23区は1割に満たない(Figure 6)。

この背景には、データセンターの大規模化により、必要とされる敷地面積が大型化し、都心での土地確保が難しくなっていることなどがある。

クラウドの普及ともに増加するハイパースケールデータセンター

データセンターが大規模化する要因の一つは、従来よりも大型のハイパースケールデータセンター(HSDC)と呼ばれる郊外型のデータセンターに対する需要が高まっていることである。

近年、開発が増えているのがこのHSDCである。従来型のデータセンターはエンタープライズとも呼ばれ、ラックやサーバールームの一画といった細かな単位で多くの企業にスペースを提供するタイプである。ユーザー数が多いため、標準的なスペックのものが多い。

これに対し、HSDCの利用者はクラウド事業者が中心で、フロア単位など大規模利用を前提にスペースを提供する。クラウド事業者の求めるスペックは、標準的なマーケット仕様よりも高いものが求められるケースが多い。

このため、より広いサーバールームや大きな電力を確保する必要があり、これに応じて建物も大型となる。また、HSDCの場合、エンタープライズと異なり、エンドユーザーがデータセンターへ直接アクセスすることがない。このため、都心から離れていても支障が少ないことも、HSDCが郊外に立地している所以である(Figure 7)。

より広い敷地を必要とするデータセンターキャンパスの増加

データセンターが大規模化する2つ目の要因は、建物だけでなく、敷地面積も大型化していることである。複数のデータセンターを近隣に順次建設し、それらを相互接続する開発モデルをデータセンターキャンパスと呼ぶ。

これにより、クラウド事業者など利用者のビジネスの進展や拡張ニーズに合わせてスペースを拡張していくといった、柔軟な運用が可能となる。最近の主なデータセンターの開設事例(計画も含む)では、HSDCやデータセンターキャンパスが多くみられる。

関東では印西市のほか西東京エリア、大阪府では箕面市などの郊外で多い。建物の延床面積でも3万㎡を超えるものや、中には敷地面積で10万㎡を超える極めて大型のプロジェクトも控えている(Figure 8)。

都心部郊外のデータセンター集積地の共通点

データセンターの立地は引き続き都心部が優位であることに変わりないだろう。しかし、HSDCやデータセンターキャンパスに対する需要の高まりから、都心部郊外のデータセンター開発も当面続くとみられる。

印西市にデータセンターが集積しているのは、前述した3つの立地選択のポイントに合致していることに加え、広い土地が都心に比べ確保しやすかったことも大きな理由である。

その他の主な都心部郊外の集積地は、首都圏では多摩・西東京エリアの三鷹市、西東京市、府中市、多摩市、近畿圏では大阪府北部エリアの箕面市と茨木市にまたがる国際文化公園都市(彩都)である。

今後、都心部郊外で新たにデータセンターの集積が進むエリアの立地条件も、既に集積しているエリアに共通するとみられる。データセンターの立地に関して、上記6都市の共通点は以下の3つに整理される。

安定した地盤で形成され自然災害のリスクが比較的小さい

いずれの都市もその多くが台地もしくは丘陵地といった比較的安定した地盤で形成されており、また、海岸からも一定の距離がある。

このため、地震や水害などの自然災害に関するリスクが比較的小さいエリアであるといえる。また、郊外型の開発は都心立地というメリットが少ない分、自然災害リスクに関してはより重視される傾向がある。

都心からの距離が50km圏内

いずれの都市も、インターネットエクスチェンジが集まる都心、すなわち首都圏では大手町、近畿圏では堂島から50km圏内に位置している。都心部の需要獲得を目的としたデータセンターの場合は、郊外といえども都心から50km圏内が望ましい。

集積する都市人口が10万人以上

データセンターの集積地には、一定以上の人口と経済圏、それに応じた都市機能が備わっていることが多い。前述の6都市は、いずれも都心部郊外のベットタウンであり、住民の日常生活が当該都市で完結できる都市機能や交通インフラを備えている。

データセンターの開発・運営には、エンジニアなどの人材、ある程度の電力需要が見込める人口と経済圏、電線や光ファイバーの敷設ルートともなる道路や鉄道、共同溝などの社会資本が予め備わっていることが望ましい。これらの要素を備えているか否かを判断するための目安の一つが、「人口10万人以上」と考えられる

データセンター集積地として可能性のある都市

既にデータセンターが集積している6都市に共通する3つの条件を満たし、今後、データセンターの集積が進む可能性がある首都圏もしくは近畿圏における都市はFigure 9、10のとおりである。

ただし、データセンターの開発を検討する際は、電力の確保やネットワークの敷設状況なども個別に確認する必要がある。

データセンターの地方分散

データセンターの開発は、今後も東京や大阪などの大都市圏を中心に進むとみられる。一方、広域の大規模災害に対するリスク分散や、電力需給の逼迫状況、通信混雑などの点を考慮すると、地方での立地も候補となろう。政府は新たな経済対策の中で、データセンターや海底ケーブルの地方分散のための基金の創設と事業者支援策を盛り込んでいる。

そして、その有力な候補地となるのが札幌市と福岡市であると考える。両都市はすでにデータセンターの集積がある程度進んでいるものの、今後もさらなる集積が期待できるエリアである。その理由を以下に詳述する。

今後の地震発生確率が低い

札幌市と福岡市は、今後30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率が政令指定都市の中ではもっとも低い(Figure 11)。広域の大規模地震災害を想定し、地方のバックアップ拠点を検討する際には、地震発生確率の低さは極めて重要なポイントとなろう。

地方都市の中で人口が多く、経済規模が大きい

札幌市と福岡市は大都市圏に次いで人口や事業所数が多く、経済規模も大きい(Figure 12)。人口の多寡は、クラウドなどの様々なインターネットサービスの需要の多寡につながる。

また、企業のIT機器を預かるエンタープライズ需要の多寡にもつながる。このため両都市は、首都圏や近畿圏のバックアップニーズだけでなく、当地を商圏とするデータセンター需要も見込むことができる。

海外との接続性において地理的に優位

両都市は海外との接続性でも優位性がある。日本の越境通信容量の相手国・地域別のシェアは北米とアジア諸国(中国本土を除く)が殆どを占める(Figure 13)。

札幌は北米、福岡はアジア諸国と地理的に近い。すでに、札幌市では隣接する石狩湾岸、福岡市には博多湾岸や隣接する北九州市の沿岸に海底ケーブル陸揚げ地点があり、この点でも他地方都市に比べ優位である(Figure 13)。

環境配慮型のデータセンター

近年、データセンターの環境配慮に対するニーズは高まっている。この点に関して、札幌市は省エネや再生可能エネルギーの調達においてもメリットがある。

外気や氷雪などの自然エネルギーを利用した空調システム構築により省エネを図ることができるためである。データセンターの消費電力のうち空調は約30~40%を占めるため、メリットは小さくない。

自然エネルギーを利用したデータセンターの開発が散見されているが、このようなデータセンターはエネルギー効率の指標となるPUEの数値が極めて良い。

自然エネルギーの利用は、環境対応だけでなく、電力コスト削減によるデータセンターの収益性向上にも寄与する。

加えて、札幌市に隣接する石狩市の石狩湾新港地域では、風力発電や太陽光発電等の再エネ発電設備の開発が進んでいる。再エネ設備に地理的に近ければ、供給に必要な送電網の増強・敷設コストを低減できる。

石狩市沖は再エネ設備の整備および利用に関して、将来有望な区域となり得ることが期待されるエリアの一つとして指定されている。

今後は、データセンターの立地選択において、再エネの調達しやすさもポイントになってくるであろう。この点でも、札幌市及びその近隣はデータセンター開発に有利なエリアの一つと考えられる。

立地選定におけるその他の検討事項

データセンターの立地を選定する場合、前述の立地選択のポイントのほかにも、考慮すべき検討事項は多岐にわたる。

この検討事項の例、およびデータセンターの開発用地として想定されるサイズ感はFigure15、16のとおりである。前述の立地条件に合致していても、必ずしもデータセンターの開発に適した、または開発が可能な土地となるわけではないことにご留意いただきたい。

関連情報:https://www.cbre.co.jp/

構成/DIME編集部

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