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新年の挨拶は、取引先や上司など相手との関係性に合わせて、失礼がないように送ることが大切です。基本的なマナーや注意点とともに、分かりやすい例文も紹介するので、実際に送る際の参考にしましょう。英語で送る場合の例文や注意点も紹介します。
新年の挨拶の基本
新年も相手と良い関係でスタートできるように、新年の挨拶の基本的なマナーを確認しておきましょう。喪中の人への対応についても紹介します。
年賀状とメールは分けて送る
近年は、年賀状の代わりにメールで新年の挨拶を済ませる会社も増えています。どちらにするかは、送る相手や取引先の慣習、会社の意向などを考慮して判断することが大切です。
例えば、年配の人に対してメールで済ませてしまうと失礼にあたることがあります。そのため、相手の立場や距離感なども考えて臨機応変に対応しましょう。
また、年賀状をもらったときは、必ず年賀状で返信するのがマナーです。メールで返信してしまうと、「常識がない」と思われてしまうこともあるので、注意しましょう。
メールで送る際の注意点
メールで新年の挨拶を送る場合は、いくつか注意点があります。通常、仕事始めには多くのメールが届いていることが珍しくないため、まずは相手の目に留まるようにすることが大切です。
一目で分かるように、件名を『〇〇(社名)新年のご挨拶』のようにすると気付いてもらいやすいでしょう。社名を『【】』などで囲むと、より目立ちます。
また、文章は同じでも、一斉送信せずに個別に送るのがマナーです。一斉送信してしまうと、雑に扱われたような印象を与えかねません。
そのため、相手の社名・部署名・役職・名前をきちんと書いて、個別に送りましょう。一文だけでも個別のメッセージを加えると、より温かみのある挨拶文になります。
なお、添付ファイルやURLをクリックして年賀状を表示させるのは、面倒だと思われてしまう可能性があるため控えた方が無難です。文字化けする可能性のある環境依存文字(機種依存文字)も、使用しないようにしましょう。
新年の挨拶は「松の内」中に送る
新年の挨拶は、『松の内』の期間中に送るのがマナーとされています。松の内は、正月の門松を飾っておく期間のことです。
松の内は1月1日からですが、最終日は地域によって異なります。一般的に、東日本では1月7日、西日本では1月15日までとする地域が多いようです。
もともと15日までだった松の内の期間が変わったのは、江戸時代とされています。1662年に徳川幕府が飾り納めを7日としたことがきっかけです。しかし、西日本には通達が伝わらず、15日のままになったと考えられています。
また、ビジネスシーンにおいては、初出社から7日までに新年の挨拶を全て終えることが難しい場合もあるでしょう。そのため、東日本でも15日までなら許容されることも多いようです。
喪中の人へは「寒中見舞い」か「年始状」
喪中の人へは、『寒中見舞い』もしくは『年始状』を送りましょう。『寒中見舞い』は、寒さが厳しい時期に相手の健康を気遣ったり、近況を報告したりする季節の挨拶になります。
また、2011年の東日本大震災以降、一般的になりつつあるのが『年始状』です。祝う言葉を使わずに新年の挨拶をしたいときに使われています。
送る時期は、年始状であれば松の内までで、寒中見舞いであれば松の内が明けてから立春までが一般的とされます。東日本は1月8日、西日本は1月16日から2月4日ごろまでになります。立春を過ぎると『余寒見舞い』になるため、注意しましょう。
新年の挨拶の例文(年賀状、メール)
新年の挨拶に何を書けば良いのか分からず、悩む人も少なくありません。ベーシックな例文と併せて、取引先や上司宛の例文も紹介するので、状況に合わせてアレンジして使いましょう。大切なポイントや注意点にも触れています。
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基本的な新年の挨拶
誰に対しても使いやすい、基本的な例文を紹介します。
新年、明けましておめでとうございます。
皆さま、健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
本年も変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
令和〇年元旦
相手との関係性によっては、堅苦しい印象を与え違和感があるかもしれません。そのようなときは、最後の一文を『本年もよろしくお願いいたします』のように変えることもできます。相手との関係性を考慮して、しっくりくる文章に仕上げましょう。
取引先に送る新年の挨拶
取引先に送るときは、よりフォーマルな文章が使われます。
明けましておめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年もご期待に応えるべく、より一層業務に精励いたしますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
令和〇年元旦
文頭に『謹賀新年』や『謹んで新春の祝詞を申し上げます』などが使われることもあります。また、『弊社では1月5日より通常業務になります』のように、お知らせを含めることも可能です。
メールの場合は『〇〇株式会社 △△様』と、まず相手の会社名と名前を入れるのを忘れないようにしましょう。
上司に送る新年の挨拶
上司へは、1年間お世話になったことに対する感謝の気持ちや、新年の抱負などを含めると好印象になります。
明けましておめでとうございます。
昨年は分からないことが多い中、温かくご指導いただき誠にありがとうございました。
〇〇部長のおかげで、成長を実感することができました。
本年は、ご期待に添えるようになお一層の努力を続けていく所存でございます。
引き続きご指導のほど、よろしくお願いいたします。
令和〇年元旦
『厳しい寒さが続きますので、体調を崩されないようにご自愛ください』や『ご家族のご健康とご多幸をお祈りいたします』のような一文を加えると、温かみのある文章になります。
新年の挨拶を英語で送るとき
グローバル化が進み、海外の取引先に新年の挨拶を送るケースもあるでしょう。そのまま使える英語の例文や注意点を紹介します。
英語での新年の挨拶の例文
英語での新年の挨拶でよく使われている例文は、以下の通りです。
Happy New Year!
We appreciate your cooperation throughout the past year.
We look forward to your continued support.
Best wishes for a successful and rewarding year.
(明けましておめでとうございます。昨年中は、ご支援を賜り誠にありがとうございました。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。成功と実りのある年になりますように。)
『We wish you a Happy New Year』を使うと、より丁寧な印象になります。
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海外の取引先の正月を確認しておく
新年の挨拶を送る際は、取引先がある国の正月の時期を確認することが大切です。日本では1月1日から3日まで祝日ですが、多くの国では1月2日から通常業務の会社が珍しくありません。
また、正月の時期が異なる国もあるため、相手の国の慣習や宗教などを考慮することも大切です。例えば、中国や中国系の人が多く住むシンガポールやベトナムなどでは、旧正月を祝う風習があります。
旧正月は旧暦の新年にあたる日で約1カ月のずれがあるため、日本の慣習に沿って新年の挨拶を送ってしまうと違和感を与えてしまう可能性があるでしょう。
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新年の挨拶で気を付けておきたいポイント
新年の挨拶は、受け取る側の気持ちを考慮して書く必要があります。相手を不快にさせないために気を付けたいポイントを二つ紹介するので、確認しましょう。
忌み言葉は使わない
縁起が良くないとされる『忌み言葉』は、使わないのがマナーです。中でも代表的なのが、『去年』です。『去』には『去る』というネガティブなイメージがあるため、代わりに『昨年』や『旧年』が使われています。
そのほか、『失う』『滅びる』『絶える』『衰える』『倒れる』『病む』『枯れる』『破れる』なども忌み言葉に含まれるので、使わないようにしましょう。
新年の挨拶は新年を祝う意味があるため、ポジティブな言葉を選び明るい印象にすることが大切です。
相手が不快に思う内容は避ける
近年は、ビジネスシーンでもメールでの新年の挨拶に変更するなど、昔ながらの慣習が変化しつつあります。しかし、たとえメールであったとしても、新年の挨拶は良い関係で1年をスタートさせるための、重要な役割を担っていることに変わりはありません。
良好な関係を壊さないためにも、相手に不快感を与えないように気を付けることが大切です。特に、言葉遣いには注意しましょう。
例えば、目上の人に対して正しく敬語が使えていないと、不快感を与えてしまうことが少なくありません。誤字脱字が多いのも、雑に扱われているような印象を与えてしまうことがあります。
相手に送る前に、読み返してチェックするように心掛けましょう。
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構成/編集部