Jabraは北欧デンマークで150年の歴史を持つGNグループのオーディオブランドである。同社はイヤホン/ヘッドホンだけでなく、姉妹企業である補聴器専門のGN Hearingとの協力関係で医療用、ビジネス用、コンシューマー用のソリューションを広く提供している。
その第6世代に当たるのが、2021年秋に発売された新製品『Jabra Elite 7 Active』と『Jabra Elite 7 Pro』だ。今回はビジネスパーソン岩崎剛幸さんがAV評論家の山本敦さんのアドバイスを受けながら、2モデルの違いを体験した。
【使い勝手を試す人】岩崎剛幸さん(右)
ムガマエ株式会社 経営コンサルタント/代表取締役社長。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社を創業。流通小売業界のコンサルティングのスペシャリストとして、これまでに百貨店、GMS、チェーン専門店、TV通販会社、アパレルメーカー、広告代理店などのブランディング、ミッション経営、情熱経営の徹底・実践に取り組んでいる。2015年度 立教大学兼任講師、日本商業ラッピング協会理事 など
【音質を試す人】山本 敦さん(左)
オーディオ・ビジュアル誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾに音楽配信、イヤホンなどポータブルオーディオの最先端に精通する。堪能な英語とフランス語を活かして国内外の展示会取材や、メーカー開発者へのインタビューなども数多くこなす。
小型軽量で装着感が良く、音質にも妥協したくない
まずは岩崎さんがどんな理由で商品をセレクトし、どんなシーンで活用しているか、山本さんにヒアリングしてもらった。
――すると岩崎さんが現在、使っているワイヤレスイヤホンを選んだ理由は〝スマホと同じメーカーだったから〟という消極的とも言える理由だった。
岩崎さん:もちろんデザインとサイズ、装着感にはこだわりました。ANC(Active Noise Cancellation)機能も必要だと思い、試聴してみると透明感があってクセがない音質で満足できるものでしたよ。
――それではどこに不満点があるのだろうか。
岩崎さん:長時間使っていると、耳にフィットしなくなり耳が痛くなります。そこで軽く耳に入れると落ちやすくなる。それともうひとつ、ANCが強すぎるせいか耳がツーンとなることもありますね。
――さらにビジネスでは主にZoom Meetingにワイヤレスイヤホンを活用しているため、通話品質も重視されるそうだ。また音楽再生時にはもう少し低音の量感が欲しいという要望も出た。プライベートではワークアウトやジョギングでの使用を前提として、アクティブな動きや防水・防塵性を重視したイヤホンにも興味があるという。
山本さん:岩崎さんの使われているイヤホンはイヤーピースによる圧迫感は少なめですが、ご自身の耳とのフィット感やANC効果との相性があまり良くないのかもしれません。
――そこで山本さんが取り出したのが『Jabra Elite 7 Active』である。確かにコンパクトなデザインだが、ユニークな形状ではなく、フィット感を向上させるためのイヤーウイングもなく、パッと見にはごく普通である。
山本さん:アクティブなシーンでのフィット感を重視するなら、『Elite 7 Active』ですね。理由はJabra シェークグリップTMです。これはハウジング全体に特殊なコーティングを施すことで肌との密着感を高めるもので、見た目はマット調の塗装に見えますが、その効果は抜群です。
アクティブなシーンに強い『Jabra Elite 7 Active』
『Jabra Elite 7 Active』
2万3980円(直販価格)
【SPEC】
●タイプ カナル型/完全ワイヤレス ●ドライバー φ6mmダイナミック型
●再生周波数帯域 20Hz~20kHz ●充電端子 USB-C/Qi
●Bluetoothバージョン Vwr.5.2 ●連続再生時間 最長8時間
●充電時間 イヤホン約2.5時間、ケース約2.5時間、急速充電5分で1時間再生
●対応コーデック SBC、AAC ●防水・防塵機能 IP57
●カラー ブラック、ミント、ネイビー
6万2000件を超える耳の検証データを活用
山本さん:『Jabra Elite 7 Active』は、同社が持っている6万2000件を超える耳の検証データを活用しながら、耳に最適な形状を決めています。さらにイヤージェルと呼ばれるシリコン製イヤーピースがフィット感を高めています。具体的にはサイズによって外側の厚みを変えて、先端部分は真円にして耳の奥に密着させています。防水・防塵性能は、IP57で、汗をかいてもすべりにくく、水洗いもできます。
付けた瞬間に分かる装着感の違い!
岩崎さん:耳に装着した瞬間、落ちる気がしませんね。スッと耳に収まります。ジョギングしても安定感が違います。もっと激しい運動にも耐えられそうです。
山本さん:このサラッとしていながら耳に吸い付くよう装着できるのが、Jabra シェークグリップTMの特徴です。同社独自のリキッドシリコンラバーでイヤホン全体をコーティングしています。その結果、驚異的な装着感を実現できました。
自宅のトレーニングはロックのBGMで集中力アップ
岩崎さん:私は合気道をやっているので、さすがに道場で音楽を聴くことはありません(笑)。 ですが、筋トレの時は70~80年代のロックを聞くことが多いですね。 映画『ロッキー3』のサウンドトラックでサバイバーが演奏する『Eye Of The Tiger』で気分を盛り上げていますが、音のバランスがいいですね。重低音も再現されてメリハリ感を感じます。ロック以外にクラシックも聞きますが、ピアノの鍵盤を叩く音もしっかり聞こえるようになりました。
山本さん:確かに岩崎さんが感じられたように、『Jabra Elite 7 Active』は力強い音で中低域に厚みがあってエネルギッシュです。ANCのON/OFFによる音質の変化もないので、積極的にANCと組み合わせて聞きたいですね。
パーソナライズ機能で自分専用の1台に
岩崎さんの音楽趣味はロック、クラシック、さらには80年代J-POPも好き! と幅広い。そこで活用してもらいたいのが、自分好みのサウンドにできるパーソナライズ機能だ。 ユーザーの耳の特性に合わせてイヤホンのサウンドを調整してくれる「MySound」、音質を調整できるイコライザー、ANCの効果と左右のバランスを微調整できる「ANCのパーソナライズ」、そしてイヤホンのタッチ操作をカスタマイズできる「MyControls」などがある。
山本さん:「MySound」はスマホのアプリを使って耳の周波数特性などを測定して、それに合わせたイコライジングをイヤホンにおこなう機能です。ハイエンドワイヤレスイヤホンではトレンドになりそうな機能です。デジタル化によってイコラインジングによる音質劣化の心配もありません。
スマホアプリで測定した「MySound」の聴覚プロファイルは、イヤホン側に保存される。
山本さん:岩崎さんのお悩みだったANCが強すぎて耳が痛いという現象は、ANCのパーソナライズで解決できると思います。イヤホン自体もカナル型でイヤージェルの遮音性も高いので、アクティブとパッシブの両面でノイズを遮断できますよ。
ANCの効果をパーソナライズすることで、耳への負担を抑え省電力化もはかれる。
ANCのパーソナライズで耳が痛くない
山本さん:岩崎さんにANCのパーソナライズ機能を使っていただきました。その効果はいかがでしょうか。
岩崎さん:まず耳が痛くならないのがいいですね。いくらANCの効果が強くても耳が痛いとOFFにするので無意味でした。『Jabra Elite 7 Active』の場合はイヤージェルが耳にフィットして遮音効果がプラスされて、ANCの効きが良くなりますね。アプリで耳へのフィット感がチェックできるのも安心です。
カフェなどでの効果は抜群ですね。ノイズレスだと仕事に対しても集中力が上がります。
遮音効果が高まるとヒアスルーが重要
山本さん:ANCの性能が高まれば、カバーできる周波数帯域が広がって人の声なども聞き取りにくくなります。ここで注目されるのが外音取り込み、すなわちヒアスルー機能です。Elite 7 Activeは左側のイヤホン側面を押すだけでヒアスルーになるので、操作性も良く、その効き方も自然だと思います。本機の場合は強弱の効果を5段階で調整できるので、ANCとヒアスルーのちょうどいいバランスがはかれますよ。
ノートPCにイヤホン接続時、スマホに着信があってもヒアスルーならすぐに気付きます。
岩崎さん:ANCの効果が上がると、ヒアスルーがないと危険ですよね。私も列車で移動中にANCを使っていてアナウンスを聞き逃したことがあります。理想は自動的に人間の声だけ聞こえる機能があるといいのですが、イヤホンの側面ボタンを押すとヒアスルーが使えるのは便利ですね。
ヒアスルーを使えば、街中の騒音を遮断しつつも、クルマのクラクションなどに気付ける。
意外に騒音源が多い自宅で活躍
岩崎さん:ANCといえば屋外のイメージが強かったのですが、自宅もエアコンの騒音や生活音、暗騒音など気付かないノイズにあふれています。まあ、これは屋内でANCを使って気がついたのですが、家族に呼ばれたことがわからなかったことがよくありました。今回、ヒアスルー機能を使って、周囲の音が聞こえるようになったのは助かります。
自宅ではヒアスルー機能で固定電話や宅配便などにも対応できますね
Amazon Alexaを内蔵し、音声アシスタントも利用可能
――近年、ワイヤレスイヤホンの機能で欠かせない機能、と言ってもいいのが、Alexa、Siri、Googleアシスタントなどの音声アシスタントに対応しているか否かです。今回、試聴する2モデルはAlexa搭載。Amazonのサービスを利用する機会も多いという岩崎さんには便利な機能だと思います。
山本さん:イヤホンの操作ボタンを2秒間長押しでAlexaが起動するようになります。Alexaを使えば、ニュースの読み上げやPrimeミュージックの再生、ネットラジオを聞いたり、Kindleに表示さえた文章を読み上げてもらったりできるようになります。特にPrimeミュージック Unlimitedプランとこの機能を組み合わせると、イヤホン操作だけで約4000万曲が聴き放題かつ好きなプレイリストを聞き流せるので、個人的にはかなりオススメですね。このほか、Alexaはスマート家電に対応した製品のリモートコントロールにも対応しているので、外出中に自宅の家電操作も可能に。たとえばエアコンなら家に帰る直前に冷房や暖房を効かせることもできるので、使い方次第では値段以上の働きをしてくれると思います。
ビジネスシーンに強い『Jabra Elite 7 Pro』
山本さん:通話品質を重視されるなら、 『Jabra Elite 7 Pro』がおススメです。 ハンズフリーの通話品質を向上させる新機能JabraマルチセンサーボイスTMが搭載されています。
『Jabra Elite 7 Pro』
2万7280円(直販価格)
【SPEC】
●タイプ:カナル型/完全ワイヤレス ●ドライバー:φ6mmダイナミック型
●再生周波数帯域:20Hz~20kHz ●充電端子:USB-C/Qi
●Bluetoothバージョン:Vwr.5.2 ●連続再生時間:最長8時間
●充電時間:イヤホン約2.5時間、ケース約2.5時間、急速充電5分で1時間再生
●対応コーデック:SBC、AAC ●防水・防塵機能:IP57
●カラー:ブラック、チタニウムブラック、ゴールドベージュ」
ノイズを除去してクリアな通話品質を保つ
山本さん:「本機が採用しているJabraマルチセンサーボイスTMは片耳に2個のマイクと高性能音声認識(VPU)で、周囲のノイズから音声をピックアップして自分の声だけをクリアーに相手に伝えられます。さらにマイクと併用して骨伝導テクノロジーが、アゴの振動をキャッチして音声にするので、風切り音が除去され屋外でも強みを発揮します。
岩崎さん:コロナ禍で出張が減って、テレワークが増えましたが、自分の声が相手にどう聞こえているかは盲点ですね。自分ではチェックできませんから。相手の声で試しましたがザワザワしたノイズが抑えられ聞きやすかったです。また、街中のカフェで複数のZoom Meetingをする時も、周囲の余計な声が入らないのは便利ですね。イヤホンでここまで通話機能を重視しているモデルがあるとは思いませんでした。
在宅ワークの時も家族の声やエアコンの音がカットされ安心ですね。
ライブ会場の臨場感が伝わる音質
岩崎さん:ワイヤレスイヤホンは音が薄いと感じていましたが、これは臨場感がありますね。ライブ録音だと会場の雰囲気が伝わってきます。音に深みがあるというか、私は『Jabra Elite 7 Active』よりも、こちらの音が好みです。「MySound」機能を使うと、音量を下げてもハッキリ聞こえるので、大音量にする必要がなくなりました。
山本さん:解像度の高い音です。曲のディティールを伝える力に優れています。雰囲気が伝わるというのも、その辺の実力が発揮されたと思います。しっとり聞かせるボーカル、または意外ですが情報量の多いアニソンにも合いますよ。
岩崎さん:ワイヤレスイヤホンはZoom Meetingで使う事が多かったので、音質に関してはあまり重視していませんでしたが、本機を聞くと音楽を楽しむには高音質も必要であることを実感しました。あとANCやヒアスルーなどのパーソナライズもこれから必要不可欠になる機能だと思いました。偶然ですが、10年前にGN ReSoundさんの仕事で海外公演に行ったことがあるのですが、そこもJabraを作っているGNグループの一員だったんですね。
山本さん:初めからワイヤレスイヤホンしか使っていないという岩崎さんの要望に合うイヤホンということで、選んだJabraは、日本より海外で認知度の高いブランドで特に通話機能には定評があります。機能面だけでなく、デザイン、材質、仕上げに関してもうるさい日本人の要求を満たす水準を達成していると言えます。
『Jabra Elite 7 Active』『Jabra Elite 7 Pro』どっちを選ぶ!?
岩崎さん: 同じような形状でありながら、『Jabra Elite 7 Active』のピタッと吸い付くような装着感に驚かされました。これで機能的には『Jabra Elite 7 Pro』とほぼ同等ですからハイコスパなモデルですよね。ワークアウト重視なら『Jabra Elite 7 Active』の一択ですが、音質の好みと骨伝導テクノロジーを使った通話機能を考えると『Elite 7 Pro』も魅力的です。理想は色違いで2台持ちなのかもしれません。
山本さん:音質の違い、装着感の違いから、『Elite 7 Active』か『Elite 7 Pro』のどちらを選ぶかは、どちらの用途に重きを置くか、あるいは音の好みで選ぶことになりますね。どちらを選らんでも後悔しない装着感、機能と性能を備えているので、ご安心ください。
問い合わせ先/GNオーディオジャパン https://www.jabra.jp/
取材・文/川野 剛 撮影/タナカヨシトモ