離婚時のさまざまな手続きに対して、「最短で効率良く進めたい」「金銭的な余裕があれば代行を頼みたい」などと考える人も少なくない。大変な作業だからこそ、手続きの内容や流れをあらかじめ確認したり、必要書類一覧をチェックリストにしたりしておくことが大切だ。本記事では、離婚時に必要な手続きについて解説する。男性女性共通して行う手続きが多いため、ぜひ参考にしてほしい。
1.離婚届を提出する
まずは、離婚届を提出する。離婚方法によって「離婚届の提出先」が異なる点を覚えておこう。
協議離婚の場合
協議離婚の場合、役所へ離婚届を提出したタイミングで法的に離婚が成立するため、まずは各市区町村役所の戸籍係へ離婚届を提出しよう。離婚届は本籍地以外の役所に提出することも可能だが、その場合は婚姻中の戸籍謄本が必要になる。戸籍謄本は本籍地の役所から郵送で取り寄せることも可能だ。
調停離婚、裁判離婚の場合
調停離婚や裁判離婚の場合は、調停成立時、判決言い渡しのタイミングで法的に離婚が成立する。ただし、それとは別に戸籍を変更する必要があるため、各市区町村役場に「調停調書謄本」もしくは「判決書謄本」を提出して手続きを完了させよう。
2.住所や戸籍変更の手続き
住所変更や戸籍変更も、離婚時に必要な手続きの一つ。詳細は以下の通り。
離婚後の引っ越しに伴う住民票異動届
離婚によって引っ越す場合は、役所へ「住民票異動届」を提出する必要がある。今までと同じ市区町村の中で引っ越しをする場合は「転居届」、元いた住所と異なる市区町村に引っ越す場合は、今まで住んでいた市区町村役場に「転出届」、引っ越し先の市区町村役場に「転入届」を提出する。ちなみに、転居届と転入届の提出期間は転居後14日以内のため、提出漏れがないよう注意してほしい。
戸籍と姓の選択をする
離婚をすると、戸籍の筆頭者ではない人がその戸籍から抜けることになる。例えば、夫が筆頭者の場合、妻は結婚した時に作った戸籍から抜けることになる。離婚で戸籍から抜ける人は、今後の自分の戸籍と苗字について以下の選択肢から選ぶことになる。
・親の戸籍に戻って結婚前の苗字(旧姓)を使用する
・新たな戸籍を作って、旧姓を使用する
・新たな戸籍を作って、筆頭者(元配偶者)の苗字を引き続き使用する
親の戸籍に戻る場合と、新たな戸籍を作って旧姓を使用する場合は、離婚届に記載されている「婚姻前の氏に戻る者の本籍」にチェックマークを入れる。一方で、離婚後も婚姻中の苗字を使い続けたい場合は、「婚氏続称届」を役所に提出する必要がある。婚氏続称届の提出期限は離婚が成立してから3カ月以内のため、忘れずに提出しよう。
3.国民健康保険や社会保険、年金等の手続き
国民健康保険や社会保険、年金等の手続きも漏れなく行うようにしよう。いずれも市区町村役場の保険年金課で手続きが可能だ。
国民健康保険の加入・変更
専業主婦(夫)や扶養範囲内で収入があった場合など、もともと配偶者が勤める会社の健康保険の扶養に入っていた人は、離婚に伴いその加入資格を失う。そのため、離婚後14日以内に自身で国民健康保険に加入する必要がある。この手続きには、「健康保険等資格喪失証明書」が必要なため、あらかじめ配偶者を通じて勤務先に依頼しておくと良い。
国民年金の種別変更
同じように配偶者が勤める会社の厚生年金に加入していた人は、離婚後、第3号被保険者から第1号被保険者へ年金種別を変更する必要がある。郵送による届出が可能な自治体もあるため、保険年金課に確認してみると良いだろう。
年金分割手続き
年金分配とは、婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれの年金にするための公的な制度。老後の生活のためにも、手続きを忘れないように注意しよう。
【参考】日本年金機構 離婚時の年金分割