自分が一年間でいくら所得税を支払っているのか、気になったことはないだろうか。実は、所得税の金額は人によって大きく異なる。それは人によって所得はもちろん、控除額にも違いがあるからだ。では、自分の所得税はどのように算出できるのだろうか。
そこで本記事では、所得税の計算方法をわかりやすく解説する。自身がいくら所得税を支払っているかを把握し、自分に合った節税方法を試してみるのもいいだろう。
所得税の計算方法
はじめに、所得税の具体的な計算方法を紹介する。手元に自分の所得がわかる書類などを用意して読み進めてほしい。
1年間の所得に一定の税率を掛ける
所得税はその年の1月1日から12月31日までに得た所得に、一定の割合を掛け、控除額を差し引いて求められる。計算式は以下の通り。
【所得税の計算方法】
・所得税額=1年間の課税対象所得×所得税率-控除額
所得税額を算出するにはまず、「1年間の課税対象所得」を算出する必要がある。課税対象所得とは、収入から必要経費や基礎控除(48万円)、配偶者控除(13〜38万円)などを差し引いた後の金額だ。
※配偶者控除の金額については国税庁の公式サイトを参考にしてほしい。
税率は所得に応じて、最低5%から最高45%までの7段階に分かれている。税率が上がるほど「控除額」も大きくなる仕組みだ。
【所得税率と控除額】(2021年11月末時点)
1,000円から1,949,000円まで:税率5%、控除額0円
1,950,000円から3,299,000円まで:税率10%、控除額97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで:税率20%、控除額427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで:税率23%、控除額636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで:税率33%、控除額1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで:税率40%、控除額2,796,000円
40,000,000円以上:税率45%、4,796,000円
所得の種類
一口に所得と知っても、給与だけが所得とは限らない。もし、勤務先以外から以下のような所得がある場合には、それらも所得税の対象となる。
【給与以外の所得(一例)】
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
例えば、株式投資をしている方であれば「配当所得」「譲渡所得」を得ている可能性がある。また、不動産投資をしている方なら「不動産所得」が、本業とは別に副業をしている方は「雑所得」も関係してくる。これらのすべての所得から経費、基礎控除等を差し引いて1年間の課税対象所得を算出しよう。
2037年までは復興特別所得税も加算
復興特別所得税とは、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するために、2013年から導入された税金。2037年までの間は、所得税額に対し2.1%が加算される。
【復興特別所得税の計算方法】
・復興特別所得税=所得税額×0.021
ここで注意したいのが、復興特別所得税は「所得額に対して2.1%」ではなく「所得税額に対して2.1%」である点だ。つまり、所得税額が算出できて初めて、復興特別所得税の金額が割り出せる。
毎月の給与から引かれる源泉徴収は仮の税額
給与明細を見た時に、「源泉徴収」として所得税が差し引かれているのを目にしたことがあるはず。これは支払い者である企業が、仮の税額を一旦徴収する仕組みで、年末調整によって正しい税額が決定される。源泉徴収、年末調整について、それぞれの内容を詳しく見て行こう。
そもそも源泉徴収とは
企業に勤めている方であれば、毎月の給与から一定額の所得税が差し引かれている。これを源泉徴収という。これは、企業があらかじめ「見込みの所得税」を毎月の給与から差し引く仕組みだ。ポイントはあくまでも「見込みの所得税」であるという点。正しい税額は、後述する年末調整で決定される。
年末調整
給与の支払い者である企業が、各人の正しい税額を決定し精算することを「年末調整」という。給与の支払いを受けているものが、年末調整の書類を提出することで、正しい所得税額が決定する。その際、「保険料控除」など書類を併せて提出することで、節税(課税対象所得額を低くする)ことが可能だ。
過不足があった場合には、通常12月分の給与で調整が行われる。所得税を払いすぎていた場合には、このタイミングで還付されるケースが多い。
文/oki