博物館の中の人が描く、博物館の裏側マンガ「へんなものみっけ!」
皆さんは何かマニアックな趣味は持っていますか?
マニアはギリシャ語で「狂気」を意味する言葉で、「何か一つのことを突き詰めて没頭する人」をそう呼んだりします。
ということで今回ご紹介するのは、そんなマニア心に響くネタが満載のマンガ。
博物館の中の人が描く、博物館の裏側を描いた「へんなものみっけ!」です。
博物館はマニアの聖地?
舞台は郊外に建つ、ある博物館。
職員はほとんどが何かの研究者=「マニア」であり、興味の対象に対して日夜心血を注ぎ、その道を語らせたら止まらない人ばかり。
そんな博物館に市役所から事務員として出向することになったのが、自称「語れるものが何もない」主人公・薄井くん。
本作は、薄井くんが博物館の職員で鳥類研究者でもある清棲(キヨス)先生と出会い、初出向のその日に道で引かれたカモシカの解剖と標本づくりを手伝わされるところからはじまります。
博物館の面白さといえば、自然・生き物・文化・産業・美術などがごった煮になったところなのではないかと思いますが、本作はまさにそんなマンガ。
各分野の先生たちが次々登場し、ストーリーに絡めて専門知識やうんちくなんかを語ってくれるのです。
専門知識といっても、基本的にストーリーは事務員の薄井くん視点で進むので読みやすく、へぇ~そうなんだ~と彼と一緒になって驚きを共有できたりもします。図鑑やWikipediaを娯楽として楽しめる人なら、きっとツボにはまるはず!
「博物館の中の人」が描く、博物館マンガ
作者の早良 朋(さわら とも)先生は、北海道の大学で動物の研究をし、国立科学博物館で標本を作っていたこともあるといういわば博物館の中の人です。
「へんなものみっけ!」は、そんな博物館の中の人である早良先生の実体験や実感がたくさん詰め込まれているマンガなのです。
本作の魅力の一つに、キヨス先生をはじめとする濃い~先生たちの存在があります。しかし彼らが話す内容があまりにリアルなため、ネットでは「実在の研究者がモデルなのではないか?」と囁かれているそう。
そこで、実在のモデルや参考にされた研究者の方がいらっしゃるのかどうか、早良先生に直接尋ねてみました。
「キャラクターは、ほとんどの場合特定のモデルはいません。自分の知っている研究者の方々の面白い所を組み合わせた感じです。ただ、研究対象が絞られている場合は、取材させていただいた方に似ている部分が多いかもしれません。」(早良先生)
基本的には特定のモデルがいるわけではなく、取材で伺ったエピソードや特徴の一部を参考にさせていただきながらキャラクターができあがるのだとか。
博物館へは取材のために足を運ぶだけでなく、今でも作業のお手伝いをされることがあるといいます。
「現在は鳥の研究所で、(ものす)ごくたまにアルバイトをしています。 仕事内容は、サンプリングされた組織(血液や羽毛など)やDNAの登録・骨格標本を作るためのカツオブシムシの餌(軽く除肉し、乾燥させた鳥の骨格)交換・カツオブシムシの餌作り(除肉作業)などです。
ちなみにここで扱う鳥の死体は、交通事故や窓ガラス衝突などで死んだ個体です。」(早良先生)
研究者目線のアドバイスをいただいたり、面白いお話を聞かせていただいたりして、刺激を充電しているのだと教えてくださいました。
「月刊!スピリッツ12月号」は「へんなものみっけ!」と「小学館の図鑑NEO」のコラボ企画!
現在発売中の「月刊!スピリッツ12月号」では、人気連載中の「へんなものみっけ!」と「小学館の図鑑NEO」のコラボ企画が載っています。
特別コラボマンガではキヨス先生や博物館の先生たちが「図鑑NEO」を使って生き物について熱く解説しているとのことで、その内容が気になるところ。
最後に、早良先生にコラボの見どころについて伺ってみました。
「コラボ企画で描かせていただいた漫画に、図鑑NEOで知った自然科学の面白さと、連載の中で描いた自然科学の面白さの両方が入っているところです。
自然の面白がり方として、図鑑NEOならではの圧倒的にリアルな写真や情報量と、漫画ならではの『ここ深掘りし(ちゃっ)た?!』みたいな部分を楽しんでいただけたら。そしてこの世界のどこかに引っかかって頂けたら、とても嬉しいです。」(早良先生)
マンガと図鑑、両方の良い所取りを楽しめるコラボ企画になっているということです。
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自然、生き物、恐竜、化石、標本…そんな言葉を聞くと今でもワクワクしてしまう全ての大人に勧めたい(もちろん子供にも)!
「へんなものみっけ!」(1)~(6)以下続巻/小学館
著者:早良 朋
取材・文/黒岩ヨシコ
編集/inox.