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存在感、先進性、上質な走り、乗ってわかった日産のプレミアムコンパクト「ノート オーラ」が評価される理由

2021.11.28

日産が100%電動駆動のe-POWERを武器に、新たにコンパクトクラスに送り込んだのが、360度セーフティアシスト(全方位運転支援システム)を標準搭載し、ノートと合わせて自動車安全性能JNCAP最高評価「ファイブスター賞」を獲得するとともに、2021年GOOD DESIGN AWARDを受賞したプレミアムコンパクトのノートオーラである。

5ナンバーサイズのノートに対して、こちらは内外装の上級・上質化はもちろん、全幅1735mmとなるノート初の3ナンバーとなるワイドボディ、およびノート比+20mmのワイドトレッドを採用。

エクステリアはルーフとフロントドア以外はノートと別物で、間もなく登場するピュアEVのアリアと共通するデザインの薄型LEDヘッドランプ、横一直線のLEDリヤコンビランプがオーラならではだ。ワイドボディによる堂々たる存在感、先進感、プレミアム感は足元にも表れ、タイヤはノートの16インチのエコタイヤから17インチの欧州車でも採用例の多いBSトランザに変更している。

インテリアにしてもプレミアムな作り込みが際立つ。12.3インチのTFTアドバンスドライブアシストディスプレー=デジタルメーターから連続する9インチの日産コネクトナビ画面見せ方、先進感が演出され、インパネ、センターコンソール、ドアトリムには上質感を演出するツイード調織物が巻かれているほか、高級感ある微細加工の15もの工程を経た微細加工の木目調パネルがあしらわれるなど、プレミアムコンパクトらしいデジタルコクピットに仕上げている。

しかし、筆者がより感動したのは、標準のツイード調織物と合皮のコンビシートと、レザーエディションとして3層構造の本革シートを用意するシートのかけ心地の良さだった。どちらも体の滑りを抑制するキルティングラインが高級感を漂わせる表皮デザインで、インテリアの上級感をさらに高めている。加えて、お尻をふんわりと沈み込ませ、背中を優しく包み込んでくれる優しいかけ心地と、フランス車的な体重によって上半身をホールドしてくれる心地よいサポート性機能まで、コンビシート、本革シートともに併せ持っているのだ。国産、輸入車を問わず、体重65kgの筆者だと、多くの本革シートは表皮の張りが強すぎてかけ心地が硬めになり、ホールド感も期待したほどではなくなるのだが、この本革シートは国産車としてかつてない日本人向け!?と言える、ソファ感覚かつホールド感に優れ、快適に運転できる極上のシートと言っていい。このシートの良さだけでも、ノートオーラを選ぶ価値があると思えたほどだ(特に本革シート)。実際、東京~箱根間を往復したときも、運転、着座による疲労、ストレスはないに等しかったのである。

もっとも、室内空間やラゲッジルームの広さ、寸法、パッケージは5ナンバーサイズのノートと変わるところはない。とはいえ、そもそもノートが十分すぎる室内空間、ラゲッジルームの容量を持つのだから、心配はいらない。家族3~4人の宿泊を伴うドライブ旅行でも、荷物をしっかり積めることを確認している。

プレミアムコンパクトを謳うノートオーラは、パワ―ユニットもノートとは別物だ。100%電動駆動、1.2Lエンジンは”発電のためだけ”に使われるe-POWERのモーター最大出力はノートの116psから136psに、最大トルクも28.6kg-mから30.6kg-mに引き上げられ(1.2Lエンジンのスペックは不変)、つまりモーターは出力で18%、トルクは7%の向上となる。リヤも回生する、4輪をモーターで駆動、制御する次世代電動4輪駆動システム備えた4WDであれば、それにノートと同スペックのリヤモーター68ps、10.2kg-mが加わることになる。

さて、そんなノートオーラは走ってもプレミアムなのだろうか。答えはほぼイ・エ・スである。シートのかけ心地の良さや上質極まるインテリアに満足しつつ走り出せば、100%電動駆動ならではの静かで電動感の強いスムーズな走り、加速感に酔うことができる。

ボディ剛性は文句なしのレヘルにあり、路面が良ければ乗り心地は素晴らしく、快適無比。首都高の段差などでFFモデルはややキツ目のショックに見舞われることもあるが、お薦めのリヤも回生、駆動するFOURグレード、つまり4WDになれば、安定感はもちろん、そうした場面でのいなし方で上回り(110kgの車重増も効いている)、さらに乗り心地のフラット感でも優位に立つのである。

その理由はリヤモーターの回生にあり、アクセルオフ、減速時に車体がつんのめる動きを抑える効果もあって、日産のデータによると0.15G減速時のピッチ角、つまり加減速による車体の挙動が、FFの約20%減にもなるからだ。

コンパクトカーの4WDというと、雪国対応の生活ヨンク的な印象もあるのだが、ノートオーラの場合は、リヤ駆動を積極的に使うダイナミクスに振られているのが特徴だ。東名御殿場ICから箱根を目指す、山道の乙女道路を駆け上がるようなシーンでステアリングを右へ、左へと切り返すシーンにおいては、微小舵角での応答性の良さに加え、4輪の駆動による安定感も鉄壁となる。カーブでの運転感覚、つまりライントレース性、安定感、安心感の高さもまた、プレミアムというわけだ。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツの3モードがあり、ノート同様、エコとスポーツでアクセルオフでの減速G=ワンペダル機能が働くのはもちろんで(そこがe-POWERの特徴でもある)、カーブ手前の減速もスムーズそのもの。下手にブレーキを踏むよりずっと快適な(特に同乗者)ドライブが楽しめる。ワンペダル機能の進化も見逃せない。特に止まり際、12km/h以下でのスムーズさがアップデートされていて、これならワンペダル嫌い!?の筆者も、ワンペダル機能を、微低速域を含め積極的に使いたくなったほどだった。なお、オートブレーキホールド機能はエンジンをOFFにしてもメモリーされるから便利この上ない(国産車では希少)。

話は前後してしまうが、東名高速道路を走る高速走行では、モータ―パワーの余裕による走りやすさ、快適感、静かさとともに、プロパイロットが威力を発揮。プロパイロットはバージョン1.5と呼んでいいもので、カーブ手前減速制御も盛り込まれているから、一般的なACCと違い、カーブに設定速度のまま突っ込んで怖い思いをすることもない。静かさについて補足すると、それが世界初と言われる発電制御。1.2Lのエンジンが発電のためだけに使われることはすでに述べたが、路面状態や走行速度によってタイヤが発するロードノイズが大きくなるとエンジンの発電を積極的に行い、バッテリーを充電。この場面では、発電するエンジン音がロードノイズによって目立たなくなり、エンジンノイズはほぼ気にならないという具合だ。実際、高速走行中、発電のためにいつエンジンがかかったかなど、まったく気づかせないほどなのである。

SOSコールや日産コネクトナビゲーションによるオペレーターサービスなど、出発前から走行中まで、365日、24時間つながる安心感も絶大である(これはノートも同様)。

最後にノートオーラの価格について触れると、ベースグレードのGと、ノートの実質的メイングレードとなるXとの価格差は42万3500円。価格までプレミアム!?と思ってしまいがちだが、実は、ノートでオプションとなる360度カメラ、デジタルルームミラー、後側方車両検知警報などの先進安全運転支援機能、アダクティブLEDヘッドライト、アルミホイールなどが標準装備されるため(25万1900円相当/税込み)、実質的な価格差は17万1600円に縮まる。さらにノートオーラにはワイドボディや、より上質かつかけ心地の良いシート(本革シートの場合)、専用デジタルコクピットなどが与えられているのだから、むしろ買い得感が強いのはこちら、とも言えそうなのである。

これまで国産車でプレミアムを謳うクルマはあるにはあったが、コンパクトカーで見せかけだけではない真のプレミアム、上質を実現したのは、このノートオーラ(都会のユーザーでも4WD推奨)が初めてと言って間違いないと思える。

日産ノートオーラ
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/aura.html

写真/雪岡直樹
文/青山尚暉

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