錦糸町でサウナ専門施設を50年営業してきたアラキ商事。
「サウナ錦糸町」では120℃の灼熱サウナや究極の水風呂という、こだわりのサウナスタイルを貫いてきた。
その究極のサウナを女性にも体験してほしいと、女性専用のサウナスペース「サウナ錦糸町WOMAN」をついにオープン。いったいどんなスペースになっているのか? 実際に体験してきた。
女性だからといって低温にせず100℃超え!
もともと女性専用の岩盤浴として営業していたスペースの一部を、サウナ室としてリニューアルした「サウナ錦糸町WOMAN」。
中に一歩を足を踏み入れた時点で、これまでに筆者が体験したサウナの中で、もっとも熱いということがすぐに感じとれるほどの熱さだ。
2段のベンチが奥に向かって細長く伸びたサウナ室は、一番奥にストーブがあるにも関わらず、入り口ですでにそんな状態だ。
なんとか室内にそろりと足を進めると、ストーブ、温度計、そして扉がある。
まずは温度計、110℃を差しているが、置かれている場所はベンチの二段目。
多くのサウナはサウナ室の上のほうに温度計がついているので、実際に座っている場所は、温度計が示す温度より低い。
実際、筆者のホームサウナの温度計は常時106℃を指し、女性用サウナの中では高いほう。しかし「サウナ錦糸町WOMAN」の110℃は、数字だけでいえばホームサウナとの温度差は4℃だが、まっっったく、違う。こんなにガツンとくる体験は、滅多にできるものではない。
ベンチの座面は木ではなく、岩盤浴で使用されている海洋深層石と同じものが、クッションのように袋に詰められて、座面を覆っている。
この石が貯めている熱が、お尻の下からじわじわと感じられる。
しばらく入ること数分、熱さに比較的強い筆者も、早々に限界に達する。
一気に噴き出す汗、そして下に敷き詰められたサウナマットすら熱くて耐えかねるのだ。
奥の扉を開けると、男性サウナと同様、水風呂へ飛び込めるとは聞いていた。ドアもかなり熱くなっているので、火傷しないようにすり抜け、汗を流さず水風呂へ直にダイブできるのだ。
これはぜひ、飛び込みたいっっ!
…と、何度か試みようとしたのだが、叶わなかった。扉の熱さ以前に、ドアの前にたどり着くまでのマットが熱すぎて、踏みこむことができなかったのだ。軟弱な足の裏め…。
仕方ないので、サウナ室を出て、ぐるっと浴室へ回ることにした。はぁ…無念…。
噂の温泉水による「究極の水風呂」を堪能!
さて「サウナ錦糸町」でもファンが多いのが、この温泉水の源泉かけ流しの水風呂だ。かけ流しだからこそ、サウナからの直ダイブもOKなのだろう。サウナ室とつながったドアから、ここへ直にダイブできたら最高だったろうな…!とうらめしい気持ちでドアを眺める。
水温は18℃、水はなんとも清らかかつ、まろやか。パンチの効いた灼熱サウナからの、この包まれるような涼やかな優しさ、少々戸惑うくらいだ。
頭上から降り注ぐ滝も、男性サウナでの好評を受けて導入されたもの。水にもぐらなくても頭から気持ちよくガッツリ冷やすことができる。
この昭和の香りが残る場所に突然現れる、おしゃれ空間は休憩スペース。驚くほど高い天井には枝ぶりの良い立派な木が植えられた鉢が置かれ、外気ではないが、外気の気分をも味わわせてくれる内気欲スペース。
珍しい海洋深層石の玉砂利が敷き詰められた、岩盤浴スペースで、横になって休憩するのもアリだ。穏やかなあたたかさに、思わず寝落ちしてしまいそうになる。
サウナを堪能した後は、階上にあるパウダールームの利用が可能。ずらりと鏡と椅子、ドライヤーなどが並び、ゆっくり身だしなみを整えてから退出できる。
「日常のサウナ」を女性にも
アラキ商事の三代目代表取締役、錦糸町生まれ、育ちである荒木瑛統さんにお話を伺った。
右/有限会社アラキ商事 代表取締役 荒木瑛統さん 左/同 統括マネージャー 万倉謙作さん 万倉さんは荒木さんの学生時代からの友人で、今年から加わった。「世界一のサウナになる、と話してる」と荒木さん
―今回「サウナ錦糸町WOMAN」をオープンした経緯は、女性からも熱いサウナに入ってみたいというオーダーが多かったのでしょうか。
荒木さん(以下、荒木)「そうですね。僕の勝手な意見ですが、うちの(120℃の)サウナっていうのは、サウナの本質を極めていると思っているんです。
やっぱり、日常にサウナを取り入れるなら、熱いサウナで短時間でパッと温まって、パッと帰れるのが一番いい。他の予定の前とか間とかに手軽に挟めるような…。
女性用のサウナって、オシャレだったりイベント化していることが多い。だから、うちが男性用サウナでやっていた“日常のサウナ”というコンセプトを、女性のほうにも持って行っただけなんです」
―実際に、お客さんが入られて反応はいかがでしたか?
荒木「『熱い』しか言われてないですね。まあ座面で100℃以上あるので…。それでもだいぶ男性より設定は弱めているんですよ」
―女性のサウナもずいぶん熱く感じましたが、男性サウナも見せていただいたとき、男性のほうがさらに熱さを感じましたね。
荒木「本来の120℃より、プラス15℃、20℃行ってますね(笑)」
―やっぱり! 実際オープンしてみて、予想外だったことはありますか?
荒木「年齢層問わず、カップルやご夫婦で来られる方が多いことですね。一緒に入れるわけではないけれど、この熱さが好きな方が、パートナーにも一緒に体験してほしいみたいで。
ふたりで着て、男性と女性が分かれて入っていくんだけど、何時に入り口で待ち合わせね、って銭湯みたいな感じでいいなと思って見ています。
あとは面白いなと思ったのが、女性のお客様からは、帰りがけにだいたい『熱い、熱い』と言われます。なので、『男性用はもっと熱いんですよ』とお声がけすると、お連れの男性がちょっと誇らしげな顔をされるんですよね。
―もっとすごい熱に耐えてるんだぞ、と(笑)。女性客にこういう風にサウナを利用してほしい、というのはありますか?
荒木「そうですね、さすがに昼休みとかは無理だと思うんですけど、仕事が終わってサウナで疲れを取って帰ったり、飲みに行く前にサッとサウナに入ってから行ったり、そういった使い方をしてもらえるといいなと思いますね。
僕は、この『サウナってもっと日常だ。』っていうの、本当にいい言葉だなとずっと思っていて。
今、女性はとくに『サウナ女子』なんて言われたりして、いろんなスタンスでサウナに向き合っている方がいると思います。
人があれこれ言う施設の評価に左右されすぎずに、郷に入ったら郷に従えの精神で、自分の目の前のものに向き合って楽しむことに、注力してくれると嬉しいなと思いますね」
錦糸町で50年もの間、愛され続けてきたサウナ錦糸町。
熱~い灼熱サウナで短時間でガッと温まり、気持ちのいい水風呂でパッと引き締めるという江戸っ子サウナスタイル。「サウナ錦糸町WOMAN」ができたことで、女性でもこの流儀を堪能できるようになった(男性より温度は控えめとはいえ)。熱さに慣れてくると、これくらいじゃないと物足りなくなりそうだ。いつか、サウナから直接水風呂に飛び込めるようになりたいものだ!
「サウナ錦糸町WOMAN」
住所:東京都墨田区錦糸2-6-3 サウナ錦糸町1F(受付2F)
営業時間:8:00~24:00(金・土のみ24時間営業)
料金:1,170円(税込)※1回利用3時間、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、パウダールーム使用料込み
INFORMATION
日常の中でパッと取り入れられるサウナを実現すべく、アラキ商事が2021年6月に浅草橋にオープンしたのが月額会員制サウナ「120℃浅草橋NETU」(男性専用)だ。月額5,980円で、365日24時間入り放題。なんと1日に4回来る強者もいるそう。併設されているトレーニングジム(月額5,980円)との同時入会で、片方が月額3,300円で利用できる割引も。
サウナーたちの伝説のバイブル復汗!SJ MOOK『Saunner+(サウナープラス)』
サウナを愛してやまない「サウナー」のための本、現在のサウナブームの火付け役となった伝説のサウナ専門誌『Saunner』(2014年、小学館刊)が、7年の時を経てついに復汗(刊)! コロナ禍による危機を超え、ブームを超え、日本のサウナの未来を考えるというテーマのもと、パワーアップして再登場!
定価1320円(税込)
B5判/132ページ
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104252
取材・文/安念美和子(nenko)