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今、コンビニではどんな医薬品が買える?コロナ禍で加速するセルフメディケーション

2021.11.27

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、セルフメディケーションが急速に進み、コンビニエンスストアでの医薬品の取り扱いや、処方薬の受け取り等のサービスも進んだ。また、処方薬と同じ有効成分を配合した市販の医薬品や機能性表示食品の売り上げの伸長も目立った。

生活者としては、さらにセルフメディケーションが行いやすくなってきたといえる。そこで今回は、コロナ禍で進んだセルフメディケーションにまつわるトピックスを紹介する。

コンビニで医薬品を入手しやすく〜ローソンとファミリーマートの例

セルフメディケーションとは、軽度な身体の不調は自分で手当てすることを指す。高齢化が進む我が国における医療費削減の課題解決策の一つとして、国が推進している。「自分自身の健康に責任を持つ」ことが根底にある。

そのセルフメディケーションは、コンビニエンスストアでの医薬品購入や処方薬受け取りなどが進むことで、身近に行いやすくなってきた。そしてコロナ禍で宅配サービスもスタートしたコンビニもある。

●ローソン 医薬品の宅配サービスをスタート

ローソンは、現在、医薬品を販売している店舗数を256店舗にまで伸ばしている(21年10月末現在)。今後の計画店舗数は、2024年2月末までに450店舗の展開を目指す。

コロナ禍を受け、一部店舗でのOTC医薬品のUberEatsによって届けるサービスを開始した。

医薬品をコンビニで買えること、またUber Eatsで自宅で受け取れることにはどんなメリットがあるか。ローソンの担当者は次のように述べる。

「急な体の不調などのときに、近くのコンビニで、必要な食べ物・飲み物などと一緒に医薬品を購入いただけます。さらにUber Eatsによるお届けを行っている店舗では、外出がつらい不調の場合も、家にいながらにして数十分程度で医薬品が届きます」

Uber Eatsで特に売れている医薬品は、解熱鎮痛薬、風邪薬、ドリンク剤、目薬、胃腸薬の順。季節によって変動があり、これからの時期は風邪薬が売れてくると予想しているそうだ。

●ファミリーマート 処方薬等の最短当日受け取りの共同実証実験

ファミリーマートでは、薬を最短当日に配送・当日受け取りできるサービス「ファミマシー」を、東京都内の8店舗で2021年8月よりスタートした。

薬は、オンライン服薬指導後の処方せん医薬品と、一般用医薬品(第1類医薬品を含む市販薬)の2種類。

株式会社ミナカラが運営するオンライン薬局「ミナカラ」との共同実証実験となる。

ファミリーマートの担当者は、ファミマシーについて次のように解説する。

「お客さまは、ご自身のスマートフォン、タブレットから薬剤師の服薬指導・薬の説明を経て、オンライン上で薬を購入します。薬はファミリーマート店舗に設置された認証機能付き受取BOXから受け取る形で、仕事帰りなどの遅い時間でも医薬品を手軽に入手できます。今回は都内8店舗で実証実験を行い、購入体験を通じて、利用者さまの課題がどの程度解決できるようになるかを検証しております」

コンビニで薬が得られる生活者のメリットはどんなところにあるか。

「処方薬受け取りの場合でも、従来のようにご自身で調剤薬局に処方せんを直接持ち込む必要はありませんし、調剤薬局での待ち時間も発生しません。ファミリーマート店舗の営業時間中はいつでも受け取れるため、お客さまのご都合の良いタイミングで薬を受け取ることが可能です」

ファミマシーには、現状、どのような課題があるのだろうか。

「現状の課題としては、認知度をさらに高めていく必要があるととらえております。現状取り組んでいる実験を通じて、お客さまのご利用情報を見ながら、より多くの方にご利用いただけるよう、SNSなどを活用した情報発信などにも取り組んでまいります」

本格サービス提供開始に向け、現状取り組んでいる実験を通じて、利用客の利便性の向上につながるよう、利用状況の検証を行っていくという。

近所のコンビニで、薬などを手に入れられることで、セルフメディケーションがより身近に実践できるようになりそうだ。

処方薬と同じ有効成分を配合した市販の医薬品が増加

また、コロナ禍により、軽度の症状であれば市販薬で済ませたい一方で、処方せんがないと買いたくても買えない医薬品もある。そうしたニーズも背景に、製薬メーカーから処方薬と同じ有効成分を配合する市販薬が登場している。

例えば、2020年6月に発売された健栄製薬の乾燥肌治療薬「ヒルマイルド」シリーズには、乾燥肌の治療で用いられる成分「ヘパリン類似物質」が含まれている。

健栄製薬「ヒルマイルドクリーム」30g(第2類医薬品)

健栄製薬「ヒルマイルドローション」30g(第2類医薬品)

本シリーズの製品は、ヘパリン類似物質の保湿・血行促進・抗炎症作用の3つの働きにより、一時的な保湿ではなく、乾燥肌を治す。のびの良いクリームとサラッとしたローションの2タイプがあり、用途やシーンによって使い分けられる。

また、シオノギヘルスケアは、医療用医薬品と成分を同量配合した「パイロンPL顆粒Pro」と「メジコンせき止め錠Pro」を2021年8月上旬に発売した。

シオノギヘルスケア「パイロンPL顆粒Pro(指定第2類医薬品)」と「メジコンせき止め錠Pro(第2類医薬品)」

パイロンPL顆粒Proは、サリチルアミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩の配合量が医療用と同量で、メジコンせき止め錠Proは、 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の1回量が医療用と同量となっている。

コロナ禍で医療機関での感染リスク・不安によるセルフメディケーション需要が急速に広がっているなか、「処方せんなしで病院に行かずに買えるかぜ薬がほしい」という顧客の声をふまえて開発したという。

市販薬選びの際にも、処方薬を意識して選ぶということも必要といえそうだ。

機能性表示食品の売り上げが伸長・発売 睡眠の質サポート等に注目

機能性表示食品についてもコロナ禍で売上が伸びている。ダイエットをサポートするものや、乳酸菌入り食品などは特に伸びているといわれており、実際に利用している人も多いだろう。

そのほか、快眠サポートやストレスケア、目の疲労感を緩和などの機能も、巣ごもり生活や在宅勤務などにより、ニーズが増しているといわれる。

例えばエスビー食品が今年8月に発売した「スパイスサプリ サフラン」は、「日中の眠気の軽減」と「意欲の維持」をサポートする機能性表示食品だ。最新の科学的知見を、同社が評価した結果、 サフラン成分は睡眠の質の向上に役立つ機能も有すると結論づけられたという。

エスビー食品「スパイスサプリ サフラン」

ブルックスは、2021年10月より7つの機能の機能性表示食品として届出されたコーヒーゼリー「美JELLY Premium GABA&Mangosteen」を発売。機能性関与成分である「GABA」と「ロダンテノンB」が、肌の健康と睡眠の質の向上をサポートする。

ブルックス「美JELLY Premium GABA&Mangosteen」

今後も、日常の細かな健康ニーズに応える機能性表示食品が生まれていくだろう。うまく選ぶことで、より自分に合ったセルフメディケーションができると考えられる。

セルフメディケーションは、コロナ禍である意味、誰もが行わなければならない状況となったともいえる。この機会に、意識的にセルフメディケーションに取り組んでみるのもいいのではないsだろうか。

取材・文/石原亜香利

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