DIME MAGAZINE
ASMRとは、見たり、聴いたり、触れたりして得られる心地いい反応のことを表わすが、特に聴くことで脳がゾワゾワする音源を指す。ASMR作品をプロデュースしている小岩井ことりさんにその魅力を聞いた。
頭部を模した特殊なマイクで録音しています
声優 小岩井ことりさん
自他ともに認めるオーディオマニア。声優、作詞家、作曲家として活躍する一方、MIDI検定1級も所持。全人口の約2%のみが入れる〝高IQ団体〟MENSAの会員でもある。
空間再現性の高いASMRはいわば音のアトラクション♪
オーディオマニアで、イヤホン・ヘッドホン好きとして知られる声優の小岩井さんがASMRに興味を抱いたのは、今から3年前。当時は、ASMRという言葉自体がまだ浸透していない時期だったという。
「自分のラジオ番組内でASMRのコンテンツを流し始めたのがきっかけです。この制作を機に、コンテンツをつくれるスタッフが徐々に集まってきたこともあって、2020年10月20日にASMRのレーベル『kotoneiro』を立ち上げました」
ASMRの音源は、Webサイトでダウンロード販売されるのが一般的なスタイル。「kotoneiro」ではそれだけでなく、一部のコンテンツをソーシャルVRアプリ『VRChat』のイベントに出展したこともある。
「毎月のように制作している新しいコンテンツは、私を含むスタッフ全員のアイデア出しの賜物。収録にもスケジュールの許す限り立ち会うようにしています。出来上がったコンテンツは『final VR3000』のようなASMR用のイヤホンで聴いてもらえると臨場感が一層増しますよ」
数年前までは「18禁なのでは」と誤解されることも多かったASMRだが、徐々に理解が広がり、コンテンツの種類も増えているようだ。
「現在は声優さんがメインですが、YouTubeで活躍している人などにも依頼したいですね。海の波音とか草津温泉の湯畑の音とか、コンテンツの構想はたくさんあって、様々な体感をASMRで提供したいです」
ささやくようなゾワゾワ感を味わえるASMRの録音方法とは？
ノイマン社製のダミーヘッドマイクを中心に内側に8、外側に8、計16の立ち位置を設定。そこに照合する番号が台本に振ってあり、立ち位置を変えながら収録することで臨場感のあるASMRコンテンツが出来上がる。ソニー製マイクも補足的に使用するそうだ。
「kotoneiro」のコンテンツは「DLsite」にて配信中
MP3／WAV／FLACという3種類の音源をセットで販売。通常価格1980円。職業別の「おしごとねいろ」に加え、安眠に使える癒し系ASMRも配信中。
［人気コンテンツ1］シャンプーされながら会話を楽しむ♪
「おしごとねいろ ～美容師編～」【CV：愛美】
昨年10月、サービス開始と同時に配信され、大きな反響があった作品。ハサミ、シャンプー、ヘッドスパなどの音を収録。お約束の「かゆいところはありませんか？」のセリフも、いつでも楽しめる。「配信当時はコロナ禍で美容院に行けない人も多く、そのことも話題になった理由のひとつです」（小岩井さん）
［人気コンテンツ2］カウンター越しに癒し系美女と対話♪
「おしごとねいろ ～バーテンダー編～」【CV：上田麗奈】
カクテルを作る過程の「シェイカーを振る」「グラスに注ぐ」「カクテルを混ぜる」音に浸れる。「上田さんの癒し系ボイスがASMRにピッタリとハマっているのはもちろん、氷を砕く音や炭酸の音もポイント。ダミーヘッドマイクで収録したら、すごくいい音になりました」（小岩井さん）
［人気コンテンツ3］ペットになった気分が味わえる♪
「おしごとねいろ〜ペットトリマー編〜」【CV：藤井ゆきよ】
ぬるま湯のシャワーから始まるペットサロンでのシャンプー、ドライヤー、カット、ブラッシングなどを疑似体験。最後は猫になりきって〝添い寝〟するシーンも。「ペットの気分になってトリマーさんに〝よしよし〟してもらっている気分を味わえるのはとっても新鮮です！」（小岩井さん）
その場にいるような環境音を楽しめるASMRも人気！
バイクで疾走する爽快な気分に♪
ZOWA「風雨来記4」
旅アドベンチャーゲーム『風雨来記4』とコラボしたASMR動画。バイクのエンジンの排気音、ヘルメット内に響く風切り音、ロードノイズなどが実にリアルだ。
水の心地よい音に心が和む♪
ZOWA「Noise Masking ～水辺の音～」
自然音で雑音をマスキングし、ストレスを和らげるコンテンツ。スマホの専用アプリを使えばバックグラウンドで再生できるのも便利だ。川の音や鳥の声に癒される。
取材・文／川野 剛
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年10月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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