半世紀以上の長い歴史を持つニッポン放送の『オールナイトニッポン』が、2021年秋から4ブランドを展開することに。多角化した理由を、同番組のプロデューサーらに聞いた。
ニッポン放送 コンテンツプロデュースルーム
担当副部長 番組プロデューサー
冨山雄一さん(左)
ニッポン放送 デジタルビジネス部
澤田真吾さん(右)
冨山さんは、2018年より『オールナイトニッポン』ブランド全体のプロデューサーに就任し、多才に活躍している。澤田さんはPodcastを中心としたデジタルビジネスを手がけてる同社のホープ。
限られた番組枠を増やして芸人らとともに成長を目指す
──この10月に『オールナイトニッポンPODCAST』という新たなブランドを立ち上げました。その理由は?
冨山 『オールナイトニッポン』でパーソナリティをやっていただきたい魅力的な人はたくさんいますが、放送枠の関係などで、お願いしたくてもできないという現状があります。そんな人たちの番組を配信という形でやろう、ということで始めました。
──以前は『オールナイトニッポンi』という形でやっていましたが?
澤田 これまでは、番組によって配信日時がまちまちでしたが、配信時間を18時に統一。月曜日はトータルテンボス、火曜日は蛙亭、水曜日は銀シャリ、と〝帯番組〟のような形にしました。だったら新たなブランドにしようということで。
冨山 パーソナリティの横のつながりもできて盛り上がっていますよ。
──各番組とも30分程度というのは意味があるのですか?
澤田 データによると、配信の放送を聴くのは通勤、通学中の人が多い。深夜の『オールナイトニッポン』みたいに2時間も放送すると、行き帰りの時間だけでは聴くことができない人もいる。だから、帰りの時間に聴けるサイズにしようと。
──配信だとリアルな数字が出るのでプレッシャーがあるのでは?
冨山 そういった数字が多い少ないの不安より、「この人は安定した人気がある」とか「意外と若い人に支持されている」というデータが可視化されるメリットのほうが大きいですね。「配信で番組をやったら若い人がこんなに聴いていました」とアピールすることができますから。
──今後の展望は?
冨山 最近は、配信アプリを使って、魅力的なトークを発信する人が増えています。そんな誰もがラジオパーソナリティになれる時代ですが「ディレクターや、放送作家の力が加わるともっと輝くのではないか?」という人を見つけて『オールナイトニッポンPODCAST』で育てていきたいです。そして番組で力をつけて『オールナイトニッポン』で活躍するようなパーソナリティを生み出せたらいいなと思います。
ニッポン放送・オールナイトニッポンの4大ブランド
1967年スタート。放送時間は毎週月〜土曜日、深夜1時〜3時。深夜放送といえばこの番組。現在もナインティナイン、オードリー、星野源などの人気パーソナリティが担当。
2012年スタート。放送時間は毎週月〜土曜日、深夜3時〜。スマホアプリ「ミクチャ」でスタジオの映像を生配信。三四郎、マヂカルラブリー、Creepy Nutsなどが担当。
2021年4月スタート。放送時間は毎週月〜金曜日、深夜0時〜。スマホアプリ「smash.」でも動画生配信。月曜担当のENHYPENは、韓国のスタジオから放送を行なっている。
この10月に始まったばかりの配信番組。配信開始時間は月曜〜土曜日の18時から。土曜日は月替わりのパーソナリティーが登場。11月はランジャタイが担当している。
【月】『トータルテンボスのぬきさしならナイト! season2』
2007年から2020年3月まで東北放送で放送されていた番組が『オールナイトニッポンPODCAST』に移籍。10年以上続いた長寿番組の続編ということで、ベテランリスナーも多い。人気コーナーもそのまま継承。
[必聴ポイント]今やすっかりパパ芸人としても活躍するふたりが、「ぬきさし」だけは中学生、いや小学生に戻って、どこよりもくだらない話で盛り上がります。決して初デートの車内では再生しないでください。
【火】『蛙亭のトノサマラジオ』
【水】『銀シャリのおトぎばなし』
過去に特番で『オールナイトニッポン』を担当していたふたりがマネー系の番組の担当を経て『オールナイトニッポンPODCAST』で復活! M-1チャンピオンは漫才の掛け合いだけでなく、トークの掛け合いも絶妙だ。
[必聴ポイント]コーナーなし、メールもほとんど読めない、ほぼ雑談だけの30分。普通なら間延びする構成ですが、ふたりの手にかかれば話芸の域へ。目指すは最強の雑談!たまにめちゃくちゃ汚い話も。
【木】『アンガールズのジャンピン』
『オールナイトニッポンPODCAST』の立ち上げの際、新たにパーソナリティに抜擢されたのが、まもなく結成20年のふたり。過去に放送した特番で、若い人の支持が特に大きかったため選ばれたという。
[必聴ポイント]ふたりがとことん、自由にしゃべってます。田中さんはヤンキーに辛い目に遭わされた悔しい思いをぶちまけ、山根さんは人とはバトルしたくないと言いながら無意識にいろんな人をいじってます(笑)
【金】『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』
2019年から2021年まで、年に1回『オールナイトニッポン0(ZERO)』を担当したふたりのラジオ。みちおさんは蛙亭のPodcastのファンで、過去の放送をすべてチェックしているという。
[必聴ポイント]「3年かけてニッポン放送を圧縮する」「圧縮したらシルバニアファミリーのおウチにする」など、みちおさんから具体的な計画が明かされ、布川さんが叫び声を上げる、王道トークラジオです!
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取材・文/渡辺雅史