大阪府 法円坂交差点を実走!事故率が高い理由を探ってみた【カブガールが行く】
「道が複雑すぎる…!どうなっているの~!?」
先日ニュースをチェックしていると、気になる記事を見かけました。それは交通事故の多い交差点のランキングというもの。
日本損害保険協会が発表した「全国交通事故多発交差点マップ」(https://www.sonpo.or.jp/news/release/2021/2109_01.html)によると、2020年の人身事故件数は大阪府の法円坂交差点と福岡県の針摺交差点が22件と同数でワースト1位。
同じ場所でそこまでの事故が起きるなんてただ事ではありません。一体どうして事故が集中してしまうんだろう…?
気になったら調べに行ってみるのが早い!ということで大阪市にやってきました。法円坂交差を実際に走ってみて、事故が多い理由を探ってみましょう!
大阪市内の道路状況にビックリ
大阪と言えば…!ということで、まずは大阪城にやってきました。
新型コロナウイルス感染状況の落ち着きにより客足は徐々に戻りつつあるようで、校外学習の学生さんたちがたくさんいます。敷地内に大きなお土産物屋さんが建っているのには商魂を感じましたが、さすがの広さですね。想定よりも長時間の散歩をした後、いざ道路へ出発です!
私にとって大阪の街中をバイクで走るのは初めてのこと。観光気分でやってきましたが、その道中で既に驚いたのが交差点や道路の形状の複雑さ、車線と交通量の多さです。
右左折をするにも2車線分の車線移動が必要な場所も珍しくなく、それにも関わらず交通量が多く、無理やり割り込むような移動をせざるを得ない場面が多々ありました。
走りながら「この状態で交通事故数1位じゃないの!?」なんて委縮してしまう田舎者っぷり。先が思いやられます…!
しかも取材当日は曇り予報のはずが、まさかの大雨。ずぶ濡れになりながらの撮影はメンタルに来ます。
やっぱりバイクは晴れの日に限りますね…!
事故の多さは複雑な道路形状から
すっかり心身ともにヘトヘトになりながらもなんとか法円坂交差点の西側にたどり着きました。
しかし「あれ?思ってたよりも普通の交差点だな…」なんだか拍子抜けしてしまいました。というのも、車線が少ないのです。私がいる左折レーンを含めても片側3車線と、それまでの道と比べても目立って事故が多い道路には見えませんでした。
「なんでだろう…?あ、左折信号がついた!」
すっかり油断したまま前進しましたが、当然のことながら普通の交差点のはずがないのです。交差点に進入したところ、なんと…右側からも左折車が迫ってきたのです!
幸い事故には繋がりませんでしたが、予想外の動きにビックリ。カタツムリのような速度で交差点を通過することになりました。
一体どうして右側からも左折車がやってきたのか。理由を調べるため、一旦バイクを降りて徒歩で交差点を観察してみることにしました。
やってきたのは法円坂交差点の西側にある歩道橋。先ほど私が通過した西側の道を上から見てみると…なるほど!
写真の一番右側が先ほどまで走っていた左折車線で、側道扱いの道路。そして右側からやってきた左折車は中央寄りの左折車線を走っていて、高架から降りてくる本道扱いの道路。
走っている時に「車線が少ない」と勘違いしたのは、側道のみを見ていたためだったのでした。
交差点の全体図はこんな感じ。ただでさえ車線が多いのですが、西側の道の先に阪神高速の出入り口があるためイレギュラーな構造になっています。信号パターンが複雑なことに加え、短い区間内での車線変更が発生しやすいことから事故が多いという予想できるのではないでしょうか。
また歩道橋が設置されているのは西側のみ。それ以外の南北東に関しては横断歩道があります。高速の橋脚によって死角が多く、歩行者や自転車への対応が遅れることからも事故が増えているように感じます。
改めて走ってみる
事故が多い原因を探ってみたところで、改めて法円坂交差点へ突入してみましょう。今度は北側から南側へ直進してみます。
南北の信号パターンは一般的な道路と同じように、青信号と右折信号のみ。その点は安心して走ることができたのですが、交通量が多いため、バイクは特に右直事故に注意が必要であると感じました。
右直事故とは直進する車両と右折する車両によって起きる、生身で走るライダーにとっては命に関わる大怪我をする可能性が高い事故です。
交通量が多い交差点では時々無理やり右折してくる車がいるのですが、バイクは車体の小ささから実際の距離よりも遠く誤認された結果、右直事故の被害者になる場合があるのです。
バイクも車も「かもしれない」運転を
今回は交通事故数全国ワースト1位の法円坂交差点を観察してみましたが、それぞれの事故はどんな道路であっても起き得るものであり、原因数の多さによって事故件数に差が出ているのではないかと思います。
単純であっても複雑であっても一般道を走る以上は「右折車が出てくるかもしれない」「歩行者がいるかもしれない」と常に様々なトラブルを想定しながら乗る必要があります。
常に事故の危険と隣り合わせであり、楽しいことばかりではないのがバイクという趣味。私自身も襟を正す良いきっかけとなりました。
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.