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乗ってわかったVW「ゴルフヴァリアントe TSI Style」の○と×

2021.11.23

輸入車の中で、コンパクトなサイズのステーションワゴンとして人気絶大なのが、フォルクスワーゲンのゴルフヴァリアント=ステーションワゴンである。その新型ゴルフヴァリアントが8代目ゴルフ(ハッチバックモデル)に続いて上陸。実は、筆者は7代目ゴルフのヴァリアント ハイラインのオーナーであり、新型を大いに期待していたところであった。

先代ゴルフヴァリアント ハイライン

新型ゴルフヴァリアントe TSI Style

新型最大の特徴は、まずはゴルフのハッチバック同様、パワーユニットが3気筒の1Lと、おなじみの4気筒1.5Lにモーターを加えた48Vマイルドハイブリッドとなり、タッチスイッチを多用したフルデジタルコクピットを採用したこと。つまり、一気に先進の電動車になったということだ。指先で操作できる、おなじみの2ペダルマニュアルトランスミッションの7速DSGを操る小型の電子式シフトレバーもその象徴だ。もちろん、先進運転支援機能はますます充実している。予防安全、二次被害防止機能だけでも15項目に及ぶ。ACC(アダプティブクルーズコントロール)も実に使いやすく賢くなっているのだ。

また、ハッチバックモデルとヴァリアントでホイールベースが異なることも新型の大きな特徴(ゴルフ初。先代の7代目のホイールベースは共通の2635mm)。具体的には、ハッチバックが全長4295×全幅1790×全高1475mm、ホイールベース2620mmなのに対して、ヴァリアントは全長4640×全幅1790×全高1485mm、ホイールベース2670mm(先代比+35mm)と、全長、ホイールベースともに延長。ステーションワゴンとしての伸びやかなボディラインを創出するとともに、室内空間のゆとりをもたらすための思い切った作り分けである。

インテリアに関しては、10.25インチの液晶カラーメーター“Digital Cockpit Proや、オプションとなる通信モジュールを内蔵した純正純正インフォテインメントシステム、タッチスクリーンやタッチスライダーを用いる操作系、超小型化されたシフトノブなど、ハッチバックと共通だ。つまり、前席部分での違いはない。

筆者を含む先代ユーザーにとってうれしいのは、ホイールベースを延長したヴァリアントの後席居住空間、足元のスペースが広がったこと。身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準に、その背後の後席に座れば、先代の膝周り空間はやや狭く感じる160mm、が、新型は一気に60mm増しの220mmまで拡大されている!!もはや筆者なら足がゆったり組めるほどのゆとりあるスペースが生まれているのである。ゴルフは後席が狭い・・・と感じていた人も、これなら不満は出ないはずである(ヴァリアントの場合。ハッチバックモデルの後席膝周り空間は先代比+15mmの175mm)。つまり、クラス上のパサートヴァリアントの足元スペースが先代は205mm、現行型が250mmなのだから、後席居住空間については”パサートいらず”になるかも知れない・・・。

ベースグレードを除いて3ゾーンフルオートエアコンが備わり、これまでゴルフにはなかった後席エアコン吹き出し口の温度調整まで可能になったのだから、なおさらである。

ただし、ロングホイールベースの採用で広がったのは後席の膝周り空間が主。ラゲッジスペースの容量は先代の605Lから611L、後席格納時の容量が1620Lから1642Lに増えたとはいえ、奥行きはほぼ同じ1040mm。最小天井高も700mm前後と変わらない。幅方向のみ、先代の990mm(ホイールハウス部分の最小値)から1005mm(同)に増えているだけだ。もっとも、幅方向は重要で、ベビーカーやドッグカートを真横に効率よく積めるか否かの積載性にかかわってくる。ゴルフヴァリアントの場合、新旧型ともに合格ではある。また、ラゲッジルームの床下については、先代は純正アクセサリーでスペアタイヤの上面に敷くボードが用意され、床下をサブトランクとして2層に使えて便利だったのだが、新型のアクセサリーカタログに同様のアイテムは見つからない・・・。

先代ゴルフヴァリアントの床下ボード装着例(写真1111)

ちなみにラゲッジルームのフロア開口部地上高は先代の620~630mm(グレード、タイヤサイズによる)から、この17インチタイヤを履くe TSI Styleでは610mmに低まり、たかが10mm減とはいえ、重い荷物の出し入れ性は一段と良くなった印象だ。さらに、ベースグレードを除き、ゴルフ初のパワーテールゲートもオプションで選択可。オープナーに手を添えるだけで開き、テールゲートのボタンを押せば自動で閉まり、挟み込み防止機能も完備。また、リモコンキーを持った状態でリヤバンパー下に足を出し入れすれば、パワーテールゲートの開閉が自動で行えるのだから、両手で荷物を持っていたり、傘を持った雨の日など便利この上なしである。

ラゲッジルームの使い勝手では、先代同様に6:4分割の後席の中央部分がアームレストになるとともに、スルー空間を作り出すこともできるため、例えば長尺物の積載はもちろん、ラゲッジルームに大型犬などのペットを乗せた際も、エアコンの風が届きやすく、室内側の飼い主と愛犬がアイコンタクトしやすくなるなどのメリットが引き継がれている。

さて、かんじんの新型ゴルフヴァリアントe TSI Styleの乗り味についてだが、ハッチバックモデル同様、先代までのガッチリ、ドシリ、そしてしっとりとした上質なタッチが薄まり、軽快で爽やかな、誤解を恐れずに言えば、日本車に接近した乗り味になっている。ステアリング、ペダル類の軽さもその一因だが、やはり乗り心地の軽やかさがそう感じさせていると、先代オーナーの筆者は思っている。言い方を変えれば、日本車のコンパクトカー、上級車から乗り換えても違和感がなく、すぐになじめるということだ。

試乗したe TSI Style グレードは先代のハイラインなどと同じ17インタタイヤを装着。段差などでのショックは比較的強めなのだが、全体的にはロングホイールベースを生かしたフラット感ある快適な乗り心地が美点となる。ロードノイズを含めた静粛性は、エンジンが静かになったゆえに気になる荒れた路面ではもうひとつだが、パワートレーンに由来する良路での車内の静粛性が先代を上回っているのはもちろんだ。

使い勝手面では、ホイールベースが伸びているにもかかわらず、最小回転半径が先代の5.2mから5.1mに縮小されていて、全長の違いは別にして、依然、小回り性に優れるのは褒められるべき点である。

新旧1.5Lターボエンジン搭載モデルの動力性能については、先代のほうがトルク感で勝っている印象はあるものの、全開加速力はほぼ同等とみていいだろう。ただ、エンジンを回したときの音は、先代のほうが良かったように思う。高回転ではなかなかの快音で気持ち良かったのだが、新型のエンジン音は低回転域でも、高回転まで回しても味気ないというか、フツーである。48Vマイルドハイブリッドのモーターは、加速力のアドオンという点では感じにくい。むしろ、アイドリングストップからの復帰時の音、ショックのなさなどに貢献しているイメージだ。

最後に、新型ゴルフヴァリアントで気になった点を付け加えると、まずはモバイルオンラインサービスを利用できる、車載通信機付きの純正インフォテインメントシステムだ。最新機能やバグなどを無線更新できるのはいいとして、ナビゲーションとして見ると、これまでできた目的地設定の電話番号検索が省かれ、検索操作などの機能、しやすさも退化したようにも思える。実際、初期モデルのオーナーからいろいろな声が上がっているという。理由としては、これまでのナビゲーションがアジア、日本向けのサプライヤー製だったのだが、新型は全世界向けのサプライヤーに統一。きめ細かい操作性については、見劣りするというのが素直な印象だ(筆者は先代ゴルフヴァリアントのナビゲーションを利用中で大きな不満はない)。このあたりは、今後のアップデートを望みたいところだ。

そしてもうひとつは、純正インフォテインメントシステム=10インチタッチスクリーンの真下にある、オーディオの音量やエアコンの温度設定を行うタッチスライダースイッチだ。操作に慣れないと使いにくく、さらに夜間の照明がなく、真っ暗なため、夜のブラインド操作はよほど慣れないと難しい。このあたりも、至急、バックライトを付けるなどの改善をしてほしいと思える。

8代目となる新型ゴルフ、ゴルフヴァリアントは日本の道を走り始めたばかり。1モデルのライフサイクルが長いため、これから先、このクラスのベンチマークであり続けるため、より使いやすく親しみやすいゴルフに進化してほしいと願う。

VWゴルフヴァリアント

写真・文/青山尚暉

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