2021年の新語・流行語大賞にノミネートされた、「推し活」。特に若い女性の間で流行している言葉だが、いまいち意味を理解していない方も多いのではないだろうか。そこで、本記事では、推し活とは何かについて詳しく解説していく。併せて紹介する推し活消費による経済効果や、推し活消費をターゲットとした商品例についてもぜひチェックしてほしい。
「推し活」とは?
はじめに、「推し活」の意味と、単独で使われることもある「推し」の意味について解説する。
自らの”推し”を応援する活動のこと
推し活とは、自らの”推し”を応援する活動を表す。類義語としては「ヲタ活」が当てはまるが、現在は若い女性を中心に「推し活」という言葉が好んで使われている。
元々、「推し」は主に女性アイドルファンの間で、一推しのメンバーを意味する用語だった。しかし、AKB48系のグループが国民的アイドルとして人気を博した2000年代からは、オタク用語であった「推し」は一般的な単語として徐々に広まっていく。
ちなみに「推し」を含んだ表現でよく使われるものには、推し活以外にも「箱推し」(特定のメンバーではなくグループ全体を応援すること)や「推し変」(応援するアイドルを変更すること)などが挙げられる。
”推し”となる対象は?
先述の通り、推しは元来、応援するアイドルを指す用語だった。しかし、現在では”推し”の概念は多様化している。実在する人物であるアイドルや俳優、声優、スポーツ選手や歴史上の人物をはじめ、漫画やアニメ、ゲームに登場する二次元のキャラクター、さらには鉄道や建築物、仏像などの物や概念なども”推し”の対象となる。つまり、応援している人物だけではなく、愛好する物事、熱意を持って取り組んでいることはすべて”推し”に該当する。
推し活の具体的な活動内容は?
次に、推し活の具体的な活動内容や、推し活で得られるメリットについても見ていこう。
活動内容は多岐にわたる
推し活の活動内容は多岐にわたっている。主な活用内容としては以下の通りだ。
・推しに会う
推しが出演するライブや舞台、イベントに参加する。
・推しを鑑賞する
推しの出演するテレビ番組や映像作品、音源などを鑑賞して楽しむ。
・グッズ収集
公式グッズ以外にも、推しのイメージカラーの商品を収集することも含む。
・グッズ制作
推しのオリジナルグッズを自ら製作する。
・ファン同士の交流
SNS上で気の合う人と推しについて語り合う。実際に飲食店やカフェでファン同士が集まり交流をすることも。
・周囲に推しの良さを広める
「布教活動」とも呼ばれる。まだ推しの魅力を知らない人に対して推しの素晴らしさをアピールすること。
・聖地巡礼
推しのゆかりの地や、過去に推しが訪れたロケ地などを巡ること。
推し活の活動内容に明確な定義は存在しない。しかし、推しを応援するための活動や、周囲に推しの素晴らしさや自身がいかに推しを好きであるかをアピールすること、推しを応援している充足感を得るために取る行動などは、すべて推し活に当てはまるといえるだろう。
推し活で得られるメリット
推し活を楽しむ人の多くは、好きな物事に熱中することや趣味を通じたコミュニティを広げていくことにより、日々の活力を得ることができ、日常生活が豊かになったと感じている。以前までは何かとネガティブなイメージを持たれがちだったオタク文化だが、特にZ世代を中心とした若者の間では、オタク的な趣味に対して熱中することにポジティブなイメージを持つ人が増えているようだ。
企業も「推し活消費」に注目
推し活を楽しむ人をターゲットとした戦略を練る企業も増加傾向にある。最後に、推し活の流行による経済効果や「推し活」消費を狙った商品やサービス例を紹介しよう。
推し活による経済効果
推し活を通じた消費行動は、さまざまな業界の売上向上に繋がっている。例えば、あるアイドルがライブを開催すればアイドルや所属事務所だけでなく、イベント運営会社、グッズ制作会社、鉄道・航空会社やホテルにおいても増益が期待できる。矢野経済研究所が2020年に行った調査によれば、こうした推し活関連消費の市場は6,000億円以上に及ぶという。
人気の商品・サービス例
今後もさらなる市場拡大が期待される「推し活消費」に着目する企業も増えており、実際に販売された商品やサービスがヒットするケースも見られる。
まず、推し活を盛り上げる「推し活グッズ」の開発・販売は、推し活消費を狙ったマーケティング戦略の成功例として挙げられる。推しのグッズを綺麗に保管できる収納グッズや、推しのテーマカラーを意識した雑貨などを定番商品として展開し、実際に売り上げを伸ばしている企業も少なくない。
また、推しの香りをイメージしたオリジナル香水を作れる店や、周りの目を気にせずに思う存分、推しのライブDVD鑑賞を楽しみたい人向けに、プロジェクターやペンライトの貸し出しなどを行う「推し活プラン」などのサービスを提供するカラオケ店やホテルも存在する。今後も推し活向けの商品やサービスが増え続ければ、市場規模もさらに拡大していくだろう。
文/oki