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宛先が「空欄」や「上様」の領収書は無効?それとも有効?

2021.11.22

経費精算の際に必要な領収書、つい面倒くさくて、

「宛名は書かなくていいです」
「上様でいいです」

などと言ってしまうことはないでしょうか。

宛名のない領収書や、「上様」と書かれた領収書は、直ちに無効というわけではありません。

しかし、場合によっては税務調査で経費否認されたり、会社に経費精算を認めてもらえなかったりするので、きちんと宛名が書かれたものを受け取ることをお勧めいたします。

今回は、領収書に関するルールを、税法の規定に沿って見ていきましょう。

1. 個人事業主・法人は領収書の保管義務あり

領収書は、事業用に支出した経費の証拠となる資料です。

事業経費は、個人事業主や法人の所得から控除され、最終的に課される税金を減らす効果を持っています。

個人事業主や法人の納税は、確定申告による「自己申告制」です。

そのため税務署は、個人事業主や法人に対して時々「税務調査」を行い、正しく税金の申告・納付が行われているかをチェックしています。

この税務調査の際に、事業経費として計上されている支出について、税務署から確認を求められた場合には、領収書等を提示することで、その経費性を証明することが求められるのです。

法律上も、個人事業主・法人は、領収書を以下の期間中保存しておく必要があります。


個人事業主:青色申告者は7年、白色申告者は5年※
※仕入税額控除を受けている場合、電子取引を行った場合は7年
法人:7年(青色申告者・白色申告者共通。ただし青色申告者の場合、欠損金が生じた年度については10年)


2. 宛名のない領収書の問題点

宛名のない領収書は、宛名が記載されている領収書に比べると、経費に関する証拠としては不完全であると言わざるを得ません。

そのため、税務調査が行われた際に、不利な処分を受ける可能性がある点に注意が必要です。

2-1. 税務調査で経費が否認されやすい

所得税法や法人税法では、領収書の記載項目は特に定められていません。

そのため、宛名のない領収書でも、事業上必要な支出だったと示すことができれば、経費の証拠として認められる可能性があります。

ただし宛名のない領収書の場合、宛名のある場合とは異なり、

「他の人からもらったのではないか」

という疑念を挟む余地が生じてしまいます。

つまり、税務署から指摘を受け得るポイントが増え、結果的に経費が否認される可能性が高まってしまうのです。

もし経費が否認された場合、追加で所得税・住民税・法人税などを納付しなければなりません。

このようなリスクを回避するためにも、領収書には極力、宛名を記載してもらいましょう。

2-2. 消費税の仕入税額控除が認められない

個人事業主や法人が消費税の仕入税額控除を受けている場合、課税仕入れに関する領収書には、原則として宛名の記載が必須となります(消費税法30条9項1号ホ)。

領収書に宛名の記載がない場合、仕入税額控除の要件を満たさず、消費税の追徴課税を受けるおそれがあるので注意が必要です(同条7項)。

ただし、以下の事業者については例外的に、課税仕入れに関する領収書への宛名の記載が不要とされています(消費税法施行令49条4項)。


・小売業
・飲食店業
・写真業
・旅行業
・一般乗用旅客自動車運送事業
・不特定多数向けの駐車場業
・上記に準ずる事業で、不特定多数向けのもの


2-3. 宛名を「上様」と書くのは問題ない?

昔ながらの慣習で、領収書の宛名のところに「上様」と記載するケースがあります。

しかし、「上様」では誰だかわかりませんので、宛名が記載されていないのと同じことです。

そのため、前述の経費が否認されるリスクや、消費税の仕入税額控除が否認されるリスクが残ってしまいます。

「会計に時間がかかるのが面倒」という気持ちはわかりますが、後に追徴課税を受けるリスクを防ぐためにも、「上様」ではなくきちんと宛名を書いてもらうことをお勧めいたします。

3. 会社で経費精算を行う場合、領収書の記載について注意すべき点

事業主の方だけでなく、会社員の方も、仕事上の経費を精算する際に、領収書を提出することがあるかと思います。

その際に重要なのは、領収書の取り扱いに関する社内規程をよく確認することです。

会社は前述のとおり、領収書の保存義務を負っているほか、税務調査の可能性に備えて、経費に関する証憑をきちんと確保しておく必要があります。

そのことを踏まえて、会社は社内規程を制定して、領収書には何を記載すべきなのかなどを定めているケースが多いです。

会社員の方としては、税法上の取り扱いがどうであるかにかかわらず、「会社のルールに従う」ことが、正しく経費精算をしてもらうためのポイントになります。

後で会社から不備を指摘されることがないように、社内規程のルールをよく確認したうえで、領収書を受け取る際に記載事項が漏れていないかをチェックしましょう。

なお、社内規程が存在しないなど、領収書に関する取り扱いが不明な場合には、自社の経理担当者にお問い合わせください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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