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架空の兵器をプラモデル化!会社設立からわずか4年で快進撃を続ける模型メーカー「ロケットモデルズ」

2021.11.20

新型コロナウイルスの感染拡大は、様々な産業に極めて大きな影響を与えた。その中で堅調な伸びを示したのがプラモデル産業、と言われている。それは本当だろうか?

静岡県静岡市に所在する「ロケットモデルズ」を訪れた。かつての男の子たちが妄想していた兵器をモデル化するメーカーとして、大きな注目を浴びている企業である。

「何だこれ!?」とつい叫んでしまうような迫力のプラモデルを紹介しつつ、代表の榊原氏に話をうかがった。

架空兵器をプラモデルに!

「我が社はもともと、クルマのモデル化を考えていました。それが今では『第二次世界大戦が2年長引いた』という歴史のIFに基づいた架空兵器のモデル化を行っています」

ロケットモデルズ代表の榊原直人氏は、組み立てられた製品を前にそう語った。

その製品は第二次世界大戦時のドイツ軍と日本軍の戦車である。が、実際に戦場を駆け回った車両ではない。計画だけはあったが図面は作られなかった戦車、もしくはまったくの想像を具現化した戦車である。

「下の写真は日本軍の駆逐戦車、という設定です。主砲は128mm。もちろん、実際の日本軍はこんな大きな戦車を作っていません」

日本軍の戦車は、諸外国のそれに比べて小さかった。主砲のサイズも装甲厚も、同盟国ドイツの車両には遠く及ばなかった。しかし、そこは想像の世界である。ドイツの技術と新型戦車の図面が日本に伝達し、それを独自に発展させた……という設定を導入する。

そう、これは「IFの世界」なのだ。

プラモデルの長所とは?

「私が少年だった頃は、ちょうどガンプラブームでした。もちろん、第一次のブームです。あの頃は個人経営の玩具店や模型店がどの地域にもあって、その時のドキドキやワクワクが今もあるからこの仕事をしている、ということは自覚しています」

70年代から80年代にかけて、日本全国の少年たちはプラモデルに心をときめかせていた。

すでに完成されているモデルを買うのと、当初は部品の状態のモデルを買うのとでは「高揚感」が異なる。自分で組み立てなければならないプラモデルは、同時に「自分だけの工夫」を凝らすことができる。頭が良くて手先も器用な子なら、プラ板を加工してオリジナルの部品を作ったりもしていた。

自分の想像をそのまま投影できるという点も、プラモデルの長所である。

「製品企画は日本、中国、ヨーロッパのメンバーからなるチームで実施します。もちろんこれはテレワーク、リモート作業です。その兵器のコンセプトを決定したら、ヨーロッパのデザイナーが3Dを作成します。実際の製品の生産は中国の工場で行います」

ロケットモデルズの本社は静岡市内にあるが、実際は地球上を駆け巡るネットワークの上でビジネスが成立している。これもテレワークの在り方のひとつと言える。

多脚戦車の進撃

ロケットモデルズの製品には「多脚戦車」というものがある。何と、戦車の車体の側面に蜘蛛のような脚がついているのだ。

なぜこのような戦車をドイツ軍が開発したのか、という設定もちゃんと用意されている。

さらに「戦場劇画の第一人者」小林源文氏の手掛けた作品も配布し、まったくの空想であるはずの世界にさらなるリアリティを持たせた。多脚戦車を装備したドイツ軍の戦闘団が、史実では敗北した1944年12月の「アルデンヌ大反攻」で大勝利を収めたという内容の劇画だ。

直後、その兵器の図面が日本にも到来し、それを基に日本軍が多脚戦車を開発して……という具合に、想像は新たな想像を呼び起こす。

プラモデルとは、実に多彩性に富んでいるのだ。

堅調と軟調の狭間で

「新型コロナによる影響は、巣籠り需要という形でプラモデル産業に大きなインパクトを与えました。しかし、何もいいことばかりではありません。製品を中国から日本へ輸入するための輸送費が極端に高くなってしまったということもありますから」

榊原氏は、一般メディアでよく報道されている「プラモデル産業の躍進」について釘を差すようにこう語る。

「そもそもプラモデル特需は、すでに終焉しています」

現在のフェーズは、人々が巣籠りから少しずつ外へ出ようとしているところだ。その上、プラモデル産業は「作ったら必ず売れる」というような単純なものではない。ロケットモデルズのような新興メーカーにとって、「リアルの展示会」がなくなってしまったことは大きな痛手だったという。

「プラモデルというものは、実績のあるメーカーの製品でない限り“ネット通販で画像だけ見てポンと買う”ということはあまり起こらないのです。実際に箱を手に取って、サンプルを見つめて検討する。消費者にとって、そのための絶好の機会がオフラインの、即ち実地のイベントだったのですが……」

新型コロナの新規感染者数が拡大の一途を遂げていた今年半ばまで、そのようなイベントは中止もしくは大幅縮小を余儀なくされた。毎年恒例の「静岡ホビーショー」も2020年は中止、2021年はビジネス関係者のみの公開に留まった。

「プラモデル産業はコロナ禍で堅調な伸びを見せた」というが、実際には堅調と軟調の狭間を、絶妙な間合いでたどっていたのだ。

が、このような場面では大胆な発想に富んだ企業が頭角を現すという原則もある。

自由帳に描いた理想

ロケットモデルズとその製品は、今年に入って大手ホビー誌で特集記事が組まれるほど知名度を上げている。妥協のない作り込みの造形とリアリティを増幅させる設定、そして「架空兵器を現実のものにした」という達成感。それらが大きな箱の中に隙間なく詰まっている。

言い方を変えれば、ロケットモデルズの商品は「自由帳に描いた理想」そのものなのだ。

人はいつの世も「理想」を組み立て、それに果てしない願望を委ねている。この企業の製品が胸の奥底に潜む想像を叶えてくれるとしたら、数千円の出費などまったく惜しくはない。こうしてロケットモデルズは、設立僅か4年の新興メーカーながら強烈な存在感を示すようになったのだ。

「次の新商品ですか? もちろん、ありますよ。次は架空の軽戦車と、それを多脚化したモデルを検討しています」

想像とは、人類が一番最初に手にした「遊びの手段」である。今後、ロケットモデルズがさらなる拡大を遂げるならば、それは苦悩のパンデミック期を抜けた日本人が「遊び心」を固く保持している証であろう。

【参考】ロケットモデルズ

取材・文/澤田真一

取材・文/坂本祥子

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