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コロナ禍でプチ贅沢ニーズが拡大、コンビニスイーツから街の洋菓子店へ客足がシフト

2021.11.19

街の洋菓子店の倒産が急減、過去10年で最少ペース

コンビニスイーツに押され、一時は客足が遠のいた「街の洋菓子店」。小麦粉やバターなど原材料価格の高騰もあり、2019年には倒産が過去最多となっていた。

しかし、コロナ禍に入ると環境が一転。それまで遠のいたお客が戻り、倒産が急減しただけでなく、コロナ前より売り上げが伸びた洋菓子店も。

今回は帝国データバンクが持つ独自の企業データベースや市場情報を基に、その背景には何があるのか、今後の展望はどうなるのかを探る。

コンビニスイーツなどに押されていた「街の洋菓子店」が、コロナ禍で復活の兆しを見せている。帝国データバンクの調査では、2021年1~10月の洋菓子店の倒産は前年同期比約3割減の18件にとどまり、過去10年で最も少ないことが分かったほか、廃業件数も前年を下回った。このペースが続けば、通年の倒産件数は2年連続で前年を下回るほか、過去10年間で最少を更新する可能性も出てきた。

「街の洋菓子店」ではこれまで、安価で高品質、充実した品ぞろえで利便性も良い「コンビニスイーツ」などに客足が奪われていたほか、通販など購買チャネルの変化に対応できず、スイーツ需要拡大の恩恵を受けることができない状態が続いていた。

また、小麦やバターをはじめ洋菓子作りに必要な原材料の多くで値上がりが相次ぎ、利益率も低下するなど経営環境も悪化したことで、2019年には過去最多の49件の倒産が発生。「モンブラン」(兵庫)をはじめ地域有名店でも倒産が相次いで発生するなど、「街の洋菓子店」にとって強い逆風が吹いていた。

 しかし、コロナ禍となった2020年以降は一転して洋菓子店を取り巻く環境が一転した。巣ごもり需要の拡大で「自宅で食べるスイーツ」需要が高まった一方、ショッピングモールや百貨店などが休業し、身近な「街の洋菓子店」へ客足が流れた。また、「プチ贅沢」需要を背景に、一度はコンビニスイーツに流れた客足が専門店へ戻り始めるなど好循環が生まれていることが主な要因となり、一転して追い風が吹きはじめている。

コロナ禍でプチ贅沢ニーズが拡大、コンビニスイーツから「街の洋菓子店」へ客足シフト

2020年のコロナ禍以降、緊急事態宣言などで外出自粛が長期化し、観光や冠婚葬祭の自粛で土産や贈答品需要が低下したことで、洋菓子店でも影響が懸念されてきた。一方でステイホームが長期化し、自宅用のテイクアウトニーズが伸びた。

なかでも、少し贅沢な「おうち時間」を過ごしたい巣ごもり需要の増加を背景に、スイーツでも単価の高いケーキ類などの販売が好調に推移している。

日本発のチョコレート「Bean to Bar」ブランドを展開するBace社が行った調査では、在宅時間の増加によりスイーツを食べる頻度が増えた割合は、回答した女性111名のうち半数超に上った。

また、自宅で食べるスイーツで重視するポイントの変化として、3割以上が「贅沢感」や「特別感」を重視するようになったと回答した。スイーツを選ぶ基準が、これまでの「割安で良いもの」といった価値観から「少し価格が高くても良いもの」へシフトしている。

実際に、こうしたスイーツ類の需要増や購買行動の変化は統計にも明確に表れている。総務省の家計調査に基づく1カ月当たりのスイーツ類への支出額推移をみると、コロナ前に比べてケーキへの支出が増加。2021年8月時点ではコロナ前を9ポイント上回った。子供などに人気で、ケーキに次いで単価の高いプリンなども伸びた一方で、手土産や贈答用として人気のゼリー類やカステラ、クッキーなど焼き菓子では売り行きが苦戦した。

しかし、ケーキの好調な販売が下支えする形で、スイーツ全体の販売を押し上げる結果となった。都内西部の住宅街にある洋菓子店では、コロナ禍でステイホームが拡大して以降、在宅勤務が増えたサラリーマン家庭など地元客を中心に客足が増加した。

ショッピングモールや百貨店などの店舗も休業したなか、「手軽に行きやすい地元の洋菓子店に、お客さまが立ち寄ってもらえるようになったのでは」(店主)と分析する。基本的に昼間営業が主体だった洋菓子店において、これまでは帰路につくサラリーマンなどがコンビニスイーツに流れていたものの、在宅勤務やステイホームの拡大でこうした顧客層に「昼間の営業時間内に来店してもらいやすくなった」(同)ことも大きい。

ゼリー・カステラなどは減少したが、 単価の高いケーキ類への支出額が大きく伸びた

小麦やバターなどの価格高騰が今後の課題も、SNSや通販で「専門店ならでは」の成長に期待がかかる

今後も引き続き、洋菓子店では需要増が続きそうだ。特に、今年は昨年に続いて中高価格帯のクリスマスケーキで予約が好調といった動きもあり、年末にかけて洋菓子店の売れ行きは堅調に推移する見込みだ。ただ、小麦やバターなどスイーツづくりに欠かせない原材料費が足元で高騰している。農林水産省によれば、輸入小麦の政府売渡価格は2021年10月期で1トン当たり61820円だった。

同年4月期の価格から19%上昇し、13年ぶりの高値となっているほか、バターや砂糖などの販売価格も足元では上昇傾向で推移している。原材料価格の高騰は、販売価格に転嫁しづらい中小洋菓子店にとって利益圧迫要因となる。また、有名パティシエとコラボしたPB商品や、健康意識や環境意識の高まりに配慮したスイーツ展開などで差別化を図るコンビニや大手スーパーなどとの競争も厳しさが増している。そのため、コロナ禍後も流れてきた客足を逃さない「街の洋菓子店ならでは」の工夫が今後も求められる。 

一方で、これまでに洋菓子店が持たなかった武器も増えている。その一つがSNSの活用によるブランディングや販売機会の獲得だ。Twitterなどを活用した洋菓子店ならではの強みやトレンドの発信、「専門性」のアピールが売上増加につながる事例もあり、これまでと異なる成長が期待できる。

実際に、丸くて柔らかいパン生地に生クリームを挟んだ菓子「マリトッツォ」は、ボリューム感のある見た目が写真映えするとしてSNS上で人気が急上昇、洋菓子店での売上を押し上げる起爆剤にもなった。

 対応が遅れていたネット通販への取り組みも、単純な販路の拡充だけではなく、洋菓子店それぞれの特長や美味しさを全国にPRできる有用なツールとして急速に普及している。

ケーキ通販サイト「Cake.jp」では、2017年1月にサービスを開始して以降、全国各地の洋菓子店と提携。自宅やレストラン、職場などどこでも好きなケーキを届けることが強みで、個人会員数は70万人、加盟店舗数は1000店舗を超えるなど好調ぶりをみせる。

コンビニスイーツなどに押されて一時は苦境に陥ったものの、コロナ禍で独自のファンやリピーターを獲得し復活の兆しをみせている街の洋菓子店。独自のプレミアム感やテーマ性、世界観といった「専門店ならでは」の新たな魅力を全国に発信できるSNSや通販といった武器を手に、今後どのような巻き返しを見せるのかが注目される。

構成/ino.

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