犬の歯ブラシには、『シートタイプ』『指サックタイプ』『スティックタイプ』があります。タイプごとの特徴を知り、愛犬が抵抗なく受け入れてくれるものを選びましょう。歯磨きを嫌がる場合の対策や、歯磨きガムを使う方法も紹介します。
口臭の原因は「歯周病」?歯磨きの頻度は
愛犬の口から臭いがしたら、『歯周病』の疑いがあります。オーラルケアを怠ると口腔環境が悪化し、最終的には愛犬の健康をむしばみます。日々の歯磨きで、歯周病の原因となる『歯垢』の蓄積を防ぎましょう。
歯磨きを怠ると歯周病になりやすい
ペット用品店に『犬専用の歯磨きグッズ』が並んでいるように、犬には歯磨きが必要です。ドッグフードは歯の表面に付着しやすく、歯磨きを怠ると歯垢や歯石の蓄積による『歯周病』へと発展します。
歯周病は、細菌の感染による炎症性疾患の一種です。犬の場合、歯の表面に付着した歯石が次第に増えていき、歯と歯茎の間で炎症を起こします。
歯周病の初期症状では『歯肉炎』が見られる程度ですが、症状が進行すると歯茎が腫れ、口から腐敗臭がするようになります。歯周病の後期になると、歯を支える骨が溶けたり、下顎が骨折したりするケースも珍しくありません。
犬の歯磨きは1日1回が理想
犬を歯周病から守るためには、歯磨きが欠かせません。『犬用の歯磨きグッズ』を使って、飼い主が丁寧にブラッシングをしてあげるのが基本です。
歯磨きの理想の回数は、1日1回以上です。嫌がる場合は、2~3日に1回を目標にしましょう。初めての歯磨きでは、「今日は上の歯、明日は下の歯…」といったように、徐々に磨く範囲を広げていくのがポイントです。
歯磨きが終わるたびに「おりこうさん!」「よくやったね」と褒めてあげると、犬も喜んで歯磨きを受け入れるようになります。
タイプ別おすすめ犬用歯ブラシを紹介
犬用の歯ブラシには、大きく『シートタイプ』『指サックタイプ』『スティックタイプ』の3種類があります。それぞれの特徴と、おすすめ商品をチェックしましょう。
歯磨き初心者には「シートタイプ」
『シートタイプ』は、飼い主が指にシートを巻き付けて、歯の汚れをこすり落としていくタイプです。
研磨剤や消臭効果のある成分が染み込ませてあるため、短い時間で効率よくオーラルケアができるでしょう。特に、『スティックタイプの歯ブラシが苦手』という愛犬におすすめです。
ペットプロの『歯みがきシート』は、指に巻き付けやすい二重折りです。凹凸のあるメッシュ構造が、歯垢や歯石をしっかりと絡め取ってくれます。無香料・弱酸性でペットの口腔に優しく、毎日使えるところがポイントです。
- 商品名:ペットプロ 歯みがきシート 32枚入
- Amazon:商品ページ
力加減がしやすい「指サックタイプ」
『指サックタイプ』は、飼い主の指にかぶせて使用します。表面には汚れを落とすための凹凸が付いており、軽い力でも歯垢がきれいに落とせます。歯の表面に沿って磨ける上、口の中を傷つけにくいところもメリットです。
マインドアップの『犬口ケアゆび歯ぶらし』は、人差し指と親指にかぶせて使う『綿製の指サック』です。2本の指で歯をつまめるため、短時間で効率よく歯が磨けるでしょう。ストッパー&ゴム付きで、サックがズレ落ちる心配もありません。
また、使用後はきれいに洗浄して乾かせば、繰り返し使用できます。薄手の綿なので、汚れやほつれが見られたときは、早めに交換した方がよいでしょう。
- 商品名:マインドアップ 犬口ケアゆび歯ぶらし
- Amazon:商品ページ
隅々まで汚れを落とせる「スティックタイプ」
『スティックタイプ』は、人間用の歯ブラシと同じ形状です。犬用が好ましいですが、『幼児用の歯ブラシ』でも代用ができます。毛が柔らかく、歯茎を傷つけにくいものを選びましょう。
スティックタイプのメリットは、奥歯にも歯ブラシが届く点です。毛が繊細なため、歯と歯の隙間に詰まった汚れをきれいに落とせます。歯磨きが苦手な愛犬の場合、シート→指サック→スティックの順番で、徐々に慣れさせていきましょう。
デンタルフィットの『Ci シュワワ』は、獣医師の声から生まれた歯ブラシです。ブラシが斜めにカットされているため、口腔内にスムーズに挿入できます。また、ハンドルに柔軟性があり、『ネックの角度』が調整できる点も優秀です。
- 商品名:デンタルフィット 犬用歯ブラシ Ci シュワワ
- Amazon:商品ページ
歯磨きの正しい手順を知り、汚れを落とす
犬の口腔はとてもデリケートなため、強い力でこすると歯茎を傷つけてしまいます。歯磨き嫌いにさせないためにも、優しく丁寧に磨いてあげましょう。スティックタイプの歯ブラシを使った、歯磨きの手順を解説します。
犬の歯磨きの手順を紹介
歯ブラシの基本的な持ち方は、『ペングリップ』です。細かいところまで丁寧に磨ける上、手に余計な力が入りません。
- 口を開かせ、歯と歯茎の境目に対して45度の角度で毛先を当てる
- 軽いタッチで、小刻みに歯ブラシを動かしていく
- 外側の歯を磨いた後は、軽く口を開かせて『内側』も磨く
ポイントは、『歯周ポケット』を意識して、1本1本丁寧に磨くことです。特に、『上顎第4前臼歯』は念入りにブラッシングをしましょう。
また、歯磨き後の『うがい』は必要ありません。指サックやシートを使う場合も、大まかな手順は同じです。
歯磨きを嫌がるときの対策法
犬の歯磨きを習慣化するには、『歯磨きは楽しい』というイメージを犬に与える必要があります。全ての歯を一度に磨こうとせず、ゆっくりと慣れさせていきましょう。『うまくいかないのは当たり前』と考え、根気よく続けることが大切です。
慣れさせることから始めよう
大抵の犬は、口に歯ブラシを入れられることを嫌がります。そのため、ブラッシングを始める前に、『口を触られること』に慣れさせましょう。
- 顔や口元に優しくタッチする
- 唇をめくって歯や歯茎に触る
- 歯磨きジェルを指に付けて軽く歯を触る
- 指を口の奥まで入れて、歯並びをチェックする
- 歯ブラシを口に入れ、ブラッシングをする
初めての歯磨きでは、各プロセスをクリアするごとに『ご褒美』をあげると、犬は『歯磨き=楽しい』というイメージを持ちやすくなります。口の中を触られることに抵抗がなくなった状態で、ブラッシングを始めましょう。
おもちゃやガムを使ってみる
『犬の歯磨きガム』や『歯磨きができるおもちゃ』を、歯磨きの補助にするのもおすすめです。歯磨きを嫌がるうちは、歯磨きとガムを1日おきにするのもよいでしょう。
人間のガムと違い、犬の歯磨きガムは『食べるもの』です。牛皮・豚皮・大豆・小麦粉などが原料で、程よい硬さと弾力性があるのが特徴です。ガムを歯に食い込ませることで、唾液の分泌を促したり、表面の歯垢を落ちやすくしたりする効果が期待できます。
大きさは、口の端から2~3cmはみ出る程度がベターです。犬に預けずに、飼い主が手に持って与えましょう。
また、『歯磨きができるおもちゃ』は、ラバー・ナイロン・天然繊維などが主な素材です。骨やひづめなどの硬すぎるものは、歯に食い込まない上、歯の欠けやすり減りの原因になります。そのため、『歯の表面がこすれるもの』『程よい弾力性があるもの』を選びましょう。
構成/編集部