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30代以上の女性に聞いた「今、働いている理由」TOP3、3位生活にメリハリが欲しい、2位お金が必要だから、1位は?

2021.11.18

家事や育児、介護など。「家のこと」に追われるほどに難しくなる仕事との両立。両立は厳しい、しかし、完全に家庭に入れば社会との距離ができてしまう…そんな理由で、悩まれている女性も多いことだろう。

株式会社ハルメク生きかた上手研究所と、株式会社キャリア・マムはこのほど、30~79歳の女性470名を対象に「『働くこと』に関する意識実態調査」を WEB アンケートにて実施した。

世代共通で多かった働く理由は「社会とつながりを持ちたい」「自分で自由に使えるお金が欲しい」。

「現在、働いている理由」TOP3は、「社会とつながりをもちたいから」「現在の生活のためにお金が必要だから」「生活にメリハリをつけたいから」となった。

年代別に見ると、30~40代は「生活のため」「貯蓄のため」「育児・家事・介護から離れたい」、50代は「生活のため」「貯蓄のため」、60代以上は「健康のために頭を使いたい」「健康のために外出したい」が相対的に多い。

現在の働き方に満足している人は全体の6割超。60代以上では、50代以下と比較して満足度が高い。

現在の働き方に「満足している」割合は、全体で63.4%。50代以下の各年代では「満足している」割合が6割未満なのに対し、60代では78.0%、70代(※参考値)では83.3%と、満足度が相対的に高くなっていた。

満足度に対する回答理由を見ると、「満足している」回答者では、30代~50代で「家庭との両立が無理なくできている」等が、60代以上で「自分の知識や経験を活かせる」「人とのつながりが感じられる」等が見られた。一方、「満足していない」回答者ではその理由として、「もっと働きたい(収入を得たい)」と、「もっと自由な時間が欲しい」の両方が挙がった。

「働く時間」の理想と現実にギャップがある人は全体の66.7%。

1日24時間を100%とした場合の「働く時間の割合」について、「理想」と「現実」のギャップを算出した結果、「現実>理想」の人は全体の27.6%(n=89)、「現実=理想(ギャップがない)」人は33.2%(n=107)、「現実<理想」人は39.1%(n=126)。全体の66.7%で、「働く時間」の現実と理想にギャップがあった。

働く時間の理想と現実のギャップは年代差が大きく、30~40代では「現実<理想(仕事に当てている時間が理想より少ない)」の割合が他年代比で高かった(30代:70.0%、40代:48.1%)。一方、50代では「現実>理想(理想よりも多くの時間を仕事に当てている)」の割合が39.0%と他年代比で高かった。なお、「現実=理想(ギャップがない)」の割合が最も高かったのは60代で、48.8%だった。

専門家の見解

ハルメク生きかた上手研究所所長・梅津順江(うめづゆきえ)氏

2016年3月から現職。主に年間約900人の50歳以上のシニア女性を対象に、インタビューや取材、ワークショップを実施

株式会社キャリア・マム代表取締役・堤香苗(つつみかなえ)氏

学生時代からフリーアナウンサーとして活動し、2000年8月に株式会社キャリア・マムを設立。結婚や出産に関わらず、仕事と家庭のどちらも大切に自分らしく働きたい女性たちに働く機会を提供することを志し、株式会社キャリア・マムを設立。内閣府「女性のチャレンジ支援賞」ほか、受賞歴多数。

■「働く理由」の年代差の背景にあるのは、制約の有無や世代の価値観。女性が働くコツは?

梅津:「現在、働いている理由」の1位は「社会とつながりをもちたいから」でした。日本の女性は、家庭や地域など閉ざされた社会のウエイトが高いと考えられます。そのため、女性は限られた社会だけでなく、別のコミュニティにも属したい、刺激が欲しいという欲求があると読めました。働くことで、家庭や地域では得られない所属欲求、承認欲求を満たしたいのではないでしょうか。堤社長はどのように受け取られましたか?

堤:経営者の視点から見ると、「仕事が好きだから」の割合が低かったのが残念でした。働く女性が年代問わず「仕事が好き」と思えるよう、企業が就業者に、お金以外でどんな価値を提供できているのか、提供すべきなのかを考えさせられました。

梅津:「現在、働いている理由」では、30~40代は生活や貯蓄のため、60~70代は健康のためと、年代差が明確に出ましたね。若い世代は育児等、色々な制約があり、自分のことだけ考えていられないのでしょう。対して60代以上は、自分の体のことが第一になります。仕事は頭を使える、生活リズムを保てるきっかけになります。年代差についてはいかがでしょう?

堤:今の60代以上は、専業主婦が一般的な女性の生き方だった最後の世代といえます。そうした世代の時代背景も、30~40代と比較して「働いている理由」の切迫感が少ない理由の1つかもしれませんね。今の30代以下は、「共働きで、子育ても夫婦で行う」というライフスタイルを当たり前だと思っています。もし10年後に同じ調査をしたら、結果は大きく変化するのではないでしょうか。

梅津:定期的に観測していったら面白そうですね。今回の結果から、女性の働き方は「ゆるやか」「バリバリ」の対比でみる時代ではなくなってきたと改めて感じました。「そこそこ」「時々」「だましだまし」など、働き方が多様になってきたということでしょう。そしてずっと同じパターンではなく柔軟に変化していっていい。まさに「プチダイバーシティ」です。
堤:私は「流され上手」になる働き方を推奨していきたい。働いていると色々なことがあるし、自分をとりまく環境も変わっていきます。そんな時、変化する状況に流されないように踏ん張ると疲れてしまう。あまり真面目に考えすぎず、時には状況に身を任せるような「適当さ」が必要と思います。

梅津:「柔軟さ」と「多様さ」がキーワードかもしれません。女性が働くコツは、「しなやかさ」と「したたかさ」を持つこと。そして多様な働き方ができる社会にしていくことも重要ですね。

堤:一人ひとりが望む働き方を実現できるよう、企業側も努力を続けていかなければいけませんね。身が引き締まります。

※ハルメク生きかた上手研究所・キャリア・マム調べ

<調査概要>
調査の方法:WEBアンケート
調査の対象:30~79歳の女性470名(回答者属性については後述)
調査実施日:2021年9月24日~9月28日
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス生きかた上手研究所・株式会社キャリア・マム

出典元:株式会社ハルメク、株式会社キャリア・マム

構成/こじへい

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