■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
仕事でパソコンを毎日使う私にとって、パソコンの作業効率をいかに向上させるかは重要な問題だ。今から数年前、それまで使用していたマウスからトラックボールに切り替えたことは自分の中では革命的な変化をもたらした。トラックボールとは本体上面についているボールを指で転がしてポインタを操作するデバイスのことだ。本体自体を移動させるマウスと異なり、必要とするスペースが少なくて済み、指先の操作だけを要するのでひとつひとつの作業時間の短縮にも繋がる。最近、新しく「エレコム株式会社」から発売されている『EX-G PRO』という製品を使用し始めて、これがかなり便利だったので実際の使用感も交えて紹介していきたいと思う。
トラックボール『EX-G PRO』とは
『EX-G PRO』はPC周辺機器メーカー「エレコム株式会社」から2018年6月より発売されているトラックボールである。同社のトラックボールのラインナップの中でもハイクラスの部類に属する製品であり、発売当時の価格は19,000円を超えるものであった。ただし、2021年8月現在は半額近くの価格で購入することができるようになっている。エレコム自身が“長寿命ハイスペック”と謳っているように、長寿命部品を使用することで保証期間を3年とした点や、後ほど紹介するような充実した機能を搭載したことが特長のトラックボールとなっている。
トラックボール『EX-G PRO』の特長
◆高級感の漂う本体デザイン
まず触れておきたいのは高級感の漂う本体デザインである。トラックボールには操作する指の設定に応じて「親指操作タイプ」や「人差し指操作タイプ」などが存在するが、この製品は「親指操作タイプ」」にあたる。したがって本体を上から見ると左側にボールが配置され、右に向かうにつれて「戻る・進む」ボタン」「左ボタン」「チルトホイール」「右ボタン」などが配置されている。
こうしたボタンの配置自体は一般的なトラックボールと同様のものである。ただし、細かく見ていくと本体表面は光沢を抑えた細かい模様の入ったデザインとなっており、それが落ち着きと高級感を醸していることが分かる。
またチルトホイールの側面にはブラウンゴールドのパーツが使用されており、それが黒を基調とする本体と相まって大人のカッコよさを演出している。
◆最大10機能の割り当てが可能な充実したボタンたち
この製品の使い心地を向上させている最大の要因は何と言ってもこの充実したボタンたちだと思う。この製品にはまず独立したボタンが6つ存在する。すなわち、左右ボタン
「進む・戻る」ボタン
そして薬指の位置に当たるボタン
トラックボール付近にあり親指で操作するボタン
である。なお、薬指の位置に当たるボタンと親指で操作するボタンについては任意の機能を割り当てることができるが、その際は専用のドライバをインストールして機能割り当てを行う必要がある。したがって会社から支給されているパソコン等、自由にドライバのインストールができない場合には使用できない可能性があるので注意した方が良いだろう。ちなみに個人的にはこれらボタンの中では「進む・戻る」ボタンの使い心地が最高だと思っている。見てもらうと分かるようにこの2つのボタンについてはクリックしやすさを考慮された形状となっており、人差し指の先端と腹の部分の使い分けで直前まで見ていたWebページに戻ったり逆に進んだりすることができる。
これは調べものが多い人にとってはかなり使い心地を実感するボタンではないだろうか。また、左右ボタンの中央に位置するチルトホイールもかなり便利である。こちらはWeb画面等のスクロールができたけでなく、左右に倒すことで画面内の横方向の移動も可能となっている。
画面を横方向に移動する際に、わざわざ画面端までポインタを移動させてスクロールバーを操作する必要がないため、やはり調べものの際の大幅な時間短縮に繋がる。なお、チルトホイール自体をクリックすることもできるため、スクロールする機能も含めるとチルトホイールには4つの機能が搭載されている計算になる。
◆有線/無線/Bluetooth 3つの接続方式に対応することであらゆるパソコンとの接続が可能
マウスにせよ、トラックボールにせよ、使用する際はできる限りケーブル不要である方がデスク上もスッキリするし便利だと思っている。パソコンにBluetoothが搭載されているならばBluetoothを利用して『EX-G PRO』を接続するのが良いだろう。しかし、利用しているパソコンに万が一Bluetoothが搭載されていない場合、付属するワイヤレスレシーバーを利用して無線接続することができる。なお、ワイヤレスレシーバーをしない場合は本体裏面の専用スロットに格納することができるので紛失防止にもなる。
また、有線接続用ケーブルも付属しているので、Bluetoothが使えずワイヤレスレシーバーを差すスロットも不足している場合や、『EX-G PRO』の電池が切れてしまいそれでも使用を続けたい場合は有線方式を選択することで使用することが可能だ。ひとつのパソコンで選択する方式は原則1つだと思うが、複数のパソコンで共有して『EX-G PRO』を使用したい場合などは大変便利な機能だ。
トラックボール『EX-G PRO』を使用してみて感じたこと
これまで複数のトラックボールを使用してきたが、その中でもこの『EX-G PRO』の使い心地は抜群である。前述したように個人的には「進む・戻る」ボタンを使う頻度が高いため、クリックのしやすい本製品はそれだけで良かったと感じている。またチルトホイールを左右に倒せる機能は市販されているトラックボールの中には搭載されていない製品も存在するが、一度知ってしまうと後には戻れないくらい便利な機能である。一方で気になる点としては各ボタンをクリックする際にクリック音が物理的に鳴る使用のため、静かな環境で使用することが想定されるユーザーは購入前によく考えた方が良いだろう。また、本体のサイズは大ぶりで成人男性の私の手のひらサイズでちょうど収まるくらいなので、一般的に女性のユーザーには向いていない可能性があると思っている。この点も購入前に注意してもらいたい。
トラックボール『EX-G PRO』を購入するには
『EX-G PRO』の定価は税込19,558円となっているが、Amazonでは税込6,000~7,000円程度で販売されている。なお、家電量販店でも販売されているが、私が購入にあたり比較した限りでは価格が税込7,000~10,000円と実店舗の方が高くなる傾向が見られたため、実店舗でサイズやカラーを確認してオンラインで購入するのがお得な方法かもしれない。
■関連情報
https://www.elecom.co.jp/products/M-XPT1MRBK.html
https://ascii.jp/elem/000/001/688/1688200/
text/Wataru KOUCHI