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優先すべきは防犯?プライバシー?公共の場での顔認証システム導入に向けた3つの法的問題点

2021.11.15

顔認証システムの技術は日進月歩で、公的な場での導入も検討されている状況です。

しかし、ビッグデータの利用についてさまざまな危惧・懸念が示されているのと同様に、顔認証データの収集・利用についても、プライバシー侵害等の観点から問題点が存在します。

今回は、公的な場で顔認証システムを活用することについて、現在の法令に照らした法的問題点を分析してみましょう。

1. 公の場での顔認証に関する3つの法的問題点

顔認証システムは、将来的に行政サービスにおける本人確認等のために、活用が検討されています。

また、捜査機関が顔認証システムを用いて捜査を行うことも、実際に行政側で検討されているようです。

さらに最近では、JR東日本が、実際に顔認証機能を備える防犯システムを導入していたことが報道されました。

参考:JR東日本の監視カメラ問題 「顔認識」導入に潜むリスク|日経XTECH

このように顔認証システムは、公の場でも実用化可能なレベルに達しています。

しかしながら、公の場での顔認証システムには、以下の法的問題点が存在します。

1-1. 顔認証データは「個人データ」に該当する

顔認証データは、特定の個人を識別できる画像であるため、個人情報保護法上の「個人データ」に該当します(同法2条6項)。

個人データの取り扱いについては、個人情報保護法の規制を遵守しなければなりません。

規制の主な内容は、以下のとおりです。

・不要となった個人データは、遅滞なく消去するよう努める(同法19条)
・個人データの漏えい等を防ぐための安全管理措置を講ずる(同法20条)
・個人データを取り扱う従業員や外部委託先に対する監督を行う(同法21条、22条)
・個人データを第三者に提供する場合、原則として本人の事前同意を得る(同法23条1項)
・個人データの利用目的等を公表する(同法27条1項)
・本人による開示、訂正、利用停止等の請求に応じる(同法28条~30条)
など

個人情報保護法に則り、顔認証データを適正に取り扱うためには、それ相応の社内体制の整備が必要不可欠です。

1-2. 情報漏えいのリスクがある

個人情報保護法に従い、漏えい防止等の措置を講じていたとしても、顔認証データの漏えい等が発生するリスクをゼロにすることはできません。

サイバー攻撃や人為的ミスなどにより、万が一顔認証データが流出してしまった場合には、事業者は本人に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があります(民法709条)。

被害者が多数のケースでは、事業者による損害賠償がきわめて高額になることも想定されるため、注意が必要です。

1-3. プライバシー・肖像権侵害に当たる可能性がある

公の場において、不特定多数の人の顔認証データを収集することは、プライバシーや肖像権の侵害に当たる可能性があります。

「承諾なしに、みだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由」は、憲法上保障されているというのが最高裁判例の立場です(最高裁昭和44年12月14日判決、京都府学連事件)。

現に行われている犯罪の場面を撮影するなど、撮影の必要性・緊急性が存在し、かつ撮影方法が相当である場合には、容ぼう・姿態の撮影が認められるケースもあります。

しかし、単にサービス利便性の向上などを目的として、不特定多数の人の顔認証データを取得する行為は、「必要性・緊急性」および「撮影方法の相当性」のいずれも満たしていないと考えられます。

そのため、現在の憲法・判例の解釈上、公の場で無作為に顔認証データを取得することは、プライバシーまたは肖像権の侵害に当たる可能性が高いです。

2. 顔認証システムに特化した法律は未整備

既存の憲法・法律・判例等に照らした問題点を紹介しましたが、顔認証システムに特化した法律については、現時点で未整備となっています。

撮影される人の権利が侵害されることを防ぎながら、顔認証システムの利便性を適切に活用するためには、一日も早い法整備が待たれるところです。

3. 顔認証システムについては、各事業者の慎重な行動が求められる

顔認証システムについての法的問題点について、十分に検討・議論をしないまま顔認証システムを導入することは、事業者にとってリスクの高い行為です。

現状違法ではないからといって、プライバシーに配慮しない形で顔認証システムを導入すると、世間からの批判を一身に浴びる事態にもなりかねません。

顔認証システムに関する規制は、未だ議論・整備の途中ですが、プライバシー等の観点から一定水準以上の規制を及ぼすべきというのが、世間の趨勢であると考えられます。

(たとえば日本弁護士連合会は、行政・民間で利用される顔認証システムについて、以下の意見書を発表しています。)

参考:行政及び民間等で利用される顔認証システムに対する法的規制に関する意見書|日本弁護士連合会

各事業者において顔認証システムの導入を検討する際には、最新の法規制の動向について情報収集を行い、法的リスクとレピュテーションリスクの両方を分析することが求められるでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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