元来、猫は狩猟本能が強い動物です。遊び道具を選ぶときは、『どんな動きに本能が刺激されるか』を考えましょう。また、猫と遊ぶときは、誤飲のリスクに細心の注意を払う必要があります。猫と遊ぶときの注意点や人気のおもちゃを紹介します。
猫の遊び道具は必要?
『猫の室内飼い』は、愛猫を感染症や交通事故の危険性から守ることができます。一方で、運動不足やストレスが懸念され、飼い主はこれまで以上に愛猫のケアに力を入れる必要があります。家で猫を飼う人にとって、『遊び道具』は欠かせないものといえるでしょう。
運動不足によって起こる問題
室内飼いの猫は、放し飼いの猫に比べて『運動不足』に陥りやすい傾向があります。室内は行動範囲が限られており、『走る』『ジャンプする』『上に飛び乗る』といった猫特有の動きが制限されるためです。
運動不足は猫にさまざまな悪影響を及ぼしますが、最も懸念されるのが『肥満』による健康上のリスクです。肝機能障害や肝不全の引き金になるほか、心臓や呼吸器系にも影響を与えます。足腰が弱り、高所にジャンプができなくなる恐れもあるでしょう。
「餌の量を減らせばいいのでは?」と思う飼い主もいますが、狭い室内から出られない上に餌の量まで減らされれば、猫にとってはストレスでしかありません。室内で猫を元気に遊ばせることは、飼い主として当然の仕事なのです。
狩猟本能を満たしてストレスを発散
猫には、生まれながらの『狩猟本能』があります。狩猟本能とは、動くものを獲物と認識して追いかける本能のことです。ゆらゆらと動くひもにじゃれついたり、おもちゃに忍び足で近づいたりするのは、それらを獲物と見立てているためです。
猫は室内飼いになると、狩猟本能が満たされません。過度なグルーミングや食欲不振、真空行動などが頻繁に見られるようになれば、ストレスがたまっている証拠です。
飼い主は、猫の狩猟本能を刺激するおもちゃを使って、ストレスを発散させてあげましょう。ポイントは、必ず最後におもちゃを捕獲させ、『狩りに成功した』という満足感を与えることです。
猫の遊び道具の選び方
猫の年齢に合ったものを選ぶ
猫は、ライフステージによって活動量や活動パターンが大きく変わります。遊び道具を選ぶときも、猫の年齢に合ったものを選びましょう。
『子猫』は、好奇心旺盛で遊ぶのが大好きです。動くもので思いっきり遊ぶことは、身体能力や運動能力の向上につながります。できるだけ、たくさんの種類の遊び道具に触れさせてあげましょう。
また、歯の生え変わり時期は歯茎がむず痒くなり、ものをかむことが多くなるようです。そのため、柔らかい素材でできた『かむおもちゃ』を与えてもよいでしょう。
『成猫』になると、運動不足で肥満になる猫が増加します。『狩りごっこ』で、運動不足やストレスを解消させてあげるのが理想です。
『シニア猫』には、『足腰の運動』になるものを与えます。ただし、激しく動くタイプは体の負担になるため、高齢猫にはあまりおすすめはできません。素早い動きだけでなく、嗅覚や聴覚を刺激するものを選ぶのもよいでしょう。
猫の興味を引く仕掛けがあると飽きにくい
猫は動くものに反応しますが、単調にブラブラと動くひもにはあまり興味を示しません。狩猟本能を刺激するには、『不規則な動き』をするタイプがベストです。さらに、猫の興味を引く仕掛けや工夫があれば、飽きずに遊んでくれるでしょう。
- 音がする(カシャカシャ・パタパタなど)
- 中から餌が出る
- ふわふわした羽や毛が使われている
- かみつきやすい
猫は、『狭い場所』に入ったり、隠れたりするのが大好きです。動くおもちゃのほかに、『キャットトンネル』を用意してあげると、『隠れて獲物を取る』というハンターとしての本能が大いに刺激されるでしょう。
誤飲しにくいかにも注目
遊び道具を選ぶときに注意したいのが、『壊れやすさ』と『誤飲の危険性』です。猫用の遊び道具は激しく動かすものが多く、遊んでいる最中に部品や装飾が取れてしまうことがあります。また、誤飲は猫の命に関わるため、飼い主は責任を持って扱わなければなりません。
誤飲はよくあるトラブル
『おもちゃの誤飲』は、最も気を付けたいトラブルの一つです。小さなものは便と一緒に排出される可能性もありますが、ある程度の大きさのものは体内に残ります。
場合によっては、気道・食道・胃・腸にパーツが詰まったままになり、『閉塞』を引き起こす恐れもあります。気道に詰まると『呼吸困難』で死に至る恐れもあるため、飼い主は早急に対処しなければなりません。
猫は犬に比べ、『ひも状の異物』の誤飲が多い傾向にあり、ひもが腸に巻き込まれると『腸閉塞』を引き起こします。異物が胃に詰まった場合は、食欲不振や嘔吐、腹痛の症状が見られるようです。
頑丈で壊れにくい遊び道具を選ぼう
猫の誤飲を未然に防ぐには、『丈夫で壊れにくい遊び道具』を選ぶことが重要です。装飾が付いたものは、猫の興味を引きますが、遊んでいる最中に外れる可能性があります。
選ぶときは、『縫い付けや接着が甘くないか』『素材が弱くないか』『猫の口に入る部品が付いていないか』をチェックしましょう。
特に、本物の『毛』や『羽』が付いたものは、猫が獲物と間違えて口に入れる恐れがあるため、十分な注意が必要です。ボールタイプは、適度な大きさのあるものを選びましょう。
おすすめの猫の遊び道具
猫の遊び道具のほとんどは『狩り』に由来していますが、形状・動き・大きさはさまざまです。できるだけ多くの遊び道具を試し、愛猫の好みを探しましょう。猫の好奇心を刺激し、運動不足やストレスを解消するおすすめの遊び道具を紹介します。
ペティオ けりぐるみエビ
『けりぐるみ』とは、前足で掴み、後ろ足で蹴って遊ぶ布製のクッションを指します。猫が大好きなおもちゃの一つで、獲物を捕獲した感覚を思い出させます。
『ペティオ』の『けりぐるみエビ』は、猫がキックしやすい長方形状です。中には、猫の興奮成分を含む『マタタビ』が入っているため、ストレス解消に一役買ってくれるでしょう。
表生地は綿100%で、鋭い爪で引っかいても破れにくいのが魅力です。ボタンなどの取れやすいパーツはありませんが、飼い主の目が届くところで与えましょう。
- 商品名:ペティオ けりぐるみエビ
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猫壱 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン2
『猫壱 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン2』はスイッチを入れると、シートから猫じゃらしが勢いよく飛び出す『電動式』の遊び道具です。
猫じゃらしの動くスピードは、初級・中級・上級の3段階で、小鳥やネズミのようにトリッキーな動きをするのが特徴です。自動モードにするとランダムな速度で動くため、猫は我を忘れて遊びに没頭するでしょう。
また、猫じゃらしは『羽』と『ひも』の2種類です。ボロボロになりやすいのが難点ですが、交換用が販売されており、寿命を気にせず思いっきり遊べます。独りで遊ぶのもよし、数匹で狩り競争するのもよし、遊び方は自由です。
- 商品名:猫壱 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン2
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nenoco フェルトボール コロコロボール 8個入り
コロコロと転がるボールは、猫のおもちゃの基本です。特別な仕掛けのないシンプルなフェルトボールですが、転がるボールを追いかけたり、ジャンプしたりしてハイテンションで遊ぶ猫が多いようです。
染色には、有害成分を含まない染料『スイスダイ』が使われています。猫が好む『オーガニックキャットニップ』が付属しているので、猫のストレス解消にも役立ちそうです。
また、手芸用のフェルトボールは直径が2cm以内のものが多いですが、『nenoco』の『フェルトボール』は3cmと大きめです。誤飲の心配が少ない上にウール100%の素材でできているため、愛猫に安心して与えられるでしょう。
- 商品名:nenoco フェルトボール コロコロボール 8個入り
- Amazon:商品ページ
キャティーマン じゃれ猫 LEDにゃんだろー光線
『じゃれ猫 LEDにゃんだろー光線』は、先端からLED光線が出るペンライト型の遊び道具です。飼い主は座ったまま軽く手を動かすだけなので、労力がかかりません。
『にゃんだろー光線』はボタンを押している間。ネズミの形をした光線を照射するタイプです。同シリーズの『じゃれ猫 LEDニャンだろ~?!光線 茶トラ』では『点滅モード』と『連続点灯モード』の2種類の切り替えが可能です。
連続点灯モードでは猫の興奮が一気に高まり、野生の本能がよみがえります。近くの床や遠くの壁など、広範囲に光を映すことで、効果的に運動不足が解消できるでしょう。
使用されているLEDは、昼間でも明るくくっきりと映る上、電池が長持ちするのがメリットです。
- 商品名:キャティーマン じゃれ猫 LEDにゃんだろー光線
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猫じゃらしタイプのおすすめ商品
猫の遊び道具の典型といえば、『猫じゃらし』です。届くか届かないかの位置で動かすと、猫は狩猟本能が刺激され、興奮状態になります。猫じゃらしタイプを選ぶときは、『誤飲の危険性があるパーツ』の有無を確認しましょう。
ペッツルート カシャカシャぶんぶん トンボ
猫は、紙袋やシートがこすれ合う『カシャカシャ』という音に、敏感に反応します。
『ペッツルート』の『カシャカシャぶんぶん トンボ』は、スティックの先にフィルムが付いており、動かすたびにカシャカシャという音が鳴ります。大きくスティックを振ると、トンボのモチーフがブンブンと振動するのも見逃せません。
猫は興奮するとかみたがりますが、かませるタイプのおもちゃではないため、口に入れないように注意しましょう。棒の長さは45cm、ひもの長さは70cmです。
- 商品名:ペッツルート カシャカシャぶんぶん トンボ
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キャットダンサー レインボー キャットチャーマー
装飾の付いた猫じゃらしは猫の反応がよいものの、『パーツの誤飲が怖い』という飼い主は多いものです。
『レインボー キャットチャーマー』は、シンプルなリボン状の猫じゃらしで、無駄な装飾は一切ありません。スティック部分は折れにくいポリカーボネート製で、接続部分はがっちりとジョイントされています。
フリース生地のリボンは約13kgの重さにも耐えられる仕様で、猫が強くかみついても簡単にちぎれないのがポイントです。仕掛けも装飾もありませんが、リボン特有のヒラヒラした動きに猫は夢中になるでしょう。
- 商品名:キャットダンサー レインボー キャットチャーマー
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Saint Mike みるちゃんのおしっぽ
『猫のしっぽ』をモチーフにした猫じゃらしで、小4本・大2本の6本セットです。オレンジ色のしっぽには鈴が入っており、動かすたびに音が鳴ります。
視覚・嗅覚・聴覚を同時に刺激するため、視界が狭くなったシニア猫のリハビリや、子猫の初めてのおもちゃにぴったりでしょう。
また、飼い主や猫の安全を配慮して、持ち手部分には『キャップ』が付いています。遊んでいる最中にケガをする心配がないのはメリットですが、外れると誤飲の危険性があります。心配なときは、接着剤で補強した上で使用しましょう。
- 商品名:Saint Mike みるちゃんのおしっぽ
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遊び道具を使って安全に猫を楽しませるコツ
遊び道具があると、猫は狭い室内でも思いっきり遊ぶことができます。ただし、いくらおもちゃが好きだからといって、猫に与えたままにするのはNGです。安全をしっかりと確保をした上で、飼い主が遊びをコントロールしましょう。
遊んでいるときは目を離さない
猫にとって、おもちゃは『獲物』です。特に、『動物の形をしたもの』や『羽・毛が付いたもの』は、猫が興奮してじゃれやすく、パーツがすぐに外れてしまいます。
飼い主が目を離した隙に誤飲する恐れがあるため、飼い主の目の届く場所で遊ばせるようにしましょう。取れやすいパーツや装飾は、遊ぶ前に取り外してしまうのも一つの手です。
また、長いひもが付いたものは、必ず飼い主が手に持ってコントロールするようにします。電動式タイプは、発火・異常動作・電池の液漏れなどに十分な注意が必要です。
目を離す際はおもちゃを片付けておく
思わぬ事故の多くは、『人のいない場所』で起こります。猫に遊び道具を預けたまま外出をしたり、目の届かない場所で独り遊びをさせたりすると、誤飲やケガにつながる恐れがあります。
外出時は出しっぱなしにしておかずに、猫の手が届かない場所に保管しましょう。「留守番中、遊び道具がないと暇なのでは?」と思うかもしれませんが、猫は1日の大半を寝て過ごします。
とりわけ、子猫やシニア猫は1日20時間の睡眠を取ることもあるため、遊び道具を預けなくても寂しがることはありません。飼い主がいるときに、思いっきり遊んであげましょう。
激しく興奮させすぎない
猫は遊んでいるうちに本能のスイッチが入り、激しく興奮することがあります。猫が楽しそうに遊んでいるのを見ると、おもちゃを与えた飼い主も満足感を覚えますが、『興奮のしすぎ』には注意が必要です。
猫は獲物を一瞬で捉える瞬発力には優れているものの、持久力はそれほどありません。激しい遊びを何度も繰り返すと、体力が尽きてしまいます。
1回の遊びは10~15分程度を目安にして、『すぐに寝そべる』『息が荒くなる』などの状況が見られれば、遊びは終わりにしましょう。食後の激しい運動は吐き戻しの原因になるため、『空腹時』に遊ばせるのがベストです。
構成/編集部