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新型コロナ感染者が増えると〝いらいら〟が増える!?Twitterでどんな言葉がつぶやかれるのか分析してみた

2021.11.13

【連載】もしもAIがいてくれたら

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第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第25回:クルマというよりコンピュータ!?AIを搭載したテスラ「Model 3」に乗ってみてわかったこと

Twitterで最も使用されたオノマトペとは?

新型コロナウイルスの新規感染者数が激減して、その理由について専門家の解説がネット上を飛び交っています。専門外の私がそこに参加するつもりはないのですが、私の研究室の学生と、Twitter分析で有名な東京大学鳥海不二夫教授の協力のもと行った研究について、少し書いてみたいと思います。なお、この研究は、12月にオーストラリア現地とオンラインのハイブリッドで開催される国際会議The 20th IEEE/WIC/ACM International Conference on Web Intelligence and Intelligent Agent Technologyで発表予定です。

新型コロナ禍にTwitterで使用されたオノマトペに着目して人々の感情の動きを分析してみました。オノマトペは、キンキンした音というように音を表す場合(擬音語)や、ふわふわ、もふもふ、といった手触りなどの感覚を表す場合(擬態語)にもよく用いられますが、いらいら、がっかりといった感情を表す場合(擬情語)にも用いられます。嬉しい、悲しい、といった形容詞よりも微細な感情の起伏が表現できるため、新型コロナの感染状況の変化で人々の感情がどのように変化していくのか、細やかに捉えられるのではないかと期待しました。

分析に用いたデータは,鳥海教授との共同研究の一環で提供を受けました。検索クエリ「新型コロナOR 武漢OR コロナOR ウイルスOR ウィルス」を用いて、Twitter Search APIで、2020 年1 月16 日から2021年4 月30 日の期間中に得られた、363,900,319 件のツイートデータです。

このツイートデータで使用されていたオノマトペの使用率を、調査期間内の日本国内でのイベントや感染者数の推移と比較して、何がきっかけとなって感情の変化が起きたのかを分析しました。

新型コロナの感染がオノマトペの使用率と関係があるのか、ですが、日本で新型コロナが拡大するにつれ、2020年2月には約6%であったオノマトペ使用率は、2020年6月にかけて約10%まで上昇し、以降は8%~12%の間で使用率が推移しています(図1)。

2020年6月以降は長期的な感情変化が少なくなっていますが、未知のウイルスに対する恐怖心が、感染拡大と日常的な報道とともに徐々に薄れていったのではないかと考えられます。

「怖」が減って「うんざり」が増えた

個々のオノマトペに現れる感情分析については研究発表論文で詳述しますが、例えば 怒りの感情に関連するオノマトペとしては「イライラ」や「ピリピリ」という2語が多く出現していました。「イライラ」は、「マスク」「ストレス~溜まる」「自粛」という語と一緒によく使用されていました。2回目の緊急事態宣言発令の際には、「緊急事態宣言」という語と一緒に使われており、「もう懲り懲りだ」という感情も見られました。初期には「政府」「対策」などの語も出現しており、未知のウイルスに対する政府の対応に対する苛立ちが反映されているようでした。「ピリピリ」というオノマトペも同様でしたが、「病院」「患者」「痛み」という語とともに使用されており、コロナ患者を受け入れる病院のひっ迫感と関係がありそうでした。

全部で「哀」「怒」「厭」「怖」「驚」「昂」「安」の7つの感情と関連するオノマトペについて分析をしていますが、「怖」のオノマトペは感染者増加の第2波から第3波にかけて減少傾向にありましたが、「うんざり」は若干の増加傾向にあったのは興味深かったです。新型コロナへの恐怖心というのは時系列が進むにつれ薄れつつありましたが、度重なる緊急事態宣言などの活動制限への不満・嫌気へと感情が変化していったのではないかと考えられました。活動制限が徐々に解除されてきていますが、今後、再び活動制限がかかるような状態にならないことを願っています。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

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