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「日本初」「No.1」「どこよりも安い」広告における最上級表現の落とし穴

2021.11.13

会社が自社商品をセールスする際には、ついつい「日本初」「No.1」「どこよりも安い」といった表現を使ってアピールしたくなるものです。

しかし、このような「最上級表現」は、景品表示法に違反する可能性があります。

今回は、景品表示法との関係で問題になりやすい最上級表現について、例を挙げて解説します。

事業者・消費者ともに、最上級表現を用いた広告には十分注意してください。

1. 広告で問題になりやすい最上級表現の例

最上級表現とは、「他のどんな商品よりも」優れている、安い、早いといった点をアピールする表現です。

典型的な最上級表現の例としては、以下のものが挙げられます。

・日本初
・世界初
・No.1
・どこよりも安い
・最高
・最大
・最小
・最速
・最安値
など

2. 最上級表現は景品表示法に違反する可能性がある

最上級表現には、自社商品の優位性を消費者にアピールする強力な効果があります。

しかしその一方で、消費者を誤導する危険性の高い表現でもあることから、「景品表示法※」という法律によって規制が行われています。
※正式名称:不当景品類及び不当表示防止法

具体的には、最上級表現は、景品表示法によって禁止されている「優良誤認表示」または「有利誤認表示」に該当する可能性があるので、十分注意が必要です。

2-1. 優良誤認表示とは

「優良誤認表示」とは、商品やサービスの内容について、

・実物よりも優れている
・他社の商品やサービスよりも優れている

と示す表示のうち、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものをいいます(景品表示法5条1号)。

最上級表現の中では、以下のような表現が、優良誤認表示に当たる可能性があります。

・日本初
・世界初
・No.1
・最高
・最大
・最小
・最速
など

これらの表現は、自社の商品・サービスが優れたものである、または他社のものを上回っているという点を殊更に強調した結果、消費者を誤導するおそれがあるため、無根拠に使用することは避けなければなりません。

2-2. 有利誤認表示とは

「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格その他の取引条件について、

・実際の価格、取引条件よりもお得である
・他社の商品やサービスよりもお得である

と示す表現のうち、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものをいいます(景品表示法5条2号)。

最上級表現の中では、以下のような表現が、有利誤認表示に当たる可能性があります。

・どこよりも安い
・最安値
など

なお、表面上の販売価格が「最安値」であることが事実だとしても、たとえば、

・追加費用がかかる
・違約金がかかる

など、他の条件が適用された結果「最安値」と評価できなくなるケースがあります。

その場合には、「最安値」という表現は誤導的であるとして、有利誤認表示に該当する可能性があるので注意が必要です。

3. 広告で最上級表現を使いたい場合、必ず根拠・出典を明示すべき

どうしても最上級表現を広告で使用したい場合には、その最上級表現が正確であることについての根拠・出典を必ず明示しましょう。

たとえば「日本初の技術」といった表現を用いるならば、その技術について特許が認められたなどの根拠を、最低限明示すべきです。

また、「地域最安値」という表現を用いる場合には、どの範囲の地域を、いつ、どのような方法で調べた結果最安値だったのか、といった要素を明示しなければなりません。

しかしながら、最上級表現を確実な根拠・出典によって証明できるケースは、実際にはほとんど存在しないでしょう。

もし根拠・出典が曖昧なままに最上級表現を用いてしまうと、消費者からクレームが殺到すする可能性があります。

最上級表現を広告で用いる必然性はなく、代替的な表現によっても、十分商品・サービスの魅力をアピールすることはできるでしょう。

事業者としては、景品表示法違反や消費者からのクレームのリスクを考慮すると、極力最上級表現を避けて広告を行うことが無難と考えられます。

4. 消費者は最上級表現を疑ってかかるべき

前述のとおり、最上級表現に対しては、景品表示法によって厳しい規制がかけられています。

それにもかかわらず、広告において安易に最上級表現を乱発している会社、最上級表現の根拠・出典を明示していない会社は、基本的に信用に値しないと判断すべきでしょう。

消費者としては、広告で最上級表現を発見した際には、そのインパクトに惑わされるのではなく、

「無根拠な誇大広告をする会社の商品(サービス)なので、危険だ」

と警戒するのが正しい態度です。

広告内容から事業者を見る目を養うことで、消費者被害に遭うリスクを抑えることができます。

今後商品やサービスの広告を目にする際には、景品表示法の「優良誤認表示」「有利誤認表示」に当たらないかという点にも、注目してみてください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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