衆議院議員総選挙の投開票が10月31日に行われた。自民党が選挙前の276議席から261議席に議席数を減らしたものの、絶対安定多数を確保する結果となった今回の選挙結果を受けて、株価はどのように変動したのだろうか。
そんな衆議院選挙後の株価動向についてこのほど、三井住友DSアセットマネジメントが以下のレポートにまとめた。
衆議院選挙で政権運営は安定化へ
政権選択選挙となった今回の衆議院選挙は、自民党が公示前からは議席数を減らしたものの、単独で261議席と絶対安定多数を確保する結果となった。政権運営の安定化が担保されたことや経済対策への期待から、週明け1日の日経平均株価は先週末比754.69円高の2万9,647.08円となった。
2000年以降行われた衆議院選挙は今回が8回目だが、過去7回の衆議院選挙で自民党が単独で絶対安定多数となったのは4回ある。衆議院選挙の前営業日終値を100として、60営業日までを見ると、100を超えている4回はすべて自民党が絶対安定多数となった局面だ。外部環境にもよるが、政策に対する期待は続くと見られ、年内の日本株式市場は堅調に推移する可能性が高いと思われる。
絶対安定多数局面での株価上昇と持続性
自民党が絶対安定多数となった局面に絞って、衆議院選挙後、日経平均株価が高値を付けるまでの局面を整理した。
日経平均株価の上昇期間が最も長かった局面は2005年9月からの7カ月間で、上昇率が最も高かった局面は2012年12月から2013年5月までの60.5%だった。最も短期間で上昇率が低かった局面が2017年10月から2018年1月までの3.2カ月間、12.4%だった。今回の衆議院選挙にこれらを当てはめると、日経平均株価で3万2,000円台が、来年1~2月頃にも見えてくることになる。
経済対策の迅速な打ち出しに期待
自民党が絶対安定多数となった局面では、2005年を除いて数カ月以内に経済対策が打たれている。今回、岸田首相は新型コロナウイルスの感染拡大で、大きな打撃を受けた経済の立て直しに向けて、大型の経済政策を11月中旬に取りまとめる方針を明らかにしている。
詳細はこれからだが、給付金の支給や観光需要喚起策(GoToトラベル)の再開に加え、クリーンエネルギー投資も視野に入っている模様だ。経済対策を盛り込んだ21年度補正予算案は、12月のできるだけ早い時期に成立する見通し。経済対策の規模は数十兆円と見られおり、迅速な打ち出しが期待される。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント株式会社
http://www.smd-am.co.jp
構成/こじへい