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「千里の道も一歩から」意外と知らない正しい意味と由来

2024.06.26

上司からの訓示で『千里の道も一歩から』と、言われたことがある人もいるのではないでしょうか?千里の道も一歩からは、中国の古典に登場する言葉であり、励ましたり戒めたりする際に用いられる表現です。意味や由来、類語表現を理解しておきましょう。

「千里の道も一歩から」の意味

千里の道も一歩からとは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?具体的な意味やビジネスで使える例文を紹介します。

どんな物事でも小さな積み重ねの成果である意味

『千里の道も一歩から』とは、『目標を達成するためには地道な努力が必要である』という意味の言葉です。小さな積み重ねの結果が大成につながることを説いています。

大きな目標を掲げたとしても、一朝一夕で成果を上げることは困難です。目標を達成するためには、コツコツと努力し続けながら、目の前の課題を一つずつクリアしていく必要があります。

千里の道も一歩からは、特にビジネスシーンの格言として用いられることが多い言葉です。目標達成に向けて社員の意欲を高めたり、結果を出せない部下を上司が指導したりする際に使われます。

ビジネスで使える例文

自分自身が将来的に部下を指導する立場となった場合は、次のような言葉で部下を鼓舞できます。千里の道も一歩からを使った例文を見ていきましょう。

  • チームとしての大きな目標が設定された。ゴールまでの道のりは長く課題も多いが、千里の道も一歩からと言うように、コツコツと進んでいこう
  • プロジェクトの期限が迫っている中、みなにも少なからず焦りがあるだろう。千里の道も一歩からの精神で、とにかく自分がやるべきことを着実にこなしてほしい

また、ビジネスにおける個人目標を立てる際も、千里の道も一歩からを以下のように使えます。

  • 資格取得に向けて勉強を始めることにした。千里の道も一歩から、最初は基礎を徹底して鍛えようと思う

千里の道も一歩からの由来

(出典) photo-ac.com

千里の道も一歩からは、古代中国で執筆された書物の一節を由来とする言葉です。語源となった漢文の内容や、一節で説かれている真理の内容について解説します。

『老子』に登場する「千里之行 始於足下」

千里の道も一歩からは、中国の古典『老子』を由来としています。老子に登場する『合抱之木 生於毫末 九層之臺 起於累土 千里之行 始於足下』という部分が語源です。

『千里之行 始於足下』を書き下すと、『千里の行も足下より始まる』となります。行(こう)は道のり、足下(そっか)は足元を意味する言葉です。

漢文全体を意訳すれば、『大きな木は小さな芽から成長し、高い建物は盛土から建てられる。千里の道のりも足元から始まる』となります。

目の前の一歩を踏み出す重要性を説く

老子の中に登場する『千里之行 始於足下』の一節は、何事も最初の一歩を踏み出すことが重要であるという真理を説いています。

千里の『里』とは、古代中国における長さの単位です。当時の1里は約400mとされているため、千里なら約400kmもの長い距離となります。

たとえ遠い道のりであっても、最初の一歩を踏み出して少しずつ進んでいけば、いつかは目的地に到着することが可能です。老子に登場する一説では、一歩を踏み出すことや着実に歩んでいくことの重要性が示されています。

類語表現を紹介

(出典) photo-ac.com

千里の道も一歩からに似た意味の表現には、さまざまなものがあります。代表的な類語表現とそれぞれの意味を知っておきましょう。

ローマは一日にして成らず

『ローマは一日にして成らず』は、『大きな目標を達成するためには長い時間がかかる』という意味を持つ、西洋のことわざです。

長期間の繁栄を誇った古代ローマ帝国も、大帝国になるまでには苦難の歴史を経ています。ローマは一日にして成らずは、大事業が長年の努力により成功に導かれることを例えた表現です。

千里の道も一歩からは、時間がかかることだけでなく、小さな努力の積み重ねが成功につながるという意味合いも含んでいます。一方、ローマは一日にして成らずは、長い時間がかかることのみにフォーカスした言葉です。

雨垂れ石を穿つ

千里の道も一歩からの類語表現には、『雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)』もあります。努力を続けることの重要性を説いたことわざです。

『雨垂れ』とは少しずつ滴り落ちる雨、『石を穿つ』とは石に穴が開く様子を指します。小さな力を継続して与え続ければ、硬い石でも穴を開けられることから生まれた表現です。

また、雨垂れ石を穿つは、中国の漢書を由来としています。語源となった原文は、小さな災いが積み重なると大きな災いが生まれるという、戒めの意味が込められた内容です。

「雨垂れ石を穿つ」とはどういうシーンで使う故事成語?

茨の道も一歩から

『茨(いばら)の道』とは、困難な状況や人生における苦難を指します。トゲの多い茨が生い茂った道は、歩くのが困難であることから生まれた言葉です。

『茨の道も一歩から』という表現は、困難な道のりを一歩ずつ歩んでいくことの重要性を説いています。課題を少しずつクリアしていけば、苦難を乗り越えられることも示している言葉です。

また、茨の道も一歩からは、由来がはっきりしていません。千里の道も一歩からと構成が似ていることから、千里の道も一歩からを参考にして生み出された言葉とも考えられます。

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構成/編集部

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