最近、ラーメン、カレー、パスタを自宅で食べる機会が増えているという人は多いだろう。簡便で美味しい商品やテイクアウトやデリバリーで、これらのメニューは手軽に食べられる。しかし、特に注意したいのが、塩分増の傾向があるといわれていることだ。減塩はしたいけれど、なかなかむずかしいという場合もあるのでは。今回は、よくある減塩策以外の、一歩踏み込んだ減塩策を、管理栄養士に教えてもらった。
自粛期間中は塩分・糖質・脂質が高め!
コロナで内食が増えたことで、簡便な食品をとる機会が増えたためか、食卓の塩分使用量が増えているようだ。
味の素が2020年7月に、全国1,000名を対象に実施した減塩の意識調査「みんなの減塩調査 2020」の結果では、自粛期間中の内食率は、新型コロナ感染症流行以前と比較して約15%増加の75.1%となった。
そして、自粛期間中に最も多く食べたメニューのトップ3は、次の結果となった。
1位「ラーメン」(平均塩分量5.6g)
2位「カレー」(平均塩分量3.0g)
3位「パスタ」(平均塩分量3.6g)
※平均塩分量は「食塩相当量&たんぱく質 塩分ランキング」、奥田恵子監修 エクスナレッジ出版社(2011年)より
これらは塩分・糖質・脂質高めの「3高」メニューであり、いずれも1食で、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に定められた「1日の塩分目標摂取量」の半分前後に達する可能性があるという。
日本人の食事摂取基準(2020年版)における、1日の「食塩相当量の目標量」は、18歳以上は男性7.5g未満、女性6.5g未満となっている。
現在、減塩に取り組みたい人は7割以上いたが、行動できているのは3割未満。2020年度に引き下げられた、新たな塩分摂取量基準を守れていると回答したのは、わずか5.2%だった。
減塩は、意識して行わなければ、なかなかできないのが現実といえそうだ。
管理栄養士が教えるビジネスパーソンの食生活における減塩のコツ
コロナ禍のテレワークやおこもり生活において、インスタント食品やファーストフード。コンビニ飯、デリバリーの利用が多くなっているケースは多いのではないだろうか。こうした食生活では、塩分過多になりやすいと、働く男性の食事選びコーディネーターで管理栄養士の植村瑠美氏は話す。
【取材協力】
植村瑠美氏
働く男性の食事選びコーディネーター/管理栄養士
健康支援BonAppetit(ボナペティ)代表。
「疲れやすい」「集中力がない」というビジネスパーソンの悩みを解決する専門家。5,000人の指導から考案した、コンビニ食や外食中心でも実践できる「食事の選び方」を企業研修(オンラインも可)などで提案。
https://ameblo.jp/kks-bonappetit
「外食やコンビニ飯、インスタント食品などは家庭料理に比べて、味付けがしっかりしているので、塩分量が多い傾向にあります。これらの摂取頻度が多い方は、日常的に塩分摂取量が多くなりがちです。テイクアウトやデリバリーの場合、ソースやドレッシングなどの調味料が別添えとなっています。お客様に満足してもらうように多めに入っている可能性もあるので、料理の味を確かめずに調味料をすべて使用するとかけすぎにつながることがあります。
とはいえ、自炊なら安心というわけではありません。外食などに味付けを合わせてしまうと塩分量が多くなるので要注意です」
●塩分を減らすコツ3つ
そこでビジネスパーソン向けに、植村氏に塩分を減らすコツを教えてもらった。
「塩分を減らすために、すでに麺類はスープを残すことや、調味料の使用量を減らすことなどはすでに行っている人も多いだろう。そこで植村氏は、一歩踏み込んだコツを紹介してくれた」
1.定食は汁物と漬物に要注意!
「定食を選んでいれば、栄養バランスが取りやすいので安心、と思っている方も多いでしょう。しかし、定食にも落とし穴があります。それは、定食に定番の汁物と漬物は、塩分が多い代表格だからです。減塩のためには、汁物は具だけ食べる、漬物は残すようにする、といった対策をおすすめします。食事を残すことに抵抗がある場合は、注文するときに『汁物は量を減らしてしてください』『漬物は外してください』と依頼するのもいいでしょう」
2.白いご飯を選ぶ
「チャーハンや炊き込みご飯のような味がついたご飯は、魅力的ですが、白米に比べて塩分量が多くなります。市販のおにぎりも塩やふりかけで味をつけていることがあるので、レトルトの白ご飯のほうがおすすめです」
3.一品は自分で味が調整できるものを
「外食やコンビニ飯の場合、煮物や炒め物のように、すでに調理されたおかずの塩分を減らすことは至難の業です。冷奴や納豆、お刺身、天ぷら、サラダのように自分で味付けする料理を1品選び、調味料を控えて食べるようにしましょう」
これらの減塩のコツを、ぜひ食生活に取り入れてみよう。
食塩不使用・減塩の新インスタント食品2選
市販のインスタント食品の中には、食塩不使用や減塩のものもある。こうしたものを利用することでも、塩分に配慮した食生活になるだろう。ここでは、新商品を2つ取り上げる。
1.ヤマモリ「休塩日のカレー」
「休塩日のカレー キーマ」「休塩日のカレー バターチキン」希望小売価格 各378円(税込)
ヤマモリから、食塩不使用のレトルトカレーが2種、発売された。これは、「休塩日(きゅうえんび)」を提案するレトルトカレー。休塩日とは、「塩に頼らず素材本来の旨みを感じ取り、味覚と向き合うていねいな食事を自分のペースで取り入れる新たな食習慣」として、ヤマモリが独自に定義したものだ。
その通り、素材の旨みを最大限に生かし、食塩不使用で仕上げられており、その他、化学調味料、香料、着色料、保存料も不使用となっている。
また、味もお墨付き。南仏ニースで活躍するフレンチシェフ松嶋啓介氏が監修しており、キーマは鶏肉の旨み、玉ねぎの甘み、トマトペーストの酸味とコク、10種のスパイスの香りと刺激が絶妙にブレンド。バターチキンは、バターと生クリームのコク、鶏肉の旨み、玉ねぎの甘み、トマトペーストの酸味とコクを感じる本格的な味わいとなっている。
ランチにぴったりのレトルトカレー。手軽に食べたいときも食塩不使用を選ぶことで、塩分対策になるのはありがたい。
2.アサヒグループ食品 アマノフーズ「まごころ一杯 減塩たまごのスープ」
「まごころ一杯 減塩たまごのスープ」5食入り 648円(税込)
アマノフーズによる、通販専用のフリーズドライスープ。「まごころ一杯」の減塩シリーズの一つだ。この減塩たまごのスープは、塩分が同社の定番たまごスープと比べて25%カットされている(1食分当たりの食塩相当量との比較)。
ふわふわの卵が特徴の和風スープで、具材はすべて国産野菜のみを使用しているというこだわりのスープだ。
他に、「まごころ一杯」の減塩シリーズには、なす・ほうれん草・ごぼうと蓮根・豚汁・こまつ菜と大根・なめこ・長ねぎ・しじみ・五種の野菜の9種類のみそ汁がある。食卓に常備しておけば、自然と減塩が実践できそうだ。
知らず知らずのうちに食塩摂取量が増えているのに気付かずにいるのは、やはり損。自分の将来のことを考え、ぜひ減塩を意識してみよう。
取材・文/石原亜香利