Androidスマホでも使えるスマートトラッカー
「AirTag」によって日本でもお馴染みになったスマートトラッカー。こちらはiPhone専用だがAndroidにも対応した製品が「Tile」である。今回、用途に応じて使い分けられる4種類の新製品が登場。スマホからトラッカーを鳴らすだけでなく、トラッカーからもスマホを鳴らせたり、電池寿命約3年で実勢価格約3280円のハイコスパモデルもある。さらに2022年初頭にはUWB(Ultra-Wideband)に対応した製品の発売を予定している。そのメリットと賢い使い方などをCEOのCJ Prober氏にリモートで質問した。
用途に応じて、電池交換式と固定式
2022年モデルとして発売されたのは、電池交換式の「Tile Pro」4680円、電池寿命約1年で最大接続距離約120m、交換用電池はCR2032である。「Tile Mate」3280円、電池寿命約3年、電池交換不可、最大接続距離約75m。直径27mmでどこにでも貼れる「Tile Sticker」3780円、カードタイプの「Tile Slim」4680円の4モデルがあり、防水性能は共通でIP67となる。
電池交換ができないモデルは3年ごとに買い替えが必要なのかという質問に対して、CEOのCJ Prober氏は「ユーザーに調査をおこなった結果、1年ごとに電池を交換するより、3年間交換不要の方がいいという意見が多かったんです。我々の基本的ポリシーはTileを付けたら、忘れてください。必要な時はすぐに見つけられますよ、これが一番のメリットです。Tile Proは接続距離約120mを実現するために電力消費が大きくなり交換式のボタン電池が必要になりました」と語ってくれた。
Tile Proはボタン電池交換式、工具不要で裏ブタが外せる
新たにロスト&ファウンド機能を搭載
Tileの裏面には「SCAN ME IF FOUND」の文字と共にQRコードが印刷されている。これをスマホのカメラなどで読むと、Tileのサイトが開き、このアイテムは紛失中です。という日本語のメッセージが表示される。持ち主がTileアプリを使って連絡先やメッセージを登録すれば、見つけた相手に電話番号を表示できる。この機能を使えばTileユーザー以外の人がTileを発見した場合も持ち主の元に返ってくる可能性が高まるに違いない。電話番号入力を説明するサイトの表示は日本語化される予定で、Tileに印刷された文字も、要望があれば日本語化を検討するとのこと。
さらに自分のものでないTileが身近にあるかどうかをチェックするためのスキャン&セキュアという機能も2022年初頭に実装される予定だ。これは悪意のある人物がストーキング目的などでターゲットの手荷物にTileを紛れ込ませるなどの行為を防止するために開発されたという。
裏面にはQRコードがあり、読み取ることで拾った人に連絡先やメッセージを表示できる
左端がTileを拾った人がQRコード読んだときの画面。登録済みならここに電話番号とメッセージが表示される。中央はTileの所有者への表示。右が英文の説明表示。
Tile Pro & Tile Slim
電池交換式のTileで、最も長い接続距離約120mを実現。呼出音量も最大である。カラーはホワイトとブラック。アルミ製のキーホールが付いているので単体でキーリングに取り付けられる。Tile Slimはカードサイズなので、お財布かカードケースに最適、厚みは2.5mmと意外と薄い。
Tile Sticker
最も小さいTileで裏紙をはがすとシールになっており、貼り付けて使える。ミラーレスに貼ろうと思ったのだがいい場所が見つからず、レンズキャップかボディキャップに貼るのがいいと思った。リモコンや自転車などにも使いたい。
Tile Mate
標準タイプのTileで最もコスパがいいモデル。こちらもキーホールがあるで、リングなどを使えばいろいろなモノに付けられる。私は折りたたみ傘に付けてみた。
使い方はカンタンでスマートスピーカーにも対応
TileはBluetoothを利用するトラッカーだが、ペアリングなどの面倒な手続きはアプリまかせで完了できる。また、他のスマホへの移行や共有などにもアプリが対応。アプリを起動してTileを追加、有効になったら名前を決める。これで設定完了。リストに名前が表示される。
これでスマホからTileを鳴らせる。AirTagのように上品な音でなく、かなりの大音量で複数のアラーム音から好きなものを選択できる。また、アレクサやグーグル、Siriと連携させ音声指示でTileを鳴らせるのも便利だ。Bluetoothの圏外になった場合は、最後に接続のあった場所をスマホの地図アプリで表示してくれる。あるいは他のTileユーザーが検知してアプリに知らせてくる。この辺りはAirTagと同じと考えていい。
新しいTileを追加するにはアプリの「Tileを追加」をタップして、Tileのボタンを1度押すだけ
アプリの探すをタップするとTileが鳴る。サブスクのPremiumプラン追加で機能が増やせる。Siriと連携で音声指示に対応。ロケーション履歴から最後にTileのあった場所を確認できる
Appleよりも手軽に探し物を見付ける
それではTileとAirTag、どちらがいいのかと言えば、まずAndroidの人はTileしか選択肢がない。iPhoneの人は主に屋外でトラッカーを使う。数は1つあれば充分であればAirTag、室内でトラッカーを鳴らして鍵やリモコンを探したい。複数のトラッカーを使いたいならTileが向いているだろう。Tileはさまざまなデザインがあり、使いたいものにピッタリのタイプが選べる。UWBを使った「正確な位置を探す機能」が実装されていない。置き忘れを感知するスマートアラームがサブスクでないと使えないという弱点があるが、Appleが推奨しないペットへの取り付けも容認、駅とタクシーにアクセスポイントがあるという特色もあり、実勢価格がこなれてくれば、探し物トラッカー入門機としても見逃せない存在になるに違いない。
写真・文/ゴン川野