SNS映えするオリジナル商品で大行列を生み出すご当地スーパーの名物商品戦略

味へのこだわりだけでなく見た目の工夫で集客につなげる

　先述の『スズキヤ』も、毎年名商品を生み出し、名を連ねる「お弁当・お惣菜大賞」。2021年度は全国から4万点以上のエントリーがあり、受賞は190点とかなりの競争率となった。

　福岡県にある『ダイキョープラザ』は、その総菜部門に力を入れ、2013年からエントリー。商品の味と美しさで現在8年連続受賞中だ。コロナ禍にあって売り上げが落ちる部門もあったが、総菜部門が牽引し、前年比で110％の売り上げとなった。ヒットを生み出し続けるワケを営業管理部の赤間仁さんはこう語る。

「最近SNSでバズった『はぎトッツォ』もそうですが、従業員全員が商品についての意見を交わします。長ければ完成に2～3か月かかることも」

　パート・アルバイトを含む従業員全員が参加することで、多様な年代や嗜好が反映された魅力的な商品が生まれていく。月に1度開催する総菜部会では店内POPの発表や新商品の試食を行ない、その魅力や工夫を常に全員で共有している。

　愛知県岡崎市にある『ダイワスーパー』は、SNS映えするフルーツサンドで行列をつくる。大山皓生社長は2017年の就任当初から「100人以上の行列にする」と宣言。若い人に来てもらうために、味だけでなく見た目を重視し、フルーツ丸ごと入ったサンドイッチを開発。瞬く間にSNSで拡散され、人気商品となった。

　市内4店舗で、1日3000人以上の来客がある一方、品切れを出さないよう従業員総出で仕込みを行なう。

「売り切れで注目を集めるマーケティングもあるけど、それはお客様へのやさしさにならない」（大山皓生社長）

　さらにパッケージには、店名の頭文字である「ダ」のシールを付属。10枚単位で集めた客には特典を付けるなど、リピートする楽しさもある。

　コロナ禍の施策として移動販売もスタート。SNSのみの告知で、つながりのあるお店の駐車場などを使っているが、来客の多い日は1500個ものフルーツサンドが売れるという。

『ダイキョープラザ』福岡

総菜のヒットで売り上げは昨年の110％に！

福岡に「弥永店（南区）」「野多目店（南区）」「長者原店（粕屋町）」の3店舗、長崎に「福江店（五島市）」の1店舗を展開。お総菜のほか、「日曜朝市」「木曜夕暮れ市」も好評。

お弁当・お惣菜大賞に応募開始から8年連続受賞中の弁当がぎっしり！

日曜朝市には多くの人が！

ダイキョープラザ売れ筋商品TOP3

【No.1】『はぎトッツォ』324円

おはぎと最近トレンドのマリトッツォを組み合わせたオリジナル商品。ツイッターの投稿には11万を超えるいいねがついた。

【No.2】『焼豚足』216円

20年以上のロングセラー。「お弁当・お惣菜大賞2014」でも入賞した。仕込みは前日から行ない、じっくりと焼き上げる。

【No.3】『宮崎和牛齋藤牛のミスジステーキを使ったガーリックライス』1384円

高級牛として人気の宮崎牛をふんだんに使った、ボリューミーな弁当。都内では2000円を超える品質で、グッと価格を抑えて提供。

ダイキョープラザ

創業／1978年　本拠地／福岡県福岡市　店舗数／4店舗　売上高／非公開　従業員数／400名（パート・アルバイト含む）

『ダイワスーパー』愛知

〝八百屋の本気〟シリーズで年商10億円を突破！

フルーツサンドは、SNSを通じて全国にファンが多く2019年には京都、博多にFC店がオープン。2020年には東京・中目黒に直営店「ダイワ中目黒店」をオープン。Instagram@358daiwa

フルーツサンドは、平日で1日500個、土日は1500個を売り上げ！

1970年に大山皓生社長の祖父が創業。2017年の社長就業時、店の赤字は3000万円にも上る状態だった。

まずは興味を持ってもらうことが大切でした！

〝八百屋の本気〟シリーズは全て、2代目・大山皓生社長が考案。初めて考案した「かき氷」はInstagramの拡散で一気に話題に。

ダイワスーパー

創業／1970年　本拠地／愛知県岡崎市　店舗数／6店舗
売上高／12億円　従業員数／12名

【ヒットの秘策】
味へのこだわりだけでなく、見た目も重視。名物商品にすることで客足を伸ばす

取材・文／編集部

※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。