
内製化と巣ごもり対応で早期回復を実現
『おべんとうのヒライ』は、中食、外食、コンビニの3業態を1つの店に包括したロードサイド店などを主力業態にする飲食チェーン店だ。
2020年春の緊急事態宣言時、まず残業時間を減らして人件費を削減。さらにコロナ禍で身動きのとれない営業部門らの余剰人員で、店舗清掃や野菜加工など外注していた部分を内製化する構造改革を1か月で敢行。4月の約1億円の赤字から、人件費や輸送費を削減した効果を計上すると、5月には5000万円の黒字とV字回復を果たした。
また、コロナ禍で買いだめの傾向が強まる中、賞味期限が1か月持つパウチ総菜もヒットした。そのうえ、パックにガスを入れて消費期限を3日に延ばした煮物も開発。本来日持ちしにくいものが、余裕を持って食べられるのが人気のポイントだ。
ストック需要にはコロナ前から開発されていた「冷凍弁当」で応えた。他店よりサイズが大きく、安い1食完結型の冷凍弁当で差別化する。
さらにはありそうでなかった卵焼きメインの弁当『だし香る厚焼き玉子弁当』がヒット。から揚げに高菜と明太子ものる九州らしい一食だ。高齢者世帯への宅配弁当も前年比120%ほどの売り上げを達成した。
『おべんとうのヒライ』熊本
店内では、惣菜がところ狭しと並ぶ。また、コンビニとしての業態も兼任する。
熊本県八代市にある本社工場では、作りたての惣菜を全店舗に配送する。
冷凍弁当の売り上げTOP3
【No.1】『だし巻と高菜ご飯』378円
こだわりのだし巻き卵と、たっぷりの高菜で構成されヒット。唐揚げに加えてきんぴらとひじき煮も。
【No.2】『デミソースのハンバーグ弁当』519円
自家製ハンバーグに香り高いデミグラスソースをかけた。冷凍弁当は「意外とごはんが旨い」とも評判。
【No.3】『ザ・ビストロカリー』427円
イートインでも人気のメニューを冷凍弁当化。サクッと解凍して「朝カレー」にする人も。
ヒライ
創業/1968年 本拠地/熊本県熊本市 店舗数/143店舗
売上高/161億2000万円 従業員数/2011名(パート・アルバイト含む)
【ヒットの秘策】
買いだめ需要にきっちり対応しつつ、配置転換で迅速に組織を改革
取材・文/辰井裕紀
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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