
至高のバリスタ集団が選ぶコーヒー豆を定期購入
茨城県を本拠にする『サザコーヒー』は、県内に15店舗を構えるローカルコーヒーショップ。2020年度の決算は前年度比の90%ほどをキープし、黒字を確保した。その原動力になったのが「タダコーヒー」。もともとはリアルイベントとして無料で高級コーヒーを配布していたが、コロナ禍で高級コーヒーを1円+配送費で体験してもらう企画にチェンジ。それが好評を博し、追加でほかの商品を購入してもらうことでオンラインショップの売り上げを押し上げた。
さらに追い風となったのがサザコーヒーのバリスタたちが選んだ「コーヒーの定期購入」だ。
「弊社には競技会で入賞したバリスタが4人ほどおります」(取締役・小泉氏)
自慢のバリスタが大会で使用したものや、コロンビアの自社農園で生産に携わったコーヒー豆が定期便で送られてくるシステムだ。
「オンラインショップは今や本店に次ぐ売り上げです。コロナ禍で新しい売り方や体験が生まれました」
イートインでも新商品をどんどん投入。社長が考案した虹色の『レインボーミルクレープ』は、北海道十勝産の小麦を使ったもちもちの生地が好評。そのほか、ラテアートがなされたコーヒーゼリーや、『世界一おいしいコーヒーゼリー』なる強気の名前の一品など、楽しげなメニューが目白押しだ。
さらにジェラートやシェイクも好調。シェイクには一大農産地である茨城・鉾田市の糖度の高いメロンなどを使っており、茨城大学や筑波大学らとのさらなるおいしい果物を作る共同研究まで行なっている。
「9月には新工場が竣工しました。今後、さらにコーヒーの生産性や持続可能性を高めていきます」
『サザコーヒー』茨城
取締役 小泉準一さん
株式会社サザコーヒー取締役。同社のバリスタを育成指導し、震災復興協力の一環で出店した大洗店の初代店長も務めた。
ゲイシャを「ブレンド」にしたヒット作
コーヒーの世界でも最高峰として珍重されるパナマ・ゲイシャ。その年1番と認定された豆を世界過去最高価格で何度も購入してきた。その経験を糧にした2020年10月のヒット作、『ゲイシャハンター』。
人気商品ランキングTOP3
【No.1】『徳川将軍珈琲 200g』1500円
江戸最後の将軍、徳川慶喜が飲んだとされるコーヒーを再現したもの。慶喜のひ孫・慶朝と開発し、最高級のマンデリンを使って濃厚かつきめ細やかな甘さ。
【No.2】『サザグァテマラ 200g』1200円
標高2000mがもたらす寒暖差でじっくり濃厚に育ったコーヒー。チョコレートフレーバーのコクと甘さにシトラスの酸味、すっきりの後味が楽しめる。
【No.3】『サザ贅沢ブレンド 200g』1500円
品評会優勝経験のあるセレクト農園だけで作ったスペシャルコーヒー。爽やかなフローラルのような香り、すっきりとしたコクと酸味があるブレンド。
サザコーヒーの奇抜な販促イベント
【1】カフェなのに天然鮎を販売!
毎月第1金曜日と第3金曜日に行なうのが「鮎まつり」。カフェなのに天然鮎が食べられる、何ともミスマッチなイベントだが、鮎の漁獲高で日本一を誇る那珂川の鮎を、「本物を届けたい思い」で開催している。
【2】コーヒー「ゲイシャ」のイベントに芸者さんを招待
ゲイシャは近年特に注目される高級コーヒー。そのゲイシャの試飲会として、名前の由来でもない芸者さんを呼んで大々的に開催。必ず『芸者』をイメージするので、あえて誤解を深めることでイベント性を高めた。
サザコーヒー
創業/1942年 本拠地/茨城県ひたちなか市 店舗数/15店舗
売上高/連結20億円 従業員数/190名(パート・アルバイト含む)
【ヒットの秘策】
最高級のコーヒーを〝タダ〟で売る。「まず体験させる」が購買行動への最短距離に
取材・文/辰井裕紀
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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